[PM-1-2] ポスター:MTDLP 1生活行為の形態を聴取することで掴めた糸口
周りのサポートを活用して社会参加を促せた事例
【はじめに】 日本作業療法士協会が発行している「地域包括ケアシステム参加の手引き」では,作業療法士の役割として生活行為向上のための助言と指導が述べられている. その内容として, 環境や社会資源の活用などが求められている. 今回, 対象者の生活行為で関わる友人達を含め支援することで社会参加を促進できた経験を得たので考察を加え報告する.
【症例紹介】 A氏. 70代男性. 独居. 元バスの運転手. 退職後, 友人達とカラオケや食事に行くことが日課であった. 月一回,友人の息子の墓参りに行っていた. 現病歴はアテローム血栓性脳梗塞. 発症後に前院に入院, 一ヶ月後リハビリテーション目的で当院へ転院した.
【方法】 主訴は「一人で生活できるようになりたい, 歩けるようになりたい」. 生活行為の必要性とともに段階的に目標を決めていくことを説明し, 合意目標を「お風呂に安全に入れる」とした.作業療法ではADL, IADL訓練, 上肢訓練を実施した. FIM57/126. STEF(右89/100, 左27/100). FMA105/126. MAL(AOU1.1/5, QOM1.2/5). MMSE30/30. なお本研究は, 当院「倫理委員会」承認のもと本人への説明と同意を得て実施した.
【経過・結果】一ヶ月目: 入浴訓練と更衣訓練を実施. 並行して自主訓練指導とIVES, 課題指向型アプローチによる上肢訓練を実施した. 二ヶ月目: 入浴実動作訓練を実施. 合意目標(実施度8/10, 満足度9/10)に向上. 合意目標を「近くのスーパーへ買い物に行ける」(実施度1/10, 満足度1/10)に変更. 移動方法をPTと連携して指導. 支払いと商品の選択・運搬方法をSTと連携して指導した. 三ヶ月目: 買い物訓練実施. 合意目標(実施度7/10, 満足度9/10)に向上. 合意目標を「バスと電車を使用して移動できる」(実施度1/10, 満足度1/10)に変更. また, 福祉用具の冊子を本人と確認して必要と予測される福祉用具の選定を実施した. 上肢訓練としてTransfer packageを追加. 四ヶ月目: バス電車利用訓練実施. カラオケ店と飲食店への移動も合わせて実施. 見守りが必要な状態であった. 電車やバスで移動する際は友人達との食事やカラオケに行く時, 墓参りに行く時のみと話を聴取. 友人達に援助の依頼を実施. 了承が得られたので書面にて援助方法と注意点を共有した. 自宅内の福祉用具は, 娘の協力を得て設置した. 環境整備完了時点で自宅退院. 合意目標(実施度7/10, 満足度7/10). FIM110/126. STEF(右95/100, 左69/100). FMA121/126. MAL(AOU2.5/5, QOM2.7/5). MMSE30/30. 外来一ヶ月目: 週一回の頻度で生活行為の助言・指導を目的に実施. 合意目標を「自由に外出できるようになる(外食, カラオケ, 墓参り)」とした. 4回目の外来で合意目標達成となり外来を終了. 合意目標(実施度9/10, 満足度9/10)
【考察】本症例が退院後に継続的に社会交流が可能となった要因として①退院後の生活行為を想定した応用的訓練, 社会適応訓練の実施, ②生活行為に関わる人的資源と福祉用具の活用の2点を考えた. 本症例は, 複数人と長年友人関係を続けており地域の人的資源が豊富であった. 自尊心が強い症例において友人に頼ることは抵抗があったが生活行為を想定した応用的訓練と社会適応訓練を実施することで生活行為の問題点を共有することなり, 社会参加に前向きになった. また, 本症例の友人達には「公共交通機関乗車中の席の確保, 混雑時は次のバスに乗る」等の環境調整に関する支援をお願いし快く了承いただいた. 退院後の外来リハビリでは直接的な介入をせず生活行為の指導と助言のみで本症例の活動範囲が拡大していた. 環境資源の活用と本症例の障害受容が促進されることで社会参加が継続されたと考える.
