[PD-3-3] 最初は話せなかったニーズである友人との旅行を達成する為に作業療法とリハ栄養が重要であった一例
【はじめに】サルコペニアを有していると抑うつ,食欲低下,易疲労性を惹起され,心身機能や活動能力の低下し,QOLの低下に繋がり,死に繋がる危険性がある.悪循環を断つ為に作業療法介入時にサルコペニアの改善を図る一助として栄養評価,食欲,食生活,食事について評価し,リハビリテーション栄養(以下リハ栄養)介入することが重要である.
【目的】サルコペニア,抑うつ,食欲低下,ADL低下を呈した大腿骨頚部骨折患者へ作業療法とリハ栄養介入をしたことで,本当のニーズであった友人との旅行が達成できた症例を経験した.本人による同意を得て,当院倫理委員会の承認を得たので報告をする.
【方法】70歳代,女性,夫と2人暮らし.入院前より軽度の食欲低下と体重減少が生じていた.自宅階段から転落し大腿骨頚部骨折を呈し手術目的で入院となった.身長154cm,体重:41.0kg,BMI:17.3kg/㎡,AC:21cm,TSF:8mm,CC:24cm,握力:11kg,5回立ち上がりテスト0回,歩行1m/秒以下とサルコペニアの可能性あり,TP:6.2g/dl,ALB:2.6g/dl,Hb:9.1g/dl.HDS-R:28点,SNAQ-J(簡易食欲調査票):10点(14点以下を食欲不振),BI:55点であった.食欲不振,痛みと能力の低下によって意欲低下があった.ニーズは,介入初期は「早く動けるようになりたい」であった.移動手段の獲得と在宅復帰を想定した訓練,食事と栄養摂取の重要性についての教育と気づきの促しを面接方式で行った.
【経過】介入初期(術後1~10日),術後の痛みと入院による活動性の低下等の複合的な状況によって食欲不振は悪化する状況であった.喫食率は約3割程度であり,美味しくないとの発言が聞かれた.必要栄養量を摂取する為にONSとして,経口栄養補助食品やチョコレートを提供した.痛みの軽減や栄養摂取が進むにつれて,意欲の向上がみられ,ADL等の能力に改善がみられ,笑顔でリハを行うようになった.介入中期(術後11~41日),喫食率は約7割摂取となり,BI:85点と能力に向上がみられていった.心身機能,活動能力の向上がみられ,在宅復帰を目指すこととなった.ニーズの再調査を行ったところ「入院前に友人と温泉旅行に行く約束をしていた」と話された.在宅復帰とは別に最終目標を「友人と温泉旅行に行くこと」とし,その為にリハビリテーションと栄養の重要性についての指導を開始した.介入後期(術後42~124日),栄養摂取の重要性と食欲が出ない際にどのように栄養摂取をしていくかをノートに記載し,自身で対策を考えられるように支援をした.48日目に自宅へ退院となったが,本人と家族の希望により週1~2回の外来リハを行うこととなった.約10日間に1回フィジカルアセスメントを行い,自身の行っている栄養管理とリハの効果を記録に残していき,習慣化の強化を図った.
【結果】体重:47.1kg,BMI:19.8kg/㎡,AC:24cm,TSF:8mm,CC:30cm,握力:17kg,5回立ち上がりテスト8秒,階段昇降(高さ20㎝)を連続100段昇降可能,SNAQ-J(簡易食欲調査票):18点(14点以下を食欲不振),BI:100点,友人との温泉旅行に行くことが叶った.継続的な栄養管理もしており,「入院前より調子が良くなりました」と笑顔で話された.
【考察】
リハ栄養の観点を考慮しながら作業療法を提供することは,作業療法の真髄である「その人らしさ」を引き出すことに必要不可欠であると改めて感じた.食欲不振患者に食事を摂るように勧めるだけではなく,何の為に栄養状態をよくしていくかといった目標に対象者が気づくことが重要である.その気づきを支援することは作業療法の長所の一つであり,リハ栄養と合わさることでより,効果的な作業療法を展開していくことが出来る.
【目的】サルコペニア,抑うつ,食欲低下,ADL低下を呈した大腿骨頚部骨折患者へ作業療法とリハ栄養介入をしたことで,本当のニーズであった友人との旅行が達成できた症例を経験した.本人による同意を得て,当院倫理委員会の承認を得たので報告をする.
【方法】70歳代,女性,夫と2人暮らし.入院前より軽度の食欲低下と体重減少が生じていた.自宅階段から転落し大腿骨頚部骨折を呈し手術目的で入院となった.身長154cm,体重:41.0kg,BMI:17.3kg/㎡,AC:21cm,TSF:8mm,CC:24cm,握力:11kg,5回立ち上がりテスト0回,歩行1m/秒以下とサルコペニアの可能性あり,TP:6.2g/dl,ALB:2.6g/dl,Hb:9.1g/dl.HDS-R:28点,SNAQ-J(簡易食欲調査票):10点(14点以下を食欲不振),BI:55点であった.食欲不振,痛みと能力の低下によって意欲低下があった.ニーズは,介入初期は「早く動けるようになりたい」であった.移動手段の獲得と在宅復帰を想定した訓練,食事と栄養摂取の重要性についての教育と気づきの促しを面接方式で行った.
【経過】介入初期(術後1~10日),術後の痛みと入院による活動性の低下等の複合的な状況によって食欲不振は悪化する状況であった.喫食率は約3割程度であり,美味しくないとの発言が聞かれた.必要栄養量を摂取する為にONSとして,経口栄養補助食品やチョコレートを提供した.痛みの軽減や栄養摂取が進むにつれて,意欲の向上がみられ,ADL等の能力に改善がみられ,笑顔でリハを行うようになった.介入中期(術後11~41日),喫食率は約7割摂取となり,BI:85点と能力に向上がみられていった.心身機能,活動能力の向上がみられ,在宅復帰を目指すこととなった.ニーズの再調査を行ったところ「入院前に友人と温泉旅行に行く約束をしていた」と話された.在宅復帰とは別に最終目標を「友人と温泉旅行に行くこと」とし,その為にリハビリテーションと栄養の重要性についての指導を開始した.介入後期(術後42~124日),栄養摂取の重要性と食欲が出ない際にどのように栄養摂取をしていくかをノートに記載し,自身で対策を考えられるように支援をした.48日目に自宅へ退院となったが,本人と家族の希望により週1~2回の外来リハを行うこととなった.約10日間に1回フィジカルアセスメントを行い,自身の行っている栄養管理とリハの効果を記録に残していき,習慣化の強化を図った.
【結果】体重:47.1kg,BMI:19.8kg/㎡,AC:24cm,TSF:8mm,CC:30cm,握力:17kg,5回立ち上がりテスト8秒,階段昇降(高さ20㎝)を連続100段昇降可能,SNAQ-J(簡易食欲調査票):18点(14点以下を食欲不振),BI:100点,友人との温泉旅行に行くことが叶った.継続的な栄養管理もしており,「入院前より調子が良くなりました」と笑顔で話された.
【考察】
リハ栄養の観点を考慮しながら作業療法を提供することは,作業療法の真髄である「その人らしさ」を引き出すことに必要不可欠であると改めて感じた.食欲不振患者に食事を摂るように勧めるだけではなく,何の為に栄養状態をよくしていくかといった目標に対象者が気づくことが重要である.その気づきを支援することは作業療法の長所の一つであり,リハ栄養と合わさることでより,効果的な作業療法を展開していくことが出来る.