[PE-3-5] ポスター:神経難病 3神経難病患者の上肢使用による作業困難感が軽減した一例―COPMを通した介入について―
【はじめに】慢性炎症性脱髄性多発神経炎(以下CIDP)は自己免疫性末梢神経障害であり,左右対称性の四肢近遠位筋の筋力低下を主徴した原因不明の末梢神経疾患である.「手の機能は物(道具)に対して扱い・操作することで我々のADLや作業・仕事遂行に支障をきたす.(白石,2010)」としている.今回COPMを通して具体的な目標を掲げながら,生活範囲での麻痺手の使用頻度と受容が拡大した事例を経験したため報告する.本報告に際して本事例に説明し同意を得ている.
【事例紹介】40歳代男性,左利き,発症後もADL自立.仕事は製造業.X年左母趾がピリピリして動かし辛さを自覚.X+3年急な手の脱力あり,徐々に悪化.X+5年Y月Z日B病院に入院,9日後退院.Y+1月にB病院から当院紹介,外来リハビリ開始.主訴は「利き手で細かい作業が行えるようになりたい.」であった.
【作業療法評価】左遠位部優位の筋出力低下,筋萎縮,手指巧緻障害を認めた.上肢筋力はMMT(右/左)にて肩・肘粗大筋力MMT5,掌屈5/4,背屈5/2,手指屈曲5/4,総指伸筋5/1,短拇指伸筋5/1,長拇指伸筋5/3であり,握力(右/左)33.7kg/15.8kgであった.手背屈40°と橈屈10°とROM制限を認めた.簡易上肢機能評価(以下STEF)は(右)98点(左)82点であり上肢の操作効率・俊敏性共に減退がみられた.ADL評価ではBI:100点,DASH機能障害/症状スコア49点・選択項目スコア仕事56点,Hand20:36/90点(一部除外)と非利き手の代償が目立った.
【目標設定と介入経過】COPM(満足/遂行)による目標設定と介入経過を記す.①「利き手で箸操作が出来る(5/5)」,②「電動歯ブラシを使える(7/7)」,③「コップを把持することが出来る(1/1)」,④「傘を差すことが出来る(1/1)」,上記生活動作を目標に通院1-3ヵ月間で前腕筋~手関節屈筋群優位の代償動作軽減のためIVES(手指装着型電極:FEE)を利用して相反性抑制により動作の円滑性向上・質的改善を図った.⑤「六角レンチ/スパナが使用できる(1/1)」,3ヵ月経過し左拇指球萎縮により仕事上で物品把持・操作に難渋する事から短対立静的装具作成.OT室ではIVES治療と装具療法を併用して訓練を実施.
【結果】手背屈60°とROM拡大,握力(右/左)35.5kg/17.2kgと筋出力向上,MMT(右/左)手背屈5/4,長拇指伸筋5/4と介入前と比較して手関節筋力の向上を認めたが,手指伸筋の随意性は変わらなかった.STEF(右)97点(左)91点と正確性・俊敏性の向上を認めた.ADL評価はDASH機能障害/症状スコア40点・選択項目スコア仕事50点,Hand20:21/90点(一部除外)と利き手の使用が増え,生活動作の不自由さが軽減された.COPM①(7/7),唐揚げ程度の重量のものは箸で掴むことが可能.②(9/9),日常生活上での質的向上が得られた.③(7/7),形状問わず把持・操作が可能となったがジョッキなど重量があるものは難渋した.④(6/6),天候に左右されるが,歩きながら5分間持続して傘が把持出来るようになった.⑤(4/4),拇指対立装具着用により数分,利き手の参加が可能となった.またデスクワークにて,装具着用して2時間以上連続で使用を認めた.
