[PJ-1-6] ポスター:高齢期 1ロジスティック回帰分析を用いた大腿骨近位部骨折患者の入浴動作に及ぼす因子の検討
浴槽内台の使用の有無について
【はじめに】当院では,入浴においてOTの経験則により福祉用具要否を判断しているが根拠は無く,有効な指標を述べた研究は稀少である.本研究は入院時の身体機能評価から浴槽内起立時の浴槽内台要否に関わる因子を検討することを目的とした.
【意義】入院時の機能評価から,浴槽内での起立動作が可能となる因子を明らかにすることで,福祉用具の有無の指標の一つとなると考えた.
【対象】R2.1月~R3.11月に当院に入院した大腿骨転子部・頚部骨折を受傷し,棟内移動(車椅子以外)自立患者とした.中枢神経系疾患,両側大腿骨骨折(既往を含む),上下肢同時骨折,MMSE-J 23点以下,精神疾患,受傷前入浴要介助者を除外した62例(男性22例,女性40例,転子部骨折28例,頸部骨折34例,右下肢骨折26例,左下肢骨折36例,年齢81.0±11.4歳:平均±標準偏差)であった.本研究は倫理的配慮として入院時に承諾を得て実施し,個人情報の取り扱いには十分に留意した.
【方法】退院時の起立動作を浴槽内台不要群と使用群に分け,上肢MMT(肩屈曲),握力,下肢MMT(膝伸展),MMSE-J,FIM(浴槽移乗)点数を選出した.FBS,起立模擬動作は情報が不十分であった為除外した.各々の因子には正規性の検定の後,Mann-Whitney検定を用い群間比較し.有意差を認めた因子についてロジスティック回帰分析を行い,抽出された優位な変数についてのみROC曲線を用いて感度,特異度,AUCからカットオフ値を求めた.全ての検定に置いて優位水準は5%とした.統計ソフトはEZRver1.40を使用した.
【結果】浴槽内台使用群と比較し,不要群では上肢MMT・握力・健側下肢MMTに有意差が見られた.ロジスティック回帰分析の結果,有意な独立変数は握力(オッズ比0.794,95%信頼区間0.645~0.977),健側下肢MMT(オッズ比0.143,95%信頼区間0.032~0.639
)が選択された.ROC曲線より算出されたカットオフ値が握力14.2kg(感度85.7%,特異度66.7%,AUC0.816)となった.
【考察】入浴時の起立動作に浴槽内台が不要となる因子として,握力・健側下肢MMTが選択された.起立動作の運動学的側面より,骨盤前傾や股関節屈曲を上肢の引き込み動作で代償する為に握力が関係することが示唆された.新田らは「加齢に伴い起立動作は上肢に依存し,手すり把持の握力が起立可否の要因となる.」と述べている.また,握力のカットオフ値として14.2kgが算出されたが,新田らは80歳代の握力平均を16.5kg(SD6.8)としている為,結果は妥当であると考える.
【意義】入院時の機能評価から,浴槽内での起立動作が可能となる因子を明らかにすることで,福祉用具の有無の指標の一つとなると考えた.
【対象】R2.1月~R3.11月に当院に入院した大腿骨転子部・頚部骨折を受傷し,棟内移動(車椅子以外)自立患者とした.中枢神経系疾患,両側大腿骨骨折(既往を含む),上下肢同時骨折,MMSE-J 23点以下,精神疾患,受傷前入浴要介助者を除外した62例(男性22例,女性40例,転子部骨折28例,頸部骨折34例,右下肢骨折26例,左下肢骨折36例,年齢81.0±11.4歳:平均±標準偏差)であった.本研究は倫理的配慮として入院時に承諾を得て実施し,個人情報の取り扱いには十分に留意した.
【方法】退院時の起立動作を浴槽内台不要群と使用群に分け,上肢MMT(肩屈曲),握力,下肢MMT(膝伸展),MMSE-J,FIM(浴槽移乗)点数を選出した.FBS,起立模擬動作は情報が不十分であった為除外した.各々の因子には正規性の検定の後,Mann-Whitney検定を用い群間比較し.有意差を認めた因子についてロジスティック回帰分析を行い,抽出された優位な変数についてのみROC曲線を用いて感度,特異度,AUCからカットオフ値を求めた.全ての検定に置いて優位水準は5%とした.統計ソフトはEZRver1.40を使用した.
【結果】浴槽内台使用群と比較し,不要群では上肢MMT・握力・健側下肢MMTに有意差が見られた.ロジスティック回帰分析の結果,有意な独立変数は握力(オッズ比0.794,95%信頼区間0.645~0.977),健側下肢MMT(オッズ比0.143,95%信頼区間0.032~0.639
)が選択された.ROC曲線より算出されたカットオフ値が握力14.2kg(感度85.7%,特異度66.7%,AUC0.816)となった.
【考察】入浴時の起立動作に浴槽内台が不要となる因子として,握力・健側下肢MMTが選択された.起立動作の運動学的側面より,骨盤前傾や股関節屈曲を上肢の引き込み動作で代償する為に握力が関係することが示唆された.新田らは「加齢に伴い起立動作は上肢に依存し,手すり把持の握力が起立可否の要因となる.」と述べている.また,握力のカットオフ値として14.2kgが算出されたが,新田らは80歳代の握力平均を16.5kg(SD6.8)としている為,結果は妥当であると考える.