[PM-1-1] ポスター:MTDLP 1くも膜下出血を呈したクライエントが復職に至った一例
生活行為向上マネジメント(MTDLP)を活用した介入
【はじめに】
今回,クモ膜下出血により左片麻痺・高次脳機能障害を呈したクライエント(CL)に対し課題の明確化やチームアプローチの促進の為にMTDLPを活用して介入し,復職に至った経験を得たため以下に報告する.なお研究の報告に関して,本人へ十分な説明の後,書面をもって了承を得ている.
【症例紹介】
50代前半,女性,夫・義両親・義理息子と5人暮らし.X年Y月Z日,仕事中に意識消失しクモ膜下出血を発症.急性期病院よりZ+46日に回復期病院に転院.回復期病院では移動手段やADLの向上を図るとともにCLが希望する調理訓練も行い,Z+196日退院.退院して3日後のZ+199日にADLや移動の自立,家事役割の獲得,自営業(実家敷地内のお弁当屋)再開のため訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)利用開始となった.
【作業療法評価】
開始時は入院時から希望のあった復職について尋ねるも,「左手がもう少し動くようにならないと・・・」と躊躇していた.訪問リハを継続して半年が経過し,洗濯物の取り込みや調理する機会が増え,生活行為が拡大してきた頃に対象者から,「そろそろ味噌作りからでも始めてみようか」との発言が聞かれ,再度面接を実施.MTDLPを活用し評価を実施した. BRS上肢Ⅲ・下肢Ⅳ・手指Ⅲ,表在・深部共に中等度鈍麻の感覚障害,TMT-A:1分04秒,TMT-B:1分14秒,MMSE:29点,BADS:93,BI:85点,FAI:17点,老研式活動能力指標:15点.アセスメントの結果,合意目標として「3ヶ月後,週に1~2回家族の協力の下,以前出品していた市へ味噌を出品し仕事が再開できる」ことと設定.実行度,満足度ともに1.生活行為向上プランとして基本的プログラムは自主訓練での机上課題,四肢・体幹ストレッチ.応用的プログラムは屋外歩行練習,調理練習,ラッピング練習,味噌作りで支援が必要な工程の情報提供,お店の環境整備,復職に関する公的サービスの確認依頼,出品するお店の情報提供をOTや家族,ケアマネジャーと連携し介入した.
【結果】
TMT-A:37秒94,TMT-B:1分21秒54,MMSE:29点,BADS:98,BI:90点.FAI:22点,老研式活動能力指標:16点と著明な変化は認めなかったが,完全受注販売にて仕事を再開.合意目標は実行度7,満足度7と大きな改善を認めた.
【考察】
今回,復職に至った要因として1つ目にMTDLPを実施した時期を挙げる.入院当初からの希望であった復職に対して訪問リハ介入開始時は躊躇しており,内的期待は低かった.しかし,訪問リハを継続していく中でIADLが拡大し,内的期待が高まったことで復職に目を向けられたのではないかと考える.2つ目にMTDLPを活用した結果,家族やケアマネジャーの役割が明確になり,チームアプローチを促進させることができたことを挙げる.訪問リハ開始時より家族や周囲からも復職が望まれており,外的期待は高かった.支援を明確化することで,手厚く的確な支援が得られたと考える.MTDLPを活用することで,OTがプレイヤーとして働きかけるだけではなく,マネジメントも行うことで,的確なタイミングを逃すことなくチームアプローチを促進させることができると考える.
今回,クモ膜下出血により左片麻痺・高次脳機能障害を呈したクライエント(CL)に対し課題の明確化やチームアプローチの促進の為にMTDLPを活用して介入し,復職に至った経験を得たため以下に報告する.なお研究の報告に関して,本人へ十分な説明の後,書面をもって了承を得ている.
【症例紹介】
50代前半,女性,夫・義両親・義理息子と5人暮らし.X年Y月Z日,仕事中に意識消失しクモ膜下出血を発症.急性期病院よりZ+46日に回復期病院に転院.回復期病院では移動手段やADLの向上を図るとともにCLが希望する調理訓練も行い,Z+196日退院.退院して3日後のZ+199日にADLや移動の自立,家事役割の獲得,自営業(実家敷地内のお弁当屋)再開のため訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)利用開始となった.
【作業療法評価】
開始時は入院時から希望のあった復職について尋ねるも,「左手がもう少し動くようにならないと・・・」と躊躇していた.訪問リハを継続して半年が経過し,洗濯物の取り込みや調理する機会が増え,生活行為が拡大してきた頃に対象者から,「そろそろ味噌作りからでも始めてみようか」との発言が聞かれ,再度面接を実施.MTDLPを活用し評価を実施した. BRS上肢Ⅲ・下肢Ⅳ・手指Ⅲ,表在・深部共に中等度鈍麻の感覚障害,TMT-A:1分04秒,TMT-B:1分14秒,MMSE:29点,BADS:93,BI:85点,FAI:17点,老研式活動能力指標:15点.アセスメントの結果,合意目標として「3ヶ月後,週に1~2回家族の協力の下,以前出品していた市へ味噌を出品し仕事が再開できる」ことと設定.実行度,満足度ともに1.生活行為向上プランとして基本的プログラムは自主訓練での机上課題,四肢・体幹ストレッチ.応用的プログラムは屋外歩行練習,調理練習,ラッピング練習,味噌作りで支援が必要な工程の情報提供,お店の環境整備,復職に関する公的サービスの確認依頼,出品するお店の情報提供をOTや家族,ケアマネジャーと連携し介入した.
【結果】
TMT-A:37秒94,TMT-B:1分21秒54,MMSE:29点,BADS:98,BI:90点.FAI:22点,老研式活動能力指標:16点と著明な変化は認めなかったが,完全受注販売にて仕事を再開.合意目標は実行度7,満足度7と大きな改善を認めた.
【考察】
今回,復職に至った要因として1つ目にMTDLPを実施した時期を挙げる.入院当初からの希望であった復職に対して訪問リハ介入開始時は躊躇しており,内的期待は低かった.しかし,訪問リハを継続していく中でIADLが拡大し,内的期待が高まったことで復職に目を向けられたのではないかと考える.2つ目にMTDLPを活用した結果,家族やケアマネジャーの役割が明確になり,チームアプローチを促進させることができたことを挙げる.訪問リハ開始時より家族や周囲からも復職が望まれており,外的期待は高かった.支援を明確化することで,手厚く的確な支援が得られたと考える.MTDLPを活用することで,OTがプレイヤーとして働きかけるだけではなく,マネジメントも行うことで,的確なタイミングを逃すことなくチームアプローチを促進させることができると考える.