[PQ-2-5] ポスター:管理運営 2リハビリテーションセンターにおける障害者雇用の取り組み
就労定着に向けたOTの役割
【はじめに】
本邦では障害者の雇用促進に関する法律が施行されており,法改正により精神障害者が法定雇用率の算定対象に追加されたことや法定雇用率の引き上げが行われている.一方,障害者職業総合センターの報告によると企業在籍型ジョブコーチの困り事として,障害特性・支援に関することが最も多く,支援ノウハウが発展しないなどの課題も挙げられている.そこで本報告では当院リハビリテーションセンター(以下リハセンター)における障害者雇用についての取り組みと作業療法士(以下OT)の役割について考察を踏まえ提示する.尚,本報告に際し対象者より同意を得ている.
【取り組み】
令和2年度よりリハセンターでは2名を雇用している.取り組みを3段階に分けて報告する.
1.募集から採用
リハセンターにおいて業務の洗い出しを行い,そのうちの車椅子点検及び修理業務に対して障害者雇用を活用することを提案し募集を行なった.応募があった者に対してOTが面接を行うとともに職業体験を行った.職業体験では就労支援施設職員や総務課人事担当者の同席の下,本人の業務理解と能力評価を目的に指導及び体験を行い採用へと至った.
2.就労支援(作業支援)
作業の習得と社会人基礎力の獲得を目標に取り組みを行った.まず本人との面談にて作業能力評価を行い,作業習得のため写真で示した作業手順書を作成した.その手順書に沿って作業内容を伝達し,共に作業を行いながら指導を行った.また日々の体調確認や仕事に対する感想などが聴取できるよう記述式の作業日誌を作成しコミュニケーションツールとして活用した.社会人基礎力の指導としては,挨拶のタイミングや時間管理についても指導し社会人としての成長も視野に教育を行った.
3.定着支援
1ヶ月に1度,OTが作成した振り返りシートをもとに本人と面談を行い作業に対する意欲や体調,職場環境に関する意見聴取を行った.また3ヶ月に1度,就労支援施設職員と総務課人事担当者を交え面談し意欲の確認や課題の抽出,今後の取り組みについて情報を共有した.そして面談を通して本人の意向を確認しつつ作業の幅を広げステップアップを図った.
【結果】
リハセンターで雇用した2名については1年6ヶ月以上雇用継続中であり,定着率は100%である.また就労において,「やりがいを持って取り組めている」との発言が聞かれた.
【考察】
障害者職業総合センターにおける調査研究では,就職後1年時点の定着率は精神障害者49.3%,発達障害71.5%と報告されている.リハセンターでの雇用においては事例は少ないものの全国平均を上回る数字である.これは就労定着に必要とされる「職場の人間関係」,「コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置」,「専門職員などの定期的な相談」に対してOTが関わることで障害特性に合わせた作業の提示や周囲のスタッフを巻き込んだ協働作業により本人が働きやすさを感じられる環境になったことが影響していると考える.本取り組みにおいて雇用側にOTが関わることで障害特性に応じた支援ができ,支援に対するノウハウがあることで対象者に合わせた定着支援が行えた.そのことからも雇用側にOTが関わる意義が示された.一方で雇用側の生産性の追求に対して,どのように対象者の能力を合致させていくかが課題である.そのギャップを埋めるためにも部署を越えた連携や就労支援施設などの外部機関との連携も重要である.
本邦では障害者の雇用促進に関する法律が施行されており,法改正により精神障害者が法定雇用率の算定対象に追加されたことや法定雇用率の引き上げが行われている.一方,障害者職業総合センターの報告によると企業在籍型ジョブコーチの困り事として,障害特性・支援に関することが最も多く,支援ノウハウが発展しないなどの課題も挙げられている.そこで本報告では当院リハビリテーションセンター(以下リハセンター)における障害者雇用についての取り組みと作業療法士(以下OT)の役割について考察を踏まえ提示する.尚,本報告に際し対象者より同意を得ている.
【取り組み】
令和2年度よりリハセンターでは2名を雇用している.取り組みを3段階に分けて報告する.
1.募集から採用
リハセンターにおいて業務の洗い出しを行い,そのうちの車椅子点検及び修理業務に対して障害者雇用を活用することを提案し募集を行なった.応募があった者に対してOTが面接を行うとともに職業体験を行った.職業体験では就労支援施設職員や総務課人事担当者の同席の下,本人の業務理解と能力評価を目的に指導及び体験を行い採用へと至った.
2.就労支援(作業支援)
作業の習得と社会人基礎力の獲得を目標に取り組みを行った.まず本人との面談にて作業能力評価を行い,作業習得のため写真で示した作業手順書を作成した.その手順書に沿って作業内容を伝達し,共に作業を行いながら指導を行った.また日々の体調確認や仕事に対する感想などが聴取できるよう記述式の作業日誌を作成しコミュニケーションツールとして活用した.社会人基礎力の指導としては,挨拶のタイミングや時間管理についても指導し社会人としての成長も視野に教育を行った.
3.定着支援
1ヶ月に1度,OTが作成した振り返りシートをもとに本人と面談を行い作業に対する意欲や体調,職場環境に関する意見聴取を行った.また3ヶ月に1度,就労支援施設職員と総務課人事担当者を交え面談し意欲の確認や課題の抽出,今後の取り組みについて情報を共有した.そして面談を通して本人の意向を確認しつつ作業の幅を広げステップアップを図った.
【結果】
リハセンターで雇用した2名については1年6ヶ月以上雇用継続中であり,定着率は100%である.また就労において,「やりがいを持って取り組めている」との発言が聞かれた.
【考察】
障害者職業総合センターにおける調査研究では,就職後1年時点の定着率は精神障害者49.3%,発達障害71.5%と報告されている.リハセンターでの雇用においては事例は少ないものの全国平均を上回る数字である.これは就労定着に必要とされる「職場の人間関係」,「コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置」,「専門職員などの定期的な相談」に対してOTが関わることで障害特性に合わせた作業の提示や周囲のスタッフを巻き込んだ協働作業により本人が働きやすさを感じられる環境になったことが影響していると考える.本取り組みにおいて雇用側にOTが関わることで障害特性に応じた支援ができ,支援に対するノウハウがあることで対象者に合わせた定着支援が行えた.そのことからも雇用側にOTが関わる意義が示された.一方で雇用側の生産性の追求に対して,どのように対象者の能力を合致させていくかが課題である.そのギャップを埋めるためにも部署を越えた連携や就労支援施設などの外部機関との連携も重要である.