【考察】CIDPの事例に対してCOPMで定めた目標に,IVESと装具療法を併用して約6ヵ月間介入を行った.「末梢性の作用機序として①標的筋の筋力増強②随意運動と電気刺激による相反抑制による拮抗筋の過度の筋緊張抑制が考えられる(原,2011)」と報告されている.今回IVES使用によりモーターポイントを触知して手関節背屈筋を中心に随意収縮が得られ,複合的運動においても生活動作に反映が可能となった.また,装具療法を併用したことで利用者の残存機能を活かし作業効率や利便性が高められた.遂行度や満足度が向上し,本人の生活遂行能力を引き出すための環境整備が成されたと考えられる.
【事例紹介】40歳代男性,左利き,発症後もADL自立.仕事は製造業.X年左母趾がピリピリして動かし辛さを自覚.X+3年急な手の脱力あり,徐々に悪化.X+5年Y月Z日B病院に入院,9日後退院.Y+1月にB病院から当院紹介,外来リハビリ開始.主訴は「利き手で細かい作業が行えるようになりたい.」であった.
【作業療法評価】左遠位部優位の筋出力低下,筋萎縮,手指巧緻障害を認めた.上肢筋力はMMT(右/左)にて肩・肘粗大筋力MMT5,掌屈5/4,背屈5/2,手指屈曲5/4,総指伸筋5/1,短拇指伸筋5/1,長拇指伸筋5/3であり,握力(右/左)33.7kg/15.8kgであった.手背屈40°と橈屈10°とROM制限を認めた.簡易上肢機能評価(以下STEF)は(右)98点(左)82点であり上肢の操作効率・俊敏性共に減退がみられた.ADL評価ではBI:100点,DASH機能障害/症状スコア49点・選択項目スコア仕事56点,Hand20:36/90点(一部除外)と非利き手の代償が目立った.
【目標設定と介入経過】COPM(満足/遂行)による目標設定と介入経過を記す.①「利き手で箸操作が出来る(5/5)」,②「電動歯ブラシを使える(7/7)」,③「コップを把持することが出来る(1/1)」,④「傘を差すことが出来る(1/1)」,上記生活動作を目標に通院1-3ヵ月間で前腕筋~手関節屈筋群優位の代償動作軽減のためIVES(手指装着型電極:FEE)を利用して相反性抑制により動作の円滑性向上・質的改善を図った.⑤「六角レンチ/スパナが使用できる(1/1)」,3ヵ月経過し左拇指球萎縮により仕事上で物品把持・操作に難渋する事から短対立静的装具作成.OT室ではIVES治療と装具療法を併用して訓練を実施.
【結果】手背屈60°とROM拡大,握力(右/左)35.5kg/17.2kgと筋出力向上,MMT(右/左)手背屈5/4,長拇指伸筋5/4と介入前と比較して手関節筋力の向上を認めたが,手指伸筋の随意性は変わらなかった.STEF(右)97点(左)91点と正確性・俊敏性の向上を認めた.ADL評価はDASH機能障害/症状スコア40点・選択項目スコア仕事50点,Hand20:21/90点(一部除外)と利き手の使用が増え,生活動作の不自由さが軽減された.COPM①(7/7),唐揚げ程度の重量のものは箸で掴むことが可能.②(9/9),日常生活上での質的向上が得られた.③(7/7),形状問わず把持・操作が可能となったがジョッキなど重量があるものは難渋した.④(6/6),天候に左右されるが,歩きながら5分間持続して傘が把持出来るようになった.⑤(4/4),拇指対立装具着用により数分,利き手の参加が可能となった.またデスクワークにて,装具着用して2時間以上連続で使用を認めた.
【考察】CIDPの事例に対してCOPMで定めた目標に,IVESと装具療法を併用して約6ヵ月間介入を行った.「末梢性の作用機序として①標的筋の筋力増強②随意運動と電気刺激による相反抑制による拮抗筋の過度の筋緊張抑制が考えられる(原,2011)」と報告されている.今回IVES使用によりモーターポイントを触知して手関節背屈筋を中心に随意収縮が得られ,複合的運動においても生活動作に反映が可能となった.また,装具療法を併用したことで利用者の残存機能を活かし作業効率や利便性が高められた.遂行度や満足度が向上し,本人の生活遂行能力を引き出すための環境整備が成されたと考えられる.