[PR-4-2] ポスター:教育 4学内実習における作業療法実践現場からの情報提供と卒業生による指導の効果
【はじめに】
本学では,新型コロナウイルス感染拡大に伴い,2021年度の臨床実習(評価実習)を学内にて2週間実施した.学内実習では学生が臨床思考過程を学ぶことができるよう,作業療法実践現場である回復期リハビリテーション病棟からの事例情報提供と卒業生による指導を主軸として進めた.その結果,学生からの一定の満足感を得られたため,その内容について報告する.なお,発表に際し,対象学生と実習協力者に同意を得ている.
【方法】
対象は本学部3年制課程2年生76名のうち38名.実習内容は,回復期リハビリテーション病棟から脳卒中片麻痺事例の情報,事例に実施したFMAやADL観察場面の動画等を提供してもらい,それらを用いて事例検討を行った.事例検討は一般情報から評価計画の立案を行い,その後,動画も含めた評価結果から統合と解釈・プログラムの立案を行った.また,現場経験のある卒業生が週3回来校し,事例検討を通して評価計画の立案方法や統合と解釈の考え方等の臨床思考過程を指導し,加えて学生が評価計画で挙げた高次脳機能や身体機能の評価法に関する実技指導を行った.
実習最終日に学生に対し,アンケートを実施した.アンケートでは,実習を通しての成長や学びの度合いに関する質問7項目に対して5件法で回答を得た.実習の良い点・改善点に関する質問は自由記載にて回答を得た.
【結果】
「学内実習を通して成長することができた」という質問では,84%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.「実際の事例情報や動画があることで学びが深まった」という質問では,87%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.「事例報告の作成により学びが深まった」という質問では,84%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.「卒業生による指導は自分の学びとなった」という質問では,100%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.
学内実習でよかった点に関する自由記載では,実際の事例の動画を見ることができたこと,卒業生から現場の話を聞けたこと,評価法の指導をしてもらったことなどが挙がった.学内実習でよくなかった点・改善すべき点に関する自由記載では,予定変更が相次いだこと,関わる教員が少なかったこと,自習時間が長かったことなどが挙げられた.
【考察】
この学年は学外での実習を一度も経験することなく,今回の学内実習に至っていた.そのため,実際の事例情報や動画を見たことで,臨床のイメージがしやすくなり,学びの深まりに繋がったと考える.また,嘉数ら(2021)は,非臨地実習の学生の意識調査の中で臨床思考過程の理解は実習指導者とのコミュニケーションと関連していたことを報告しており,現場経験のある卒業生が実技や臨床思考過程について直接指導したことが学生の成長に繋がったと思われる.一方で,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,急遽教員が自宅待機になる等のアクシデントが生じ,予定変更や携わる教員の減少,それに伴う自習時間の増加が学生の満足感を低下させていた.今後の課題として,状況に応じた学内実習の内容変更ができるよう事前に別の実習内容を準備しておくことが重要であると考える.
今後も感染状況により学内実習となる可能性が大いにある.学生の理解度を深めるために,学内実習では単なる事例検討よりも,リアルな事例情報をもとに臨床の作業療法士から直接指導を受ける方がより効果的であることが示唆された.
本学では,新型コロナウイルス感染拡大に伴い,2021年度の臨床実習(評価実習)を学内にて2週間実施した.学内実習では学生が臨床思考過程を学ぶことができるよう,作業療法実践現場である回復期リハビリテーション病棟からの事例情報提供と卒業生による指導を主軸として進めた.その結果,学生からの一定の満足感を得られたため,その内容について報告する.なお,発表に際し,対象学生と実習協力者に同意を得ている.
【方法】
対象は本学部3年制課程2年生76名のうち38名.実習内容は,回復期リハビリテーション病棟から脳卒中片麻痺事例の情報,事例に実施したFMAやADL観察場面の動画等を提供してもらい,それらを用いて事例検討を行った.事例検討は一般情報から評価計画の立案を行い,その後,動画も含めた評価結果から統合と解釈・プログラムの立案を行った.また,現場経験のある卒業生が週3回来校し,事例検討を通して評価計画の立案方法や統合と解釈の考え方等の臨床思考過程を指導し,加えて学生が評価計画で挙げた高次脳機能や身体機能の評価法に関する実技指導を行った.
実習最終日に学生に対し,アンケートを実施した.アンケートでは,実習を通しての成長や学びの度合いに関する質問7項目に対して5件法で回答を得た.実習の良い点・改善点に関する質問は自由記載にて回答を得た.
【結果】
「学内実習を通して成長することができた」という質問では,84%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.「実際の事例情報や動画があることで学びが深まった」という質問では,87%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.「事例報告の作成により学びが深まった」という質問では,84%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.「卒業生による指導は自分の学びとなった」という質問では,100%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答した.
学内実習でよかった点に関する自由記載では,実際の事例の動画を見ることができたこと,卒業生から現場の話を聞けたこと,評価法の指導をしてもらったことなどが挙がった.学内実習でよくなかった点・改善すべき点に関する自由記載では,予定変更が相次いだこと,関わる教員が少なかったこと,自習時間が長かったことなどが挙げられた.
【考察】
この学年は学外での実習を一度も経験することなく,今回の学内実習に至っていた.そのため,実際の事例情報や動画を見たことで,臨床のイメージがしやすくなり,学びの深まりに繋がったと考える.また,嘉数ら(2021)は,非臨地実習の学生の意識調査の中で臨床思考過程の理解は実習指導者とのコミュニケーションと関連していたことを報告しており,現場経験のある卒業生が実技や臨床思考過程について直接指導したことが学生の成長に繋がったと思われる.一方で,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,急遽教員が自宅待機になる等のアクシデントが生じ,予定変更や携わる教員の減少,それに伴う自習時間の増加が学生の満足感を低下させていた.今後の課題として,状況に応じた学内実習の内容変更ができるよう事前に別の実習内容を準備しておくことが重要であると考える.
今後も感染状況により学内実習となる可能性が大いにある.学生の理解度を深めるために,学内実習では単なる事例検討よりも,リアルな事例情報をもとに臨床の作業療法士から直接指導を受ける方がより効果的であることが示唆された.