第57回日本作業療法学会

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ポスター

がん

[PF-3] ポスター:がん 3

Fri. Nov 10, 2023 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (展示棟)

[PF-3-4] がんセンターにおける転移性骨腫瘍手術症例に対する作業療法介入の現状と課題

藤井 美希1, 納冨 敦子1, 藤本 侑大1, 田中 美羽1, 田宮 大也2 (1.大阪府立病院機構 大阪国際がんセンターリハビリテーション科, 2.大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター整形外科(骨軟部腫瘍科))

【はじめに】
がん罹患者数の増加や治療成績の向上により転移性骨腫瘍と診断され治療を受ける進行がん患者は増加している.転移性骨腫瘍に対しては保存療法や放射線療法,化学療法が選択されることが多いが,原発巣や患者の全身状態などによって手術を選択される場合もある.大阪国際がんセンター(以下,当センター)の転移性骨腫瘍手術症例に対する作業療法介入の現状と課題について検討する.
【方法】
2020年4月から2022年12月までに,当センターにおいて転移性骨腫瘍に対して手術が行われた33例(平均年齢66.6±10.3歳,男性16例,女性17例)に対して原発巣,手術部位,術式,転帰先,術後の在院日数,退院時のPerformance status(PS),作業療法介入の有無,術後治療の有無について診療録より後方視的に調査した.
【結果】
原発巣は肺がん8例,乳がん5例,腎がん5例と転移性骨腫瘍の頻度が高いとされる癌種が多かった.手術部位は大腿骨24例と半数以上となり,上腕骨4例,尺骨1例であった.術式は大腿骨に対しては髄内釘固定術12例,近位置換術11例,遠位置換術1例,上腕骨に対しては髄内釘固定術2例,遠位置換術1例,セメント充填術が1例,尺骨に対してはプレート固定術が1例であった.転帰先と在院日数は,大腿骨は髄内釘固定術後は自宅退院8例12.8±3.2日,転院3例18.3±9.0日,死亡退院1例で,近位置換術後は自宅退院8例25.8±6.2日,転院3例15.7±1.7日であった.上腕骨は全例が自宅退院,8.3±1.9日で,尺骨は自宅退院5日であった.PSは大腿骨髄内釘固定術後の自宅退院はPS1が6例,PS2が1例で,近位置換術後の自宅退院はPS2が6例,PS1が1例,PS3が1例であった.上腕骨および尺骨の術後は全例PS1であった.作業療法介入の有無は大腿骨髄内釘固定術後は3例(自宅退院2例,死亡退院1例)で,近位置換術後は11例全例に介入していたが,術前開始3例,術後開始8例であった.また上腕骨および尺骨の手術症例に対しては全例で介入し,安静指示に合わせて外来まで介入を継続していた.術後抗がん治療の有無は大腿骨髄内釘固定術後では7例が自宅退院後に当センターでの治療を継続し,1例が転院先での治療を継続していた.大腿近位置換術後では自宅退院後に6例が当センターで,1例が他院での治療を継続し,2例が転院先での治療を継続していた.上腕骨,尺骨の術後は全例で当センターでの治療を継続していた.
【考察】
転移性骨腫瘍の術後は,抗がん治療を継続する場合は早期に自宅退院やPSの改善が求められるが,荷重制限や股関節外転装具の使用など日常生活動作や自宅退院への制約が多い大腿骨近位置換術後に作業療法も介入し多職種と連携しながら平均25日で退院し,治療継続につながったと考えられる.一方で,大腿骨近位置換術前からの上肢筋力や自宅環境に対する介入,および大腿骨髄内釘固定術後の荷重制限に対する動作指導や自助具・自宅環境の調整などは作業療法が介入していない症例があることを確認した.今後は術後の早期退院やPS改善に向けた大腿骨近位置換術への術前介入や大腿骨髄内釘固定術後への作業療法介入の有用性,対象症例の検討を行いたい.