[PA-12-2] 脳卒中後に目標共有である茶碗をもつことができた事例
【はじめに】
回復期リハビリテーション病棟へ入院となった脳卒中発症後の片麻痺患者における麻痺手に対して,上肢機能および日常生活動作(以下,ADL)へアプローチをする中で,作業を共有し,その作業の実現を目指して課題志向型のアプローチを実施する作業療法がなされている.今回,「左手で茶碗をもって摂取できる」ことを目標共有とし,作業療法および麻痺手へのロボット療法を併用することで目標達成した為,報告する.
【方法】
症例は右視床出血を呈した60代女性である.作業療法開始時(発症日3週目)の左上肢機能はFugl-Meyer assessment(以下,FMA)は36点,簡易上肢機能検査(以下,STEF)は45点,感覚は表在覚正常,運動覚重度鈍麻,Moter Activity Log(以下,MAL)はAOU2.5点,QOM1.5点であり,機能的自立度評価法(以下,FIM)は71点であった.入院時の面接より「ご飯を食べるときに,茶碗を持てたらよりおいしく食べられる」と聴取し,「左手で茶碗をもって摂取できる」ことを目標共有とした.
作業療法開始より麻痺手が「机上までの上肢がリーチできる」「茶碗へ添える」と2つの動作を獲得する為,①肩・肘・手関節・手指の単関節に対して反復運動と②ロボット療法の機器であるReoGo-J(30分を週7回/6週間,運動課題:三次元前方リーチ・外転リーチ・回旋リーチ)を設定した.③食事場面で環境調整(麻痺手の機能改善に合わせて机上にセッティング)を図った.報告に際し,同意を得て実施した.
【経過】
作業療法開始時より①反復運動に対して筋出力低下により運動制限があり,自動介助下で行い,②ReoGo-Jの運動課題の項目に対して,全介助モードで実施した.
開始18目より①反復運動に対して肩・肘の機能改善が図れたことで自動運動を行い,②ReoGo-Jの運動課題の項目に対して自動介助(段階的)と自動運動(軌道アシスト)と自動運動を主体としたモードへ設定した.③食事場面で机上に前腕支持することで茶碗へ添えて摂取することが可能となった.
開始27目より①反復運動に対して自主トレーニングへ移行し,②ReoGo-Jの運動課題の項目に対して自動運動(軌道保持なし)と自己での運動を主体としたモードへ設定した.③食事場面で上肢の空間保持が可能となり,茶碗をもって摂取することが可能となった.
【結果】
作業療法開始より41目の左上肢機能は,FMAは58点,STEFは89点,感覚は運動覚正常とへ改善し,MALはAOU4.2点,QOM3.8点であり,FIMは104点と生活での使用頻度および動作の質ともに向上した.入院時の面接より「左手で茶碗をもって摂取できる」が獲得できた.面接で「フライパンで炒める操作ができるようになりたい」と次なる目標を掲げることができた.
【考察】
目標共有した「左手で茶碗をもって摂取できる」に対して,その作業の実現を目指して課題志向型のアプローチを実施する作業療法を展開した.先行研究よりロボット療法と併用して獲得した機能をADLに汎化することができるよう,目的とする作業も意識した訓練を取り組んだことで達成したと考えられる.結果を伝達し,フィードバックをしたこともあり動作の質向上に寄与できた可能性があると考える.
回復期リハビリテーション病棟へ入院となった脳卒中発症後の片麻痺患者における麻痺手に対して,上肢機能および日常生活動作(以下,ADL)へアプローチをする中で,作業を共有し,その作業の実現を目指して課題志向型のアプローチを実施する作業療法がなされている.今回,「左手で茶碗をもって摂取できる」ことを目標共有とし,作業療法および麻痺手へのロボット療法を併用することで目標達成した為,報告する.
【方法】
症例は右視床出血を呈した60代女性である.作業療法開始時(発症日3週目)の左上肢機能はFugl-Meyer assessment(以下,FMA)は36点,簡易上肢機能検査(以下,STEF)は45点,感覚は表在覚正常,運動覚重度鈍麻,Moter Activity Log(以下,MAL)はAOU2.5点,QOM1.5点であり,機能的自立度評価法(以下,FIM)は71点であった.入院時の面接より「ご飯を食べるときに,茶碗を持てたらよりおいしく食べられる」と聴取し,「左手で茶碗をもって摂取できる」ことを目標共有とした.
作業療法開始より麻痺手が「机上までの上肢がリーチできる」「茶碗へ添える」と2つの動作を獲得する為,①肩・肘・手関節・手指の単関節に対して反復運動と②ロボット療法の機器であるReoGo-J(30分を週7回/6週間,運動課題:三次元前方リーチ・外転リーチ・回旋リーチ)を設定した.③食事場面で環境調整(麻痺手の機能改善に合わせて机上にセッティング)を図った.報告に際し,同意を得て実施した.
【経過】
作業療法開始時より①反復運動に対して筋出力低下により運動制限があり,自動介助下で行い,②ReoGo-Jの運動課題の項目に対して,全介助モードで実施した.
開始18目より①反復運動に対して肩・肘の機能改善が図れたことで自動運動を行い,②ReoGo-Jの運動課題の項目に対して自動介助(段階的)と自動運動(軌道アシスト)と自動運動を主体としたモードへ設定した.③食事場面で机上に前腕支持することで茶碗へ添えて摂取することが可能となった.
開始27目より①反復運動に対して自主トレーニングへ移行し,②ReoGo-Jの運動課題の項目に対して自動運動(軌道保持なし)と自己での運動を主体としたモードへ設定した.③食事場面で上肢の空間保持が可能となり,茶碗をもって摂取することが可能となった.
【結果】
作業療法開始より41目の左上肢機能は,FMAは58点,STEFは89点,感覚は運動覚正常とへ改善し,MALはAOU4.2点,QOM3.8点であり,FIMは104点と生活での使用頻度および動作の質ともに向上した.入院時の面接より「左手で茶碗をもって摂取できる」が獲得できた.面接で「フライパンで炒める操作ができるようになりたい」と次なる目標を掲げることができた.
【考察】
目標共有した「左手で茶碗をもって摂取できる」に対して,その作業の実現を目指して課題志向型のアプローチを実施する作業療法を展開した.先行研究よりロボット療法と併用して獲得した機能をADLに汎化することができるよう,目的とする作業も意識した訓練を取り組んだことで達成したと考えられる.結果を伝達し,フィードバックをしたこともあり動作の質向上に寄与できた可能性があると考える.