[PJ-3-4] ポスター:高齢期 3当院回復期病棟から自宅退院後の再入院要因の検討
在宅継続日数による比較検討
【目的】回復期病棟から退院した患者のうち,何らかの理由により再入院となる場合がある.再入院予防策を検討する上で,再入院の発生因子を把握することは重要である.先行研究では,退院直後の再入院発生を高める個人因子として高齢,特定の疾患の有病,ADL障害などが示されてきた.しかし,再入院までの在宅継続日数で要因を比較した研究は少ない.そこで今回,再入院までの在宅継続日数で比較を行い,要因分析を行った.
【対象】当院の回復期病棟を2020年4月1日から2021年3月31日までに退院した患者は279名であった.急変や加療のため入棟から7日以内の転棟,転院した患者や重複患者を除外とし,さらに自宅への退院患者に限定した185名を対象とした.
【方法】自宅退院した患者185名の診断名,年齢,性別,入棟期間,FIM(運動項目,認知項目,合計,利得),入棟中の総実施単位数,介護度,同居人の有無,介護サービスの有無を電子カルテより後方視的に抽出し,在宅継続群と再入院群(30日以内の再入院群,90日以内の再入院群,365日以内の再入院群)の2群間で比較した.なお,統計解析における有意水準は5%とした.
【倫理的配慮】本研究は後方視的研究となるため,個人情報の取り扱い,情報分析に使用したデータに十分配慮した.
【結果】上記対象患者のうち再入院は64名(34.6%)であり,その内訳は30日以内が8名(4.3%),90日以内は17名(9.2%),365日以内は39名(21.1%)であった.2群間比較(在宅継続群:再入院群)において30日以内の再入院群との比較では入院時認知項目FIM(20.8±6.1:16.1±5.7,P=0.038),退院運動項目FIM(75.9±14.7:66.0±16.8,P=0.042)において有意差があった.また31-90日以内の再入院群との比較では退院時運動項目FIM(75.9±14.7:68.5±17.3,P=0.040),退院時FIM合計(102.8±19.8:92.9±21.8,P=0.040)において有意差があった.さらに91-365日以内の再入院群の比較では退院時運動項目FIM(75.9±14.7:70.9±12.9,P=0.005),退院時認知項目FIM(26.9±6.4:24.6±5.8,P=0.029),退院時FIM合計(102.8±19.8:95.6±17.0,P=0.005),介護サービス利用(P=0.011)に有意差があった.在宅継続日数に関わらず,在院日数と提供単位数,同居人の有無に関して有意差はなかった.
【考察】結果より30日以内の早期再入院に関しては,先行研究同様に認知機能面の低下が在宅継続に影響を与える要因であると考えられる.90日以内の再入院に関しては退院時の運動項目が影響し,1年以内の再入院では退院時の身体機能面に加え,認知機能面が影響を与えることが示唆される.また,退院後の生活指導や活動量維持の目的で訪問リハビリなど介護サービス導入を提案することも多い.しかし,本研究では介護サービスの有無が早期の再入院に対し有意差を認めないという結果であった.在宅生活を支援するものとして,同居人,介護サービス利用という項目においては元々身体機能やADL能力の高い患者において社会保障制度の利用や他者の介助を必要としていなかったという背景があったためと考える.これは本研究における限界として今後,患者の個人因子や背景などを統一して要因の検討を行うことも重要である.これら結果を用いて,退院後訪問による指導や生活不安の聴取,福祉用具の使用状況確認,支援者への介助指導の徹底,長期的なリハビリの関わりなどより充実させていく必要があると考える.近年,新型コロナウイルス感染症の影響で家族などの支援者との面会や介護指導の時間が確保できないことも増えている.そのため,オンラインを活用した新たな指導方法や提案など新たな取り組みを始め再入院の予防に努めたい.
【対象】当院の回復期病棟を2020年4月1日から2021年3月31日までに退院した患者は279名であった.急変や加療のため入棟から7日以内の転棟,転院した患者や重複患者を除外とし,さらに自宅への退院患者に限定した185名を対象とした.
【方法】自宅退院した患者185名の診断名,年齢,性別,入棟期間,FIM(運動項目,認知項目,合計,利得),入棟中の総実施単位数,介護度,同居人の有無,介護サービスの有無を電子カルテより後方視的に抽出し,在宅継続群と再入院群(30日以内の再入院群,90日以内の再入院群,365日以内の再入院群)の2群間で比較した.なお,統計解析における有意水準は5%とした.
【倫理的配慮】本研究は後方視的研究となるため,個人情報の取り扱い,情報分析に使用したデータに十分配慮した.
【結果】上記対象患者のうち再入院は64名(34.6%)であり,その内訳は30日以内が8名(4.3%),90日以内は17名(9.2%),365日以内は39名(21.1%)であった.2群間比較(在宅継続群:再入院群)において30日以内の再入院群との比較では入院時認知項目FIM(20.8±6.1:16.1±5.7,P=0.038),退院運動項目FIM(75.9±14.7:66.0±16.8,P=0.042)において有意差があった.また31-90日以内の再入院群との比較では退院時運動項目FIM(75.9±14.7:68.5±17.3,P=0.040),退院時FIM合計(102.8±19.8:92.9±21.8,P=0.040)において有意差があった.さらに91-365日以内の再入院群の比較では退院時運動項目FIM(75.9±14.7:70.9±12.9,P=0.005),退院時認知項目FIM(26.9±6.4:24.6±5.8,P=0.029),退院時FIM合計(102.8±19.8:95.6±17.0,P=0.005),介護サービス利用(P=0.011)に有意差があった.在宅継続日数に関わらず,在院日数と提供単位数,同居人の有無に関して有意差はなかった.
【考察】結果より30日以内の早期再入院に関しては,先行研究同様に認知機能面の低下が在宅継続に影響を与える要因であると考えられる.90日以内の再入院に関しては退院時の運動項目が影響し,1年以内の再入院では退院時の身体機能面に加え,認知機能面が影響を与えることが示唆される.また,退院後の生活指導や活動量維持の目的で訪問リハビリなど介護サービス導入を提案することも多い.しかし,本研究では介護サービスの有無が早期の再入院に対し有意差を認めないという結果であった.在宅生活を支援するものとして,同居人,介護サービス利用という項目においては元々身体機能やADL能力の高い患者において社会保障制度の利用や他者の介助を必要としていなかったという背景があったためと考える.これは本研究における限界として今後,患者の個人因子や背景などを統一して要因の検討を行うことも重要である.これら結果を用いて,退院後訪問による指導や生活不安の聴取,福祉用具の使用状況確認,支援者への介助指導の徹底,長期的なリハビリの関わりなどより充実させていく必要があると考える.近年,新型コロナウイルス感染症の影響で家族などの支援者との面会や介護指導の時間が確保できないことも増えている.そのため,オンラインを活用した新たな指導方法や提案など新たな取り組みを始め再入院の予防に努めたい.