[PB-1-2] 急性期病院に入院中の心疾患患者に対する作業療法実践に関する文献レビュー
【はじめに】
心臓リハビリテーション(以下心リハ)の時期区分があり,医療機関において,作業療法士(以下OTR)が心リハに関わる場合,急性期から前期回復期までとされ,患者それぞれの日常生活支援,社会復帰を中心とした支援となる.入院期心疾患患者のうち3割程度に作業機能障害が存在していることが明らかになっており,作業機能障害は心理的問題に影響を与えると言われている.心理的問題の一つの抑うつは活動・参加の制限に直結すると言われている.作業に根ざした実践を行うことは作業機能障害の改善にも有効であると示唆されている.しかし,入院期間の短縮の影響で作業に焦点を当てたアウトカムよりも医学的なアウトカムが優先されることが多い実情がある.そこで本研究の目的は急性期病院に入院中の心疾患患者に対する作業療法(以下OT)介入をする際の評価・実践内容を整理することとし,心疾患を有する患者への今後の展望を考察することである.
【方法】
文献検索は医中誌を使用した.検索語は「作業療法」と「心臓リハビリ」「心不全」「心疾患」をシソーラスにて統合された語をそれぞれand検索した.
検索期間は全期間から検索日(2022年12月10日最終検索日)とした.これらのヒットした文献から心疾患が主病名となっている内容のもの,OTRによる介入報告となっている原著論文,解説・総説を包含した.除外基準として会議録を除き,2006年以前の論文,主の診断名が心疾患以外の報告・急性期以外での報告,他職種による報告は対象から除外した.
以上の基準を満たした論文から評価内容・介入内容をそれぞれ整理した.
【結果】
検索結果は「心不全」and「作業療法」で90件.「心疾患」and「作業療法」で156件「心臓リハビリテーション」and「作業療法」で102件あった.これらを包括基準に沿って採択し,重複したものを除くと23件であった.
評価項目として,ICF項目を基に分類した.基本的能力70%(心血管系・呼吸器系の機能 29%,精神機能19%,神経筋骨格と運動に関する機能17%,消化器系・代謝系・内分泌系の機能4% 感覚機能と痛み2%).応用的能力13%(運動・移動6%セルフケア4%対人関係1%家庭生活1%) 社会的能力の分類は該当なし. 環境資源2%(人的環境2%)作業に関する個人特性15%であった.また,介入方法として,OTガイドラインの作業活動の種類を基に分類をした.感覚・運動活動16%(身体機能練習16%).生活活動38%(A D L練習20%歩行練習10%IADL練習8%).余暇,創作活動20%.環境整備26%(生活・動作指導18%・環境調整4%・家族指導2%・情報提供2%)であった.
【考察】
本研究の結果から,心疾患患者への急性期病院におけるOTでは介入時の評価として,基本的能力に対する評価項目が7割を占める一方,応用的能力作業に関する個人特性の評価はそれぞれ1割程度と基本的能力を重視する傾向であった.これは,心疾患特有のリスク管理を考慮していると考えられる.また,介入方法として生活活動と感覚・運動活動で約5割を占めていることが明らかとなった.心リハでは自宅退院,ADLの自立や復職だけでなく,再発予防や生命予後延伸を目指しているが,入院期間の短縮の影響もあり,生活活動の改善を目標とした介入が多くなっているのではないかと考えられる.
今後の展望として,急性期の心疾患患者においても,疾患管理や自宅生活の継続と共に活動や参加が継続できるよう,急性期から作業活動への評価を行い,作業に根ざした実践の必要があるのではないかと考える.
心臓リハビリテーション(以下心リハ)の時期区分があり,医療機関において,作業療法士(以下OTR)が心リハに関わる場合,急性期から前期回復期までとされ,患者それぞれの日常生活支援,社会復帰を中心とした支援となる.入院期心疾患患者のうち3割程度に作業機能障害が存在していることが明らかになっており,作業機能障害は心理的問題に影響を与えると言われている.心理的問題の一つの抑うつは活動・参加の制限に直結すると言われている.作業に根ざした実践を行うことは作業機能障害の改善にも有効であると示唆されている.しかし,入院期間の短縮の影響で作業に焦点を当てたアウトカムよりも医学的なアウトカムが優先されることが多い実情がある.そこで本研究の目的は急性期病院に入院中の心疾患患者に対する作業療法(以下OT)介入をする際の評価・実践内容を整理することとし,心疾患を有する患者への今後の展望を考察することである.
【方法】
文献検索は医中誌を使用した.検索語は「作業療法」と「心臓リハビリ」「心不全」「心疾患」をシソーラスにて統合された語をそれぞれand検索した.
検索期間は全期間から検索日(2022年12月10日最終検索日)とした.これらのヒットした文献から心疾患が主病名となっている内容のもの,OTRによる介入報告となっている原著論文,解説・総説を包含した.除外基準として会議録を除き,2006年以前の論文,主の診断名が心疾患以外の報告・急性期以外での報告,他職種による報告は対象から除外した.
以上の基準を満たした論文から評価内容・介入内容をそれぞれ整理した.
【結果】
検索結果は「心不全」and「作業療法」で90件.「心疾患」and「作業療法」で156件「心臓リハビリテーション」and「作業療法」で102件あった.これらを包括基準に沿って採択し,重複したものを除くと23件であった.
評価項目として,ICF項目を基に分類した.基本的能力70%(心血管系・呼吸器系の機能 29%,精神機能19%,神経筋骨格と運動に関する機能17%,消化器系・代謝系・内分泌系の機能4% 感覚機能と痛み2%).応用的能力13%(運動・移動6%セルフケア4%対人関係1%家庭生活1%) 社会的能力の分類は該当なし. 環境資源2%(人的環境2%)作業に関する個人特性15%であった.また,介入方法として,OTガイドラインの作業活動の種類を基に分類をした.感覚・運動活動16%(身体機能練習16%).生活活動38%(A D L練習20%歩行練習10%IADL練習8%).余暇,創作活動20%.環境整備26%(生活・動作指導18%・環境調整4%・家族指導2%・情報提供2%)であった.
【考察】
本研究の結果から,心疾患患者への急性期病院におけるOTでは介入時の評価として,基本的能力に対する評価項目が7割を占める一方,応用的能力作業に関する個人特性の評価はそれぞれ1割程度と基本的能力を重視する傾向であった.これは,心疾患特有のリスク管理を考慮していると考えられる.また,介入方法として生活活動と感覚・運動活動で約5割を占めていることが明らかとなった.心リハでは自宅退院,ADLの自立や復職だけでなく,再発予防や生命予後延伸を目指しているが,入院期間の短縮の影響もあり,生活活動の改善を目標とした介入が多くなっているのではないかと考えられる.
今後の展望として,急性期の心疾患患者においても,疾患管理や自宅生活の継続と共に活動や参加が継続できるよう,急性期から作業活動への評価を行い,作業に根ざした実践の必要があるのではないかと考える.