[PM-2-5] ポスター:MTDLP 2生活行為アセスメント演習シートの「視覚化」によりMTDLPの満足度が向上した一症例
屋外での趣味活動再獲得に向けて
【はじめに】脳卒中患者の身体機能やADLの改善はQOLを向上させる一因であるとされている.しかし,今回脳梗塞を発症し,左片麻痺を呈した症例(以下,症例)は身体機能の向上は認められたが,生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)の満足度の向上が認められなかった.先行研究より,視覚的フィードバックは患者の意欲の向上に効果的であるとされていることから,MTDLPの生活行為アセスメント演習シート(以下,演習シート)を開示し,フィードバックを行った.その結果, MTDLPの満足度に大幅な改善が得られた為,以下に報告する.本報告に関して本人の同意を得ている.
【目的】脳卒中患者に演習シートを開示し,客観的評価を視覚的に用いてフィードバックすることで,MTDLPの満足度に変化がみられるかを明らかにする.また,その結果から脳卒中患者の支援方法の一助となるようにする.
【症例紹介】症例は70歳代男性.脳梗塞によりバランス能力低下,歩行能力低下,注意機能低下を認めた.リハビリにて身体機能・ADLの改善は認めており,FIMは入棟時50点,二週間後87点と向上していた.病前は自転車を使用し,釣りや老人会に行くことが日課であった.入院当初よりMTDLPを導入し,合意目標を「釣りや老人会に行くこと」に設定し介入した.
【方法】介入デザインはAB法とした.介入方法はA期に通常作業療法を実施し,B期ではA期の介入に加え,演習シートを開示しながらフィードバックを行った.これにより実動作の希望があった為,実動作に近いプログラムを追加した.各介入期間は2週間とし,測定は介入初期(A’),A期終了時(A),B期終了時(B)とした.測定項目は,各期に,Montoreal Cognitive Assessment(以下,Moca-J),Trail Making Test-A/B(以下,TMT-A /TMT-B),かなひろいテスト,Motor Activity Log(以下,MAL)(AOU/QOM),簡易上肢機能検査(以下,STEF),Berg Balance Scale(以下,BBS),MTDLPの実行度,満足度とした.効果判定にはカットオフ値(Moca-J:26点以下),年齢別平均値(TMT-A:46.5秒,TMT-B:88.8秒,かなひろいテスト:22.4%,STEF:90点),MCID(MAL:1.0点,BBS:5点),目視法を用いた.
【結果】B期では,演習シートを用いることで,自身の状態把握,実動作に近い介入を行うことができた.介入の結果(A’→A→B),MTDLP[点]実行度(3→4→7),満足度(3→4→9)はB期に大幅な改善を認めた.BBS[点](46→51→54),Moca-J[点](19→26→27)はA期で効果判定を上回る改善を認めた.AOU[点](2.5→2.9→4.2)はB期に効果判定を上回る改善を認めた.STEF[点]左(65→79→82),右(81→88→89),TMT-A[秒](65→58→56),TMT-B[秒](287→104→81),QOM[点](2.9→3.7→3.9)はA期で,かなひろいテスト[%](32→39→76)はB期で改善が認めた.
【結論】両期において心身機能の改善が認めたが,A期ではMTDLPの満足度に大幅な改善は認めなかった.視覚的フィードバックは患者の意欲の向上に効果的であるとされていることから,演習シートの開示が有効であったと考える.今回の結果から,演習シートの開示は,実動作に近い介入が促せ,MTDLPの満足度向上に有効であると考える.
【目的】脳卒中患者に演習シートを開示し,客観的評価を視覚的に用いてフィードバックすることで,MTDLPの満足度に変化がみられるかを明らかにする.また,その結果から脳卒中患者の支援方法の一助となるようにする.
【症例紹介】症例は70歳代男性.脳梗塞によりバランス能力低下,歩行能力低下,注意機能低下を認めた.リハビリにて身体機能・ADLの改善は認めており,FIMは入棟時50点,二週間後87点と向上していた.病前は自転車を使用し,釣りや老人会に行くことが日課であった.入院当初よりMTDLPを導入し,合意目標を「釣りや老人会に行くこと」に設定し介入した.
【方法】介入デザインはAB法とした.介入方法はA期に通常作業療法を実施し,B期ではA期の介入に加え,演習シートを開示しながらフィードバックを行った.これにより実動作の希望があった為,実動作に近いプログラムを追加した.各介入期間は2週間とし,測定は介入初期(A’),A期終了時(A),B期終了時(B)とした.測定項目は,各期に,Montoreal Cognitive Assessment(以下,Moca-J),Trail Making Test-A/B(以下,TMT-A /TMT-B),かなひろいテスト,Motor Activity Log(以下,MAL)(AOU/QOM),簡易上肢機能検査(以下,STEF),Berg Balance Scale(以下,BBS),MTDLPの実行度,満足度とした.効果判定にはカットオフ値(Moca-J:26点以下),年齢別平均値(TMT-A:46.5秒,TMT-B:88.8秒,かなひろいテスト:22.4%,STEF:90点),MCID(MAL:1.0点,BBS:5点),目視法を用いた.
【結果】B期では,演習シートを用いることで,自身の状態把握,実動作に近い介入を行うことができた.介入の結果(A’→A→B),MTDLP[点]実行度(3→4→7),満足度(3→4→9)はB期に大幅な改善を認めた.BBS[点](46→51→54),Moca-J[点](19→26→27)はA期で効果判定を上回る改善を認めた.AOU[点](2.5→2.9→4.2)はB期に効果判定を上回る改善を認めた.STEF[点]左(65→79→82),右(81→88→89),TMT-A[秒](65→58→56),TMT-B[秒](287→104→81),QOM[点](2.9→3.7→3.9)はA期で,かなひろいテスト[%](32→39→76)はB期で改善が認めた.
【結論】両期において心身機能の改善が認めたが,A期ではMTDLPの満足度に大幅な改善は認めなかった.視覚的フィードバックは患者の意欲の向上に効果的であるとされていることから,演習シートの開示が有効であったと考える.今回の結果から,演習シートの開示は,実動作に近い介入が促せ,MTDLPの満足度向上に有効であると考える.