[OH-3-3] 抑うつ症状を伴う患者の精神症状,身体症状に対するリラクゼーション効果の検討
【はじめに】
抑うつ症状は,自律神経の乱れを引き起こし,心身に様々な影響を及ぼす.リラクゼーションは,自律神経を整えて気分を改善させる方法であり,抑うつの患者にとって低負荷で導入しやすいプログラムである.これまでに,リラクゼーションの効果を調べた研究は限られており,精神症状だけでなく身体症状を含めた,包括的かつ縦断的に解析された例はない.そのため,本研究の目的は,リラクゼーション介入での,身体症状や精神症状の治療経過を調査し,効果的なリラクゼーションの用い方について検討することである.
当院では,抑うつ症状を呈した患者に対して,精神科作業療法のリラクゼーションプログラムで,呼吸法やストレッチなどを行っている.本研究では,その結果を後ろ向きに調査し,分析した.
【方法】
対象は,2022年3月から12月まで当院に入院し,リラクゼーションプログラムに継続して参加した者である.人数は10名(年齢51.7±18.0歳,男性3名,女性7名)であった.当院のCOVID-19のクラスターで,3週間程度のプログラム休止があったため,その間参加困難となった者は中止前までの期間とした.また,評価回数が3回未満の者と,データ欠損者は除外した.
グループ構成は,平均2~6名のセミクローズドの小グループで,頻度は,5回/週・45分/回実施した.プログラム内容は,主に呼吸法,瞑想,ストレッチ,ヨガなどを参加者の特性に合わせて組み合わせ,臥位や,椅子座位にて実施した.プログラム中,作業療法士は,無理せず痛みを伴わないよう声掛けし,気持ちいいという感覚を得ることが重要であると説明した.模倣が困難な患者には安心を保証するようなサポートや環境作りに配慮した.活動の終わりには,前後の変化などの感想を聞き,快感覚を即時フィードバックした.
評価は,自律神経の乱れから引き起こされやすい身体症状(8項目):「不眠」,「頭痛」,「めまい」,「動機」,「食欲不振」,「便秘・下痢」,「発汗」,「肩こり」と,精神症状(3項目):「抑うつ」,「不安」,「緊張」について,10段階のNumerical Rating Scale(NRS)で自己記入したアンケートを用いた.
統計は,A期(介入時),B期(介入1週間),C期(退院前)に測定されたNRSの結果をFriedman検定にて解析し,多重比較補正にはHolm法を用いた.有意水準は5%未満とした.
本研究は,当院の倫理審査委員会の承認を得ており,本人に口頭と書面にて説明し同意を得た.
【結果】
精神症状の合計点では,A期とC期(p=0.028)の比較で有意な低下を認めた.身体症状の合計点では,A期とB期(p=0.037),B期とC期(p=0.027),A期とC期(p=0.037)の比較で有意な低下を認めた.下位項目では,B期とC期の比較で不安(p=0.040),抑うつ(p=0.049)に有意な低下を認めた.A期とC期の比較で不安(p=0.027),抑うつ(p=0.045),不眠(p=0.027)に有意な低下を認めた.その他の群間では有意差はみられなかった.
【考察】
抑うつ症状を伴う患者に対して,リラクゼーションプログラムによる介入から退院までの結果を後ろ向きに調査した.今回の結果より,継続したリラクゼーションは,抑うつ症状を抱える患者の身体症状や精神症状を改善させる効果があることが分かった.また,身体症状のほうが精神症状よりも早期に改善効果が表れやすい可能性がある.
リラクゼーションを作業療法に用いる場合,身体症状は1週間の介入でも改善がみられるが,精神症状は改善がみられるまでに時間を要すため,粘り強く介入する工夫が必要であると考える.
抑うつ症状は,自律神経の乱れを引き起こし,心身に様々な影響を及ぼす.リラクゼーションは,自律神経を整えて気分を改善させる方法であり,抑うつの患者にとって低負荷で導入しやすいプログラムである.これまでに,リラクゼーションの効果を調べた研究は限られており,精神症状だけでなく身体症状を含めた,包括的かつ縦断的に解析された例はない.そのため,本研究の目的は,リラクゼーション介入での,身体症状や精神症状の治療経過を調査し,効果的なリラクゼーションの用い方について検討することである.
当院では,抑うつ症状を呈した患者に対して,精神科作業療法のリラクゼーションプログラムで,呼吸法やストレッチなどを行っている.本研究では,その結果を後ろ向きに調査し,分析した.
【方法】
対象は,2022年3月から12月まで当院に入院し,リラクゼーションプログラムに継続して参加した者である.人数は10名(年齢51.7±18.0歳,男性3名,女性7名)であった.当院のCOVID-19のクラスターで,3週間程度のプログラム休止があったため,その間参加困難となった者は中止前までの期間とした.また,評価回数が3回未満の者と,データ欠損者は除外した.
グループ構成は,平均2~6名のセミクローズドの小グループで,頻度は,5回/週・45分/回実施した.プログラム内容は,主に呼吸法,瞑想,ストレッチ,ヨガなどを参加者の特性に合わせて組み合わせ,臥位や,椅子座位にて実施した.プログラム中,作業療法士は,無理せず痛みを伴わないよう声掛けし,気持ちいいという感覚を得ることが重要であると説明した.模倣が困難な患者には安心を保証するようなサポートや環境作りに配慮した.活動の終わりには,前後の変化などの感想を聞き,快感覚を即時フィードバックした.
評価は,自律神経の乱れから引き起こされやすい身体症状(8項目):「不眠」,「頭痛」,「めまい」,「動機」,「食欲不振」,「便秘・下痢」,「発汗」,「肩こり」と,精神症状(3項目):「抑うつ」,「不安」,「緊張」について,10段階のNumerical Rating Scale(NRS)で自己記入したアンケートを用いた.
統計は,A期(介入時),B期(介入1週間),C期(退院前)に測定されたNRSの結果をFriedman検定にて解析し,多重比較補正にはHolm法を用いた.有意水準は5%未満とした.
本研究は,当院の倫理審査委員会の承認を得ており,本人に口頭と書面にて説明し同意を得た.
【結果】
精神症状の合計点では,A期とC期(p=0.028)の比較で有意な低下を認めた.身体症状の合計点では,A期とB期(p=0.037),B期とC期(p=0.027),A期とC期(p=0.037)の比較で有意な低下を認めた.下位項目では,B期とC期の比較で不安(p=0.040),抑うつ(p=0.049)に有意な低下を認めた.A期とC期の比較で不安(p=0.027),抑うつ(p=0.045),不眠(p=0.027)に有意な低下を認めた.その他の群間では有意差はみられなかった.
【考察】
抑うつ症状を伴う患者に対して,リラクゼーションプログラムによる介入から退院までの結果を後ろ向きに調査した.今回の結果より,継続したリラクゼーションは,抑うつ症状を抱える患者の身体症状や精神症状を改善させる効果があることが分かった.また,身体症状のほうが精神症状よりも早期に改善効果が表れやすい可能性がある.
リラクゼーションを作業療法に用いる場合,身体症状は1週間の介入でも改善がみられるが,精神症状は改善がみられるまでに時間を要すため,粘り強く介入する工夫が必要であると考える.