[PE-5-4] 神経難病患者に対するクライエント中心の作業療法の実践について
【はじめに】
神経難病患者の作業療法には活動性を高め,症状の進行を遅らせ,廃用症候群を予防することにあり,何より患者の主体性を大切にすることが必要であると考えている.
今回作業療法介入前・後にCanadian Occupational Performance Measure(以下COPMと略す)にて評価し,10名の神経難病患者に効果的な治療介入ができたかを検証した.尚,本研究,研究発表に際し,研究対象者本人及び代筆者には承諾を得ている.
【目的】
①神経難病患者の考える重要な活動項目の傾向及び具体的項目を明らかにする.
②作業療法介入前・後にCOPMの遂行度・満足度を評価することで,クライエント中心の
作業療法の展開についての妥当性を示す.
【方法】
研究期間:2022年4月より2023年1月末まで
対 象:当院入院中の神経難病患者10名 平均年齢:62.6歳
呼吸器または気管切開も含め意思伝達ツール等を利用して意思疎通可能で, 研究趣旨を理解いただける患者.
初回作業療法介入時にCOPMにて評価後,本人との合意形成のもと一定期間作業療法を実施し,その後再評価を行った.神経難病患者が考える重要な活動項目の傾向を分析し,介入前・後の遂行度・満足度にはウィルコクソン符号順位検定にて比較分析した.
【結果】
神経難病患者が重要と考える活動は,10人中(延べ人数)セルフケア6名,次いでレジャー3名,仕事2名の順であった.列挙された重要な具体的項目は,セルフケアでは車いす乗車,次いで身だしなみを整える,心の安定をはかるであった.レジャーでは散歩,次いで本を読む,手工芸であった.仕事では庭木の管理,経済の勉強と多岐にわたっていた.心身機能向上・生活能力改善などの処遇が困難となる中においてもセルフケアが重要であると判断していることが明らかとなった.
介入前・後の遂行度と満足度は共に5%レベルで有意差がみられた.
【考察】
一般にセラピストは臨床的思考の中で,経験値等により画一的な見方で方向性を定めようとする傾向がある.今回の結果で語られた言葉には次第に心身機能向上・生活能力改善などの処遇が困難となる中であってもセルフケアが最も重要であると判断され,列挙された項目は多岐であった.発言の背景に想いをめぐらせる必要はあるが,活動性を高め,症状の進行を遅らせ,廃用症候群を予防する従来の作業療法と概ね合致していた.
一方で合意形成により作業療法を展開することで,介入前・後の遂行度と満足度は共に5%レベルで有意差がみられた.神経難病患者との対話は個々のルールがあり,地道で根気と忍耐を要するため敬遠されがちで,疎かになってはいないだろうかと振り返った.COPMによる評価は,ツールとしてだけではなく,対話の機会として重要な役割を果たしていると考えている.なぜなら時間をかけ, 考えを整理し,一文字一文字を綴り,表出された発言を許容し,共感する機会となっているからである.そのプロセスは主体性を育む治療の一環のようにも感じられた.
病状の進行は刻々と変化し,それに応じてCOPMによる評価も変化していくはずである.
これからも検証を続け,COPMの評価を通して対話というプロセスの中で信頼関係構築し,主体性を大切にする作業療法を展開していきたい.
神経難病患者の作業療法には活動性を高め,症状の進行を遅らせ,廃用症候群を予防することにあり,何より患者の主体性を大切にすることが必要であると考えている.
今回作業療法介入前・後にCanadian Occupational Performance Measure(以下COPMと略す)にて評価し,10名の神経難病患者に効果的な治療介入ができたかを検証した.尚,本研究,研究発表に際し,研究対象者本人及び代筆者には承諾を得ている.
【目的】
①神経難病患者の考える重要な活動項目の傾向及び具体的項目を明らかにする.
②作業療法介入前・後にCOPMの遂行度・満足度を評価することで,クライエント中心の
作業療法の展開についての妥当性を示す.
【方法】
研究期間:2022年4月より2023年1月末まで
対 象:当院入院中の神経難病患者10名 平均年齢:62.6歳
呼吸器または気管切開も含め意思伝達ツール等を利用して意思疎通可能で, 研究趣旨を理解いただける患者.
初回作業療法介入時にCOPMにて評価後,本人との合意形成のもと一定期間作業療法を実施し,その後再評価を行った.神経難病患者が考える重要な活動項目の傾向を分析し,介入前・後の遂行度・満足度にはウィルコクソン符号順位検定にて比較分析した.
【結果】
神経難病患者が重要と考える活動は,10人中(延べ人数)セルフケア6名,次いでレジャー3名,仕事2名の順であった.列挙された重要な具体的項目は,セルフケアでは車いす乗車,次いで身だしなみを整える,心の安定をはかるであった.レジャーでは散歩,次いで本を読む,手工芸であった.仕事では庭木の管理,経済の勉強と多岐にわたっていた.心身機能向上・生活能力改善などの処遇が困難となる中においてもセルフケアが重要であると判断していることが明らかとなった.
介入前・後の遂行度と満足度は共に5%レベルで有意差がみられた.
【考察】
一般にセラピストは臨床的思考の中で,経験値等により画一的な見方で方向性を定めようとする傾向がある.今回の結果で語られた言葉には次第に心身機能向上・生活能力改善などの処遇が困難となる中であってもセルフケアが最も重要であると判断され,列挙された項目は多岐であった.発言の背景に想いをめぐらせる必要はあるが,活動性を高め,症状の進行を遅らせ,廃用症候群を予防する従来の作業療法と概ね合致していた.
一方で合意形成により作業療法を展開することで,介入前・後の遂行度と満足度は共に5%レベルで有意差がみられた.神経難病患者との対話は個々のルールがあり,地道で根気と忍耐を要するため敬遠されがちで,疎かになってはいないだろうかと振り返った.COPMによる評価は,ツールとしてだけではなく,対話の機会として重要な役割を果たしていると考えている.なぜなら時間をかけ, 考えを整理し,一文字一文字を綴り,表出された発言を許容し,共感する機会となっているからである.そのプロセスは主体性を育む治療の一環のようにも感じられた.
病状の進行は刻々と変化し,それに応じてCOPMによる評価も変化していくはずである.
これからも検証を続け,COPMの評価を通して対話というプロセスの中で信頼関係構築し,主体性を大切にする作業療法を展開していきたい.