【症例紹介】 A氏. 70代男性. 独居. 元バスの運転手. 退職後, 友人達とカラオケや食事に行くことが日課であった. 月一回,友人の息子の墓参りに行っていた. 現病歴はアテローム血栓性脳梗塞. 発症後に前院に入院, 一ヶ月後リハビリテーション目的で当院へ転院した.
【方法】 主訴は「一人で生活できるようになりたい, 歩けるようになりたい」. 生活行為の必要性とともに段階的に目標を決めていくことを説明し, 合意目標を「お風呂に安全に入れる」とした.作業療法ではADL, IADL訓練, 上肢訓練を実施した. FIM57/126. STEF(右89/100, 左27/100). FMA105/126. MAL(AOU1.1/5, QOM1.2/5). MMSE30/30. なお本研究は, 当院「倫理委員会」承認のもと本人への説明と同意を得て実施した.
【経過・結果】一ヶ月目: 入浴訓練と更衣訓練を実施. 並行して自主訓練指導とIVES, 課題指向型アプローチによる上肢訓練を実施した. 二ヶ月目: 入浴実動作訓練を実施. 合意目標(実施度8/10, 満足度9/10)に向上. 合意目標を「近くのスーパーへ買い物に行ける」(実施度1/10, 満足度1/10)に変更. 移動方法をPTと連携して指導. 支払いと商品の選択・運搬方法をSTと連携して指導した. 三ヶ月目: 買い物訓練実施. 合意目標(実施度7/10, 満足度9/10)に向上. 合意目標を「バスと電車を使用して移動できる」(実施度1/10, 満足度1/10)に変更. また, 福祉用具の冊子を本人と確認して必要と予測される福祉用具の選定を実施した. 上肢訓練としてTransfer packageを追加. 四ヶ月目: バス電車利用訓練実施. カラオケ店と飲食店への移動も合わせて実施. 見守りが必要な状態であった. 電車やバスで移動する際は友人達との食事やカラオケに行く時, 墓参りに行く時のみと話を聴取. 友人達に援助の依頼を実施. 了承が得られたので書面にて援助方法と注意点を共有した. 自宅内の福祉用具は, 娘の協力を得て設置した. 環境整備完了時点で自宅退院. 合意目標(実施度7/10, 満足度7/10). FIM110/126. STEF(右95/100, 左69/100). FMA121/126. MAL(AOU2.5/5, QOM2.7/5). MMSE30/30. 外来一ヶ月目: 週一回の頻度で生活行為の助言・指導を目的に実施. 合意目標を「自由に外出できるようになる(外食, カラオケ, 墓参り)」とした. 4回目の外来で合意目標達成となり外来を終了. 合意目標(実施度9/10, 満足度9/10)
【考察】本症例が退院後に継続的に社会交流が可能となった要因として①退院後の生活行為を想定した応用的訓練, 社会適応訓練の実施, ②生活行為に関わる人的資源と福祉用具の活用の2点を考えた. 本症例は, 複数人と長年友人関係を続けており地域の人的資源が豊富であった. 自尊心が強い症例において友人に頼ることは抵抗があったが生活行為を想定した応用的訓練と社会適応訓練を実施することで生活行為の問題点を共有することなり, 社会参加に前向きになった. また, 本症例の友人達には「公共交通機関乗車中の席の確保, 混雑時は次のバスに乗る」等の環境調整に関する支援をお願いし快く了承いただいた. 退院後の外来リハビリでは直接的な介入をせず生活行為の指導と助言のみで本症例の活動範囲が拡大していた. 環境資源の活用と本症例の障害受容が促進されることで社会参加が継続されたと考える.