[PR-2-3] ポスター:教育 2初年次の基礎医学科目の学修チェックリストの利用が定期試験に与える効果
【序論】近年,少子化に伴う大学全入時代となったことで,基礎学力の低下や学修習慣が身に付いていない学生に対する指導が増えてきている.また,作業療法士を志す者の中には,「ものづくりが好きで,親や先生に作業療法を勧められた」などと作業について不十分な認識を持っていたり,「対象者の好きなことをする」など解剖学,生理学,運動学の基礎医学3科目の知識を基盤としたアプローチが必要であることの理解が不十分な入学生が少なくない.つまり,作業療法に対して安易なイメージを持って入学することに対しての懸念がある.一方,低学年時の基礎医学3科目の成績と国家試験合否に関係があるとする報告も見られる.大学入学後のできるだけ早い段階に学修を促進させることが求められている.これらを背景として,初年次の基礎医学3科目の学修を促進する14項目のチェックリストを開発した.後方視的にチェックリストの項目と定期試験の成績の関係を検証した結果,大きな効果量があることを確認した.しかし,チェックリストの使用が前方視的に定期試験に与える影響については検証されていない.
【目的】本研究は,初年次の基礎医学3科目の学修を促進するチェックリストを使用することが前方視的に定期試験成績に与える影響について検討することを目的とした.
【方法】作業療法学科の新入生17名を対象とした.前期定期試験の成績優秀者の語りを中心に抽出した14項目の学修チェックリスト(①予習,②復習,③理解の促進,④計画性,⑤ノルマ,⑥問題を出し合う,⑦友人に教える,⑧気分転換の方法,⑨問題集の作成,⑩まとめの作成,⑪市販の問題集の使用,⑫試験の傾向分析,⑬実際の体を使ってイメージ,⑭モチベーション)について,基礎医学3科目の前期定期試験に対する学修状況を振り返って回答を求めた.その結果,チェックリストと前期定期試験成績との間に大きな効果量があることを確認した.後期授業が開講する時期に,この結果について対象者に説明した.特に,⑤ノルマ,⑦友人に教える,の項目で大きな効果量であったことを強調し,後期定期試験の対策に役立ててもらった.
後期定期試験終了後,再度チェックリストの回答を求めた.チェックリスト,再試数,定期試験得点について前期と後期でWilcoxonの符号付き順位検定によって比較した.さらにチェックリストの増減と,再試数の増減および定期試験得点の増減の関係についてSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.統計解析にはSPSS Ver23.0を用い,有意水準は5%未満とした.対象者には本研究の説明を十分に行い,同意を得た.
【結果】前期と後期のWilcoxonの符号付き順位検定による比較では,チェックリストの合計数は有意に増加し (P=0.01),再試数は有意に減少した (P=0.01).定期試験得点については,解剖学,生理学,運動学,3科目合計得点において有意な差はなかった.
チェックリストの増減と再試数の増減は有意な負の相関 (r=-0.78) を示した.チェックリストの増減と定期試験得点の増減の相関関係については,解剖学 (r=0.65),運動学 (r=0.85),3科目合計得点(r=0.87) で有意であった.
【考察】対象者はチェックリストの有用性を理解し,チェックリストの項目を意識して学修に取り組んだ結果,再試数の減少や解剖学,運動学,3科目合計得点の上昇をもたらしたものと考えられた.
また,チェックリストという簡便な方法で自身の学修について振り返りが行える利点があるため,学生との定期面談の中で学修状況を把握するのに有用であると思われる.今後は対象者数を増やすことや国家試験得点との関係を検証することが必要である.
【目的】本研究は,初年次の基礎医学3科目の学修を促進するチェックリストを使用することが前方視的に定期試験成績に与える影響について検討することを目的とした.
【方法】作業療法学科の新入生17名を対象とした.前期定期試験の成績優秀者の語りを中心に抽出した14項目の学修チェックリスト(①予習,②復習,③理解の促進,④計画性,⑤ノルマ,⑥問題を出し合う,⑦友人に教える,⑧気分転換の方法,⑨問題集の作成,⑩まとめの作成,⑪市販の問題集の使用,⑫試験の傾向分析,⑬実際の体を使ってイメージ,⑭モチベーション)について,基礎医学3科目の前期定期試験に対する学修状況を振り返って回答を求めた.その結果,チェックリストと前期定期試験成績との間に大きな効果量があることを確認した.後期授業が開講する時期に,この結果について対象者に説明した.特に,⑤ノルマ,⑦友人に教える,の項目で大きな効果量であったことを強調し,後期定期試験の対策に役立ててもらった.
後期定期試験終了後,再度チェックリストの回答を求めた.チェックリスト,再試数,定期試験得点について前期と後期でWilcoxonの符号付き順位検定によって比較した.さらにチェックリストの増減と,再試数の増減および定期試験得点の増減の関係についてSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.統計解析にはSPSS Ver23.0を用い,有意水準は5%未満とした.対象者には本研究の説明を十分に行い,同意を得た.
【結果】前期と後期のWilcoxonの符号付き順位検定による比較では,チェックリストの合計数は有意に増加し (P=0.01),再試数は有意に減少した (P=0.01).定期試験得点については,解剖学,生理学,運動学,3科目合計得点において有意な差はなかった.
チェックリストの増減と再試数の増減は有意な負の相関 (r=-0.78) を示した.チェックリストの増減と定期試験得点の増減の相関関係については,解剖学 (r=0.65),運動学 (r=0.85),3科目合計得点(r=0.87) で有意であった.
【考察】対象者はチェックリストの有用性を理解し,チェックリストの項目を意識して学修に取り組んだ結果,再試数の減少や解剖学,運動学,3科目合計得点の上昇をもたらしたものと考えられた.
また,チェックリストという簡便な方法で自身の学修について振り返りが行える利点があるため,学生との定期面談の中で学修状況を把握するのに有用であると思われる.今後は対象者数を増やすことや国家試験得点との関係を検証することが必要である.