[PE-3-4] ポスター:神経難病 3意思伝達装置の導入で思いが伝えられ満足度向上が得られた筋強直性ジストロフィー患者について
【はじめに】神経難病の中で最も重篤な疾患といわれているのは筋ジストロフィーである.筋強直性ジストロフィーは成人で最も頻度の高い筋ジストロフィー症であり,骨格筋だけではなく多臓器を侵す進行性の全身疾患である.今回,長期入院目的で筋強直性ジストロフィー患者を担当した.長期的な関わりの中で二期にかけて本人・家族と一緒にMTDLPを用いて目標を立案し介入を行った.その中で,実行度・満足度共に向上がみられたため以下に報告する.
【症例紹介】60歳代男性,妻と二人暮らし.X年に筋強直性ジストロフィー発症,X+12年に嚥下障害進行し胃瘻造設,自宅療養で過ごされていた.X+17年にSpO2低下ありA病院に緊急搬送,家族希望にて人工呼吸器管理となり,咽頭気管分離術にて気管切開を実施.その後,状態安定したため看取り目的にて当院入院となる.
【OT評価】FIM28点,ROM(両肩屈曲90度,両股関節屈曲100度),GMT全身1レベル(肩甲帯周囲,右前腕回内,母指橈側内外転は2レベル)コミュニケーションはYes-Noでの返答可能,単語レベルは口唇の動きである程度理解可能.両腓骨頭に褥瘡.DESIGN-R:d2-e1,s3,i0,g0,n0=4点
パームQ:頭部43.2, 右肘5, 左肘17.1, 仙骨17.1 ,両腓骨頭0,右踵0,左踵5.4mmHg
【経過と結果】
第1期
合意目標:妻介助の元,(床走行式)リフトを用いて車椅子離床(20-30分)ができるようになる.実行度1/10,満足度1/10点
前期:セラピストでの車椅子離床訓練で離床出来るようになったことで,妻と本人より在宅看取の願望を聴取,MTDLPにて上記の合意目標を立てた.スライディングシート・クッションを購入してもらい,ポジショニング方法や移乗方法の指導行う.ケアマネに在宅支援のサービスを依頼.
後期:妻介助にて車椅子移乗可能,合意目標も達成(実行度5点,満足度6点).退院調整を進めていたが,在宅看取りに対しケアマネが難渋を示す.何度か協力を仰ぐが同意は得られず.退院調整中に状態悪化,胃瘻での栄養管理が困難となりCV管理となる.その結果在宅復帰が困難となった.
第2期
合意目標:オリヒメを使って妻と会話が出来るようになりたい,実行度1/10点,満足度2/10点
前期:在宅復帰が困難になったことで妻・本人共にショックを受け,次に向けての目標が立てられずにいた.再度MTDLP を実施,妻と会話が出来るようになりたいという本人と妻の思いを尊重し目標を立案.業者に依頼しオリヒメを導入.
後期:オリヒメアイでコミュニケーション獲得を試みたが右斜視により断念,ディップスポンジセンサを使用し,右手で操作し文字を入力するよう指導.その結果,自力での文字が入力可能となった.(実行度8/10点,満足度10/10点)
【考察】1期で在宅復帰は困難でモチベーション低下が見られた.2期でオリヒメの導入により,自分の言葉で話せることが可能となった.オリヒメ導入により本人の一番の思いは帰れないことよりも,胃瘻が出来なくなったことが一番大きな出来事であることが分かった.胃瘻でも胃に入ることの満腹感があったが,それがなくなってしまいかなり落ち込んでいた.進行性疾患により一つずつできなくなることが増えていき,そのたびに喪失感や悲観的な気持ちになっていたが,今回オリヒメで意思伝達する機会を再獲得し自分の意志が伝えられたことで,本当の思いや気持ちを人に伝えることができたことが今回遂行度・満足度向上が高かった要因と考えた.
【症例紹介】60歳代男性,妻と二人暮らし.X年に筋強直性ジストロフィー発症,X+12年に嚥下障害進行し胃瘻造設,自宅療養で過ごされていた.X+17年にSpO2低下ありA病院に緊急搬送,家族希望にて人工呼吸器管理となり,咽頭気管分離術にて気管切開を実施.その後,状態安定したため看取り目的にて当院入院となる.
【OT評価】FIM28点,ROM(両肩屈曲90度,両股関節屈曲100度),GMT全身1レベル(肩甲帯周囲,右前腕回内,母指橈側内外転は2レベル)コミュニケーションはYes-Noでの返答可能,単語レベルは口唇の動きである程度理解可能.両腓骨頭に褥瘡.DESIGN-R:d2-e1,s3,i0,g0,n0=4点
パームQ:頭部43.2, 右肘5, 左肘17.1, 仙骨17.1 ,両腓骨頭0,右踵0,左踵5.4mmHg
【経過と結果】
第1期
合意目標:妻介助の元,(床走行式)リフトを用いて車椅子離床(20-30分)ができるようになる.実行度1/10,満足度1/10点
前期:セラピストでの車椅子離床訓練で離床出来るようになったことで,妻と本人より在宅看取の願望を聴取,MTDLPにて上記の合意目標を立てた.スライディングシート・クッションを購入してもらい,ポジショニング方法や移乗方法の指導行う.ケアマネに在宅支援のサービスを依頼.
後期:妻介助にて車椅子移乗可能,合意目標も達成(実行度5点,満足度6点).退院調整を進めていたが,在宅看取りに対しケアマネが難渋を示す.何度か協力を仰ぐが同意は得られず.退院調整中に状態悪化,胃瘻での栄養管理が困難となりCV管理となる.その結果在宅復帰が困難となった.
第2期
合意目標:オリヒメを使って妻と会話が出来るようになりたい,実行度1/10点,満足度2/10点
前期:在宅復帰が困難になったことで妻・本人共にショックを受け,次に向けての目標が立てられずにいた.再度MTDLP を実施,妻と会話が出来るようになりたいという本人と妻の思いを尊重し目標を立案.業者に依頼しオリヒメを導入.
後期:オリヒメアイでコミュニケーション獲得を試みたが右斜視により断念,ディップスポンジセンサを使用し,右手で操作し文字を入力するよう指導.その結果,自力での文字が入力可能となった.(実行度8/10点,満足度10/10点)
【考察】1期で在宅復帰は困難でモチベーション低下が見られた.2期でオリヒメの導入により,自分の言葉で話せることが可能となった.オリヒメ導入により本人の一番の思いは帰れないことよりも,胃瘻が出来なくなったことが一番大きな出来事であることが分かった.胃瘻でも胃に入ることの満腹感があったが,それがなくなってしまいかなり落ち込んでいた.進行性疾患により一つずつできなくなることが増えていき,そのたびに喪失感や悲観的な気持ちになっていたが,今回オリヒメで意思伝達する機会を再獲得し自分の意志が伝えられたことで,本当の思いや気持ちを人に伝えることができたことが今回遂行度・満足度向上が高かった要因と考えた.