第56回日本作業療法学会

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ポスター

地域

[PN-3] ポスター:地域 3

Fri. Sep 16, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (イベントホール)

[PN-3-6] ポスター:地域 3山形県における放課後児童クラブへの作業療法コンサルテーションを支える取り組み(ちょきちょきクラブ)について

梅津 憲栄1平向 正包2白幡 祐子2上野 夢子3 (1山形県立こころの医療センターリハビリテーション科,2特定非営利活動法人やまごや,3株式会社メグシィ)

<はじめに>
 厚生労働省による放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和3年5月現在)で放課後児童クラブ数26,925か所,登録児童数1,348,275人という調査報告がある.また同年の山形県内の放課後児童クラブは345か所あり,登録児童数は15,739人となっている.全国的にみても山形県内をみてもクラブ数,登録児童数共に増加傾向となっており,現場では困り感のある児童への対応が課題となっている.その課題に対して放課後児童クラブに,作業療法士(以下OT)が訪問し作業療法コンサルテーション(以下OTコンサル)を実施する取り組みが行われている.山形県では平成30年から継続して実施している.OTコンサルを受け入れる放課後児童クラブ数も増えており,OTコンサルの質を担保するためにも放課後児童クラブ支援員(以下支援員)と連携する必要性が高まっている.そこで,OTと支援員の協働や相互理解を目的に令和3年から『ちょきちょきクラブ』を結成し,活動を行っている.本活動について目的と内容,今後の展望について報告する.本発表は倫理的配慮を行い,また開示すべき利益相反関係にある企業等はない.
<活動目的>
 OTと支援員が協働で児童支援に関する活動を行い,OTと支援員双方の放課後児童クラブにおける実働時の質向上,情報共有,支援員の負担軽減を目的としている.現在はOTだけで活動をしているが,今後の展開として,支援員が活動へ参加・協働を目標としている.
<活動紹介>
 令和3年4月発足.OT4名が集まり,月1回30~60分の時間で開催.OTコンサル時に挙がる困り事に関して,内容の共有や,児童福祉関連の勉強会・基礎研究,支援のための道具作成を実施.令和3年度の活動は,1.OTコンサルで使用する事前資料の改善点の洗い出し2.支援のための道具作成(例:クラフトメーター)3.基礎研究(山形県内放課後児童クラブのアンケート調査)実施.
 1.OTコンサルは山形県内2か所で活動し,共通の資料を使用している.4年間の活動を通して,記入例や使用感について検討を行う.現状,大きな変更点はなく支援員も負担なく使用できている様子.2.OTコンサルを行った際に必要性を感じた道具を作成.今後はOT,支援員と相談した上で作成を行う.3.OTコンサル時のニーズを調査.また今後は関連知識を深める研修会の実施も検討.
<まとめと展望>
 全国的に放課後児童クラブにおけるOTコンサルのニーズは高まりを見せており,自治体毎にそれぞれ取り組みを行っている.山形県でも令和4年2月時点では1市1町で実施している.また,コロナ禍による社会生活の変化に伴い,オンラインの利用など多様な方法での介入も検討される.
 開始当初はOTコンサルの質向上やOT同士の繋がり,連携を目的として興味のあるOTが集まり,資料の共有,支援のための道具作成,基礎研究を実施していた.今後の展望として,継続した取り組みを行うためにOTと支援員が相互理解を行い,支援のための道具作成,研修会を実施していく事が重要である.本活動を通して支援員との交流を活発化させ,OTコンサルを受け入れてくれる放課後児童クラブ数の増加や活動認知度の向上,参加できるOTの増加に努めていきたい.
<参考資料・その他>
・令和3年(2021年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和3年(2021年)5月1日現在):厚生労働省報道発表資料
・放課後児童クラブ施設一覧(令和3年5月1日現在):山形県ホームページ放課後児童クラブ