[PR-2-1] ポスター:教育 2アナログゲームを用いた講義による作業療法学科学生の社会的スキルの変化
【はじめに】
作業療法学科学生に対してアナログゲームを用いて他者とのやり取りを経験し自己を振り返る経験を行うことで,社会的スキルを高められるのではないかと考え,アナログゲームを用いた講義を考案した.本研究の目的はアナログゲームを用いた講義が大学生の社会的スキルを高めるか明らかにすることである.
【方法】
短期大学に所属する1年生38名に対し,計15コマ(1コマ90分)の講義を行った.各講義においては,目標を設定した.目標については,Kikuchi’s Scale of Social Skill(以下,KiSS-18)の質問項目に記載されている行動を基に設定した.そして,学生が実際に体験できる様に筆者が目標に沿ったアナログゲームを用意した.例えば,ある回においてはKiSS-18の質問項目である「2.他人にやってもらいたいことを,うまく指示することができますか」を狙い,目標を「相手に分かってもらえる
ように工夫して話す」「相手が何を伝えたいのか察しながら聞く」と設定した.この回では「ヒットマンガ」「コンセプト」などのアナログゲームを使用した.データ収集は,第1回講義開始前と第15回講義終了後にKiSS-18を用いて社会的スキルを測定した.KiSS-18の合計点,下位6項目についてWilcoxon符号付順位和検定を用いて分析を行った.なお,統計ソフトはEZRを使用し,統計的有意水準は全て5%とした.
本研究は,白鳳短期大学倫理審査委員会において承認を得て実施したものである.また,学生には研究目的と方法および研究への参加は自由意志であり,不参加によって不利益を被らないこと,対象者の匿名性の保持を行うこと等を口頭で説明した.その後質問紙を配布し,提出を持って同意とみなした.
【結果】
講義前のKiSS-18の合計点平均は58.9±9.2点であった.講義後の合計点平均は63.8±7.8点であり,有意な向上が見られた(p<.05).KiSS-18の6つの下位項目では,「初歩的スキル」「高度のスキル」「感情処理のスキル」「攻撃に代わるスキル」「ストレスを処理するスキル」の5項目に有意な向上が見られた(p<.05).
【考察】
今回アナログゲームを使用した講義を行う事で,KiSS-18の合計得点が向上した.このことから,学生の社会的スキルに対しての自己評価が高まった可能性が考えられる.これまでに報告されている,コミュニケーションスキルや社会スキルを向上させる要素と今回の講義を比較してみると,①他者に受け入れられる経験,②直面した問題の解決に向け動く,③他者と目的を共有する,④初対面の人と関わり対人距離が縮まる経験,⑤自分の気持ちを表出する,という点において共通していた.
これらの要素を今回の講義に取り入れることが出来たのは,ルールが分かりやすく理解しやすい,人と目的を共有しながら進めることことができる,自分の意見を素直に伝えることがルール上求められるため自己開示をして他者に受け入れられる経験ができる,人によって意見が違う事自体の面白さに気付くことができるため多様な価値観が認められる,日常では気まずさを感じる場面でもゲーム上
では解決しやすいといったアナログゲームの特徴が関与していると考えられる.
これまでの大学生に対して社会的スキルの向上のための取り組みと比較しても,KiSS-18の合計得点の差は少なくなく,下位6項目中5項目という広い領域に得点の向上が見られたことや,教室内で行えるという手軽さはアナログゲームを用いるメリットといえるのではないかと考えられる.
作業療法学科学生に対してアナログゲームを用いて他者とのやり取りを経験し自己を振り返る経験を行うことで,社会的スキルを高められるのではないかと考え,アナログゲームを用いた講義を考案した.本研究の目的はアナログゲームを用いた講義が大学生の社会的スキルを高めるか明らかにすることである.
【方法】
短期大学に所属する1年生38名に対し,計15コマ(1コマ90分)の講義を行った.各講義においては,目標を設定した.目標については,Kikuchi’s Scale of Social Skill(以下,KiSS-18)の質問項目に記載されている行動を基に設定した.そして,学生が実際に体験できる様に筆者が目標に沿ったアナログゲームを用意した.例えば,ある回においてはKiSS-18の質問項目である「2.他人にやってもらいたいことを,うまく指示することができますか」を狙い,目標を「相手に分かってもらえる
ように工夫して話す」「相手が何を伝えたいのか察しながら聞く」と設定した.この回では「ヒットマンガ」「コンセプト」などのアナログゲームを使用した.データ収集は,第1回講義開始前と第15回講義終了後にKiSS-18を用いて社会的スキルを測定した.KiSS-18の合計点,下位6項目についてWilcoxon符号付順位和検定を用いて分析を行った.なお,統計ソフトはEZRを使用し,統計的有意水準は全て5%とした.
本研究は,白鳳短期大学倫理審査委員会において承認を得て実施したものである.また,学生には研究目的と方法および研究への参加は自由意志であり,不参加によって不利益を被らないこと,対象者の匿名性の保持を行うこと等を口頭で説明した.その後質問紙を配布し,提出を持って同意とみなした.
【結果】
講義前のKiSS-18の合計点平均は58.9±9.2点であった.講義後の合計点平均は63.8±7.8点であり,有意な向上が見られた(p<.05).KiSS-18の6つの下位項目では,「初歩的スキル」「高度のスキル」「感情処理のスキル」「攻撃に代わるスキル」「ストレスを処理するスキル」の5項目に有意な向上が見られた(p<.05).
【考察】
今回アナログゲームを使用した講義を行う事で,KiSS-18の合計得点が向上した.このことから,学生の社会的スキルに対しての自己評価が高まった可能性が考えられる.これまでに報告されている,コミュニケーションスキルや社会スキルを向上させる要素と今回の講義を比較してみると,①他者に受け入れられる経験,②直面した問題の解決に向け動く,③他者と目的を共有する,④初対面の人と関わり対人距離が縮まる経験,⑤自分の気持ちを表出する,という点において共通していた.
これらの要素を今回の講義に取り入れることが出来たのは,ルールが分かりやすく理解しやすい,人と目的を共有しながら進めることことができる,自分の意見を素直に伝えることがルール上求められるため自己開示をして他者に受け入れられる経験ができる,人によって意見が違う事自体の面白さに気付くことができるため多様な価値観が認められる,日常では気まずさを感じる場面でもゲーム上
では解決しやすいといったアナログゲームの特徴が関与していると考えられる.
これまでの大学生に対して社会的スキルの向上のための取り組みと比較しても,KiSS-18の合計得点の差は少なくなく,下位6項目中5項目という広い領域に得点の向上が見られたことや,教室内で行えるという手軽さはアナログゲームを用いるメリットといえるのではないかと考えられる.