第56回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

高齢期

[PJ-7] ポスター:高齢期 7

2022年9月17日(土) 13:30 〜 14:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PJ-7-2] ポスター:高齢期 7介護保険制度における介護福祉士の連携の実態

作業療法士とのよりよい連携実践をめざして

森木 勇一郎1笹田 哲2 (1介護老人保健施設 都筑シニアセンター,2神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科)

<はじめに>保健福祉領域におけるクライエント(以下,CL)支援は,多職種の連携が不可欠で,他職種の理解を深めていく事は重要である.作業療法士(以下,OT)は,様々な領域でCL支援を実施しているが,介護保険下では介護福祉士(以下,CW)との連携は必須であり,今後さらに必要性は高まっていくと考えられる.多職種連携についての先行研究は数多くなされていおり,CWに焦点をあてた研究は横山(2020)の文献レビューがある.しかし,介護保険が制度化され施行された2000年から2021年までのCWの連携実態についての文献レビューは見当たらない.介護保険下での多職種連携を考える中で,過去のCWの連携の実態を知ることは,今後OTがCWと多職種連携実践を促進するために必要不可欠の知識と考えられる.以上より,本研究の目的をOTとCWの連携構築の一助とするために,文献レビューから,連携の実態の知見を得ることとする.なお,本研究に開示すべきCOIはない.
<方法>医中誌Webにて「介護福祉士」,「職種」,「連携」で原著論文を2000年から2021年(検索日2021.12.14)の期間で検索した.除外基準として,研究対象に「介護福祉士」が含まれない文献,事例報告の文献を除外した.なお,連携教育の知見も必要と考え,有資格者ではないが介護福祉士養成校の学生を対象とした文献も研究対象とした.
<結果>119件を検索し,除外は37件で,82件を研究の対象とした.各文献の研究対象の職種は,CWを含んだ3職種以上が26件,CWのみが13件,CWと看護師(以下,NS)が10件,学生が7件,留学生が2件,教員が2件,その他が20件であった.内容は,複数あった文献で,連携場面についての文献が18件(食事5件•看取り4件•カンファレンス3件•個別機能訓練2件•排泄ケア2件•情報共有2件),連携の教育についてが14件,連携の意識についてが4件,連携の役割についてが4件,連携の課題についてが2件,留学生についてが2件,その他の文献は単数で38件であった.文献の年代としては2004年〜2009年が11件,2010年〜2019年が59件,2020年以降は12件で,2018年の10件が最も多かった.また,筆頭著者の所属は大学が最も多く60件,次いで病院が15件,専門学校が5件,施設その他が2件だった.
<考察>研究対象は3職種以上としている文献が最も多く,次いでCWのみを対象としている文献が多かった.これはCWが,2000年の約20万人から2021年には約180万人で保健福祉領域で最も多くなっており,CWへの連携する相手としての注目度の高まりが示唆される.またCWとNSの2職種を研究対象とした文献も多く見られた.理由として,袖山ら(2012)はCWとNSはお互いに連携相手として優先度を高く見ているという結果を示しており,また,人数が多く,ケアの内容の重複が多いといわれている(山本,2019).これらから,お互いを重要視していることが予測され,文献が多いことに繋がったと考えられる.さらに,研究内容については,連携場面ついての研究が最も多く,連携を実践することへの関心が高いことが示唆される.一方,年代では2018年まで増加傾向であったが,2018年から2021年では減少傾向であり,近年,関心の高まりは飽和してきたことも示唆される.また,筆頭著者の所属は大学が最も多かった.それ以外は,病院所属の筆頭著者が多く,施設等所属が2件であった.介護保険下では施設がCWの職域であることが多い.その為,臨床現場からの研究が増加することで,実践の実態の知見が今後より強化されるものと考える.