[PE-2-2] ポスター:神経難病 2リハビリテーションに関する達成動機尺度に基づく自己評定法と面接法を併用したパーキンソン病患者に対する介入
【はじめに】リハビリテーション(以下,リハ)での達成動機(目標をやり遂げたいという意欲)を評価できる質問紙尺度(SAMR)は,これまでに整形疾患や脳血管疾患の患者へ介入が報告(佐野ら2020, 松本ら2019・2020)され,SAMRの評価と面接法による介入手順も報告されている(松本ら2021).今回パーキンソン病患者に対しSAMRを活用した介入について報告する.発表に際し事例より同意を得た.
【事例紹介】70歳代男性.診断名はパーキンソン病.現病歴はX−7年に体の動きにくさがあり神経内科にて診断を受けた.X−4年すくみ足等が強くなり自宅生活が困難となり当院へ入院し,内服調整とリハ実施しシニアハウスへ退院,介護サービスを受けながら生活をしていた.X年Y月Z日,動作緩慢な時間が増え外来受診し同日入院となった.初回評価時(介入4日目)は,Hoehn-Yahrの重症度分類は3.FIMは70/126点.セルフケアはON時自立.OFF時は軽介助を要し,その間は長くベッド臥床していた.MMSEは27/30点.事例は「早く退院したい」「退院後はまた動けなくなると思う」という主訴と悲観的な発言がみられた.
【介入計画】先行研究(松本ら2021)に倣い,SAMRの合計点と下位尺度得点から達成動機の状態を把握しその後に面接で具体的な生活行為に繋がる長期,短期目標を協議する.目標達成へ自身で取り組む課題や周囲がサポートする内容を担当者(OTR)と決め,内容をまとめ可視化する.遂行状況に応じ目標等を再設定する.
【経過】介入5日目:SAMRの合計点は55点で達成動機の状態は普通,方法志向的因子の項目平均点は4.5点と目標達成に向けて自他が認めたリハの方法を重視する意欲が低下していた.面接では長期目標を「介護サービスを受けながらシニアハウスで生活する/体の状態が悪くなった際に自分で気付き病院受診する」,短期目標は「1日に病棟廊下を3往復歩く/調子のいい時間帯に運動する習慣をつける」とした.自身で取り組む課題を「定時にパーキンソン体操をする/病院スタッフと廊下を歩く/調子が悪い時は周囲に助けを頼む」とした.周囲のサポート内容は,ケアマネジャーに「退院後のサービス調整」,リハスタッフに「歩行練習を一緒にする/パーキンソン体操の検討・方法の指導/安全な日常生活動作の指導」,看護師に「歩行練習に付き合う/動けない時の介助」を求めた.これらの内容を冊子にまとめ,視覚的な意識付けをした.また方法志向的因子が低下しているため体操の内容はOTRが提案し,事例と検討し同意した内容でメニューを作成した.
介入30日目:SAMRの合計点は64点で状態はやや高い,方法志向的因子の項目平均点は6.2点となった.事例は「廊下を歩くのは午前中で目標達成する」「体調によって同じ時間でも体操の時に体の動きが違う」と毎日自身で取り組む課題や目標を達成した内容や体調面の変化に対する発言が聞かれた.また,「この運動方法は自分に合っている」「退院後もメニューを継続出来そう」と介入方法への好感と,今後の生活にも意識を向けられるようになった.
【考察】進行性の疾患は機能低下や動作に介助が必要となるため,今後の生活の展望や目標が立てられず,目標に対して消極的になりやすいと考える.本事例も開始時は悲観的な発言が見られたが,事例の達成動機の状態を考慮しながら面接で具体的な生活行為に結びつく目標設定と達成の段階づけ,具体的な行動計画や周囲の支援を明確化した.自身の行動による変化や適切な援助を実感でき,目標への見通しが得られたことで本事例の達成動機の向上や行動変容が見られたため,パーキンソン病患者へのSAMR評価と面接を用いた介入の有用性が示唆された.
【事例紹介】70歳代男性.診断名はパーキンソン病.現病歴はX−7年に体の動きにくさがあり神経内科にて診断を受けた.X−4年すくみ足等が強くなり自宅生活が困難となり当院へ入院し,内服調整とリハ実施しシニアハウスへ退院,介護サービスを受けながら生活をしていた.X年Y月Z日,動作緩慢な時間が増え外来受診し同日入院となった.初回評価時(介入4日目)は,Hoehn-Yahrの重症度分類は3.FIMは70/126点.セルフケアはON時自立.OFF時は軽介助を要し,その間は長くベッド臥床していた.MMSEは27/30点.事例は「早く退院したい」「退院後はまた動けなくなると思う」という主訴と悲観的な発言がみられた.
【介入計画】先行研究(松本ら2021)に倣い,SAMRの合計点と下位尺度得点から達成動機の状態を把握しその後に面接で具体的な生活行為に繋がる長期,短期目標を協議する.目標達成へ自身で取り組む課題や周囲がサポートする内容を担当者(OTR)と決め,内容をまとめ可視化する.遂行状況に応じ目標等を再設定する.
【経過】介入5日目:SAMRの合計点は55点で達成動機の状態は普通,方法志向的因子の項目平均点は4.5点と目標達成に向けて自他が認めたリハの方法を重視する意欲が低下していた.面接では長期目標を「介護サービスを受けながらシニアハウスで生活する/体の状態が悪くなった際に自分で気付き病院受診する」,短期目標は「1日に病棟廊下を3往復歩く/調子のいい時間帯に運動する習慣をつける」とした.自身で取り組む課題を「定時にパーキンソン体操をする/病院スタッフと廊下を歩く/調子が悪い時は周囲に助けを頼む」とした.周囲のサポート内容は,ケアマネジャーに「退院後のサービス調整」,リハスタッフに「歩行練習を一緒にする/パーキンソン体操の検討・方法の指導/安全な日常生活動作の指導」,看護師に「歩行練習に付き合う/動けない時の介助」を求めた.これらの内容を冊子にまとめ,視覚的な意識付けをした.また方法志向的因子が低下しているため体操の内容はOTRが提案し,事例と検討し同意した内容でメニューを作成した.
介入30日目:SAMRの合計点は64点で状態はやや高い,方法志向的因子の項目平均点は6.2点となった.事例は「廊下を歩くのは午前中で目標達成する」「体調によって同じ時間でも体操の時に体の動きが違う」と毎日自身で取り組む課題や目標を達成した内容や体調面の変化に対する発言が聞かれた.また,「この運動方法は自分に合っている」「退院後もメニューを継続出来そう」と介入方法への好感と,今後の生活にも意識を向けられるようになった.
【考察】進行性の疾患は機能低下や動作に介助が必要となるため,今後の生活の展望や目標が立てられず,目標に対して消極的になりやすいと考える.本事例も開始時は悲観的な発言が見られたが,事例の達成動機の状態を考慮しながら面接で具体的な生活行為に結びつく目標設定と達成の段階づけ,具体的な行動計画や周囲の支援を明確化した.自身の行動による変化や適切な援助を実感でき,目標への見通しが得られたことで本事例の達成動機の向上や行動変容が見られたため,パーキンソン病患者へのSAMR評価と面接を用いた介入の有用性が示唆された.