[PH-6-4] 精神科デイケアにおける復職支援~対人関係に着目して~
【はじめに】うつ病を発症し復職に向け,デイケアを利用開始となった事例に対して,安心・安全な場の提供と対人関係技能に焦点を当てた関わりを行った.その結果,対人関係技能,うつ症状が改善した関わりについて報告する.尚,発表に際し,本人に口頭で説明し書面にて同意を得ている.開示すべきCOIはない.
【事例紹介】20歳代男性.高校教師から理不尽な叱責に悩み,中退.通信制高校を卒業した.大学ではサークルを作るなどした.卒業後は,食品会社へ就職.残業時間の増加,職場上司からの長時間の叱責あり,職場行けず,休職.復職に向けて,本人の意向を聞くが,うまく伝えられず.人付き合いの練習も含めて入院.WAIS-Ⅲは,言語性IQ86,動作性IQ99,1人で淡々と単純作業などを行うことが得意な反面,臨機応変さ,今行っていることの背景の把握や予測,表現することが苦手であると考えられた.入院中も,他患との交流は殆ど見られず,自室でゲームをして過ごした.退院後,復職するも,発熱・頭痛等の身体症状あり休職.対人関係技能の改善を目的にデイケア利用を開始した.性格は,元来内向的で,言語化が苦手.
【評価と方針】デイケア通所時より,声かけを行うが,曖昧な返事のみで会話が続かず.常に携帯電話を見ているため,周りからも話しかけられる状況になく,1人で過ごす状況であった.精神障害者社会生活評価尺度(LASMI):日常生活0.09,対人関係1.00,労働または課題の遂行0.60,持続性・安定性3.00,自己認識0.33. コミュニケーション・交流技能評価(ACIS):57点,機能の全体的評価尺度(GAF):50点.デイケアで安心して過ごすことと活動を通して,会話を増やす事を目標共有した.
【介入経過】週3回参加,2週間に1回振り返りシートを利用した.曖昧な返答が多かったが,本人の興味のあること・得意なことについては,会話が続き,表情良く話をするようになり,プログラムの参加や,自発的に話すことも増えた.デイケアに安心して過ごせるようになった頃より,興味があったフットサルへの参加を開始.自ずと会話の量も増え,作戦を考えるなど対人関係技能に違いが見られるようになった.振り返り場面でも,徐々に具体的に返答できるようになり,気になることは質問も出来るようになった.
【結果】コミュニケーションの機会が増え,自発的に話をする様子,自分の考えを話すことが出来るようになった.LASMI:対人関係が1.00から0.55,ACISが70点,GAFが70点に向上した.
【考察】A氏の内向的で言語化が苦手な面は,高校時代の理不尽な叱責から周囲に心を開かなくなったことが要因であった.それ以来,コミュニケーションをとる機会が少なく,悩みや質問等を話すことが出来なく今回の休職にも繋がったと考えた.まずは,人が安全である経験のため無理にプログラム参加を促さずデイケアに参加し,個別に振り返りシートを用い自発性を引き出し,本人の好きなことなど話す機会を設けることで心を開いた.メンバーとは,スタッフがメンバーとの懸け橋になることで会話の機会が増えた.窪田は,集団精神療法的グループとしてのデイケアにおいて,治療構造としての「場」の力が大きな治療効果を持っている.仲間意識の形成が自我の成長を促し,徐々に自信を強め社会適応能力を高める効果が認められる場合が多いと述べている.このようにデイケアに参加することが本人にとっては居場所として安心感に繋がった.デイケア活動への参加,フットサルへの参加によりコミュニティの拡大,メンバーとの交流の機会の増加に繋がり,対人関係技能に変化をもたらしたのではないかと考えられた.
【事例紹介】20歳代男性.高校教師から理不尽な叱責に悩み,中退.通信制高校を卒業した.大学ではサークルを作るなどした.卒業後は,食品会社へ就職.残業時間の増加,職場上司からの長時間の叱責あり,職場行けず,休職.復職に向けて,本人の意向を聞くが,うまく伝えられず.人付き合いの練習も含めて入院.WAIS-Ⅲは,言語性IQ86,動作性IQ99,1人で淡々と単純作業などを行うことが得意な反面,臨機応変さ,今行っていることの背景の把握や予測,表現することが苦手であると考えられた.入院中も,他患との交流は殆ど見られず,自室でゲームをして過ごした.退院後,復職するも,発熱・頭痛等の身体症状あり休職.対人関係技能の改善を目的にデイケア利用を開始した.性格は,元来内向的で,言語化が苦手.
【評価と方針】デイケア通所時より,声かけを行うが,曖昧な返事のみで会話が続かず.常に携帯電話を見ているため,周りからも話しかけられる状況になく,1人で過ごす状況であった.精神障害者社会生活評価尺度(LASMI):日常生活0.09,対人関係1.00,労働または課題の遂行0.60,持続性・安定性3.00,自己認識0.33. コミュニケーション・交流技能評価(ACIS):57点,機能の全体的評価尺度(GAF):50点.デイケアで安心して過ごすことと活動を通して,会話を増やす事を目標共有した.
【介入経過】週3回参加,2週間に1回振り返りシートを利用した.曖昧な返答が多かったが,本人の興味のあること・得意なことについては,会話が続き,表情良く話をするようになり,プログラムの参加や,自発的に話すことも増えた.デイケアに安心して過ごせるようになった頃より,興味があったフットサルへの参加を開始.自ずと会話の量も増え,作戦を考えるなど対人関係技能に違いが見られるようになった.振り返り場面でも,徐々に具体的に返答できるようになり,気になることは質問も出来るようになった.
【結果】コミュニケーションの機会が増え,自発的に話をする様子,自分の考えを話すことが出来るようになった.LASMI:対人関係が1.00から0.55,ACISが70点,GAFが70点に向上した.
【考察】A氏の内向的で言語化が苦手な面は,高校時代の理不尽な叱責から周囲に心を開かなくなったことが要因であった.それ以来,コミュニケーションをとる機会が少なく,悩みや質問等を話すことが出来なく今回の休職にも繋がったと考えた.まずは,人が安全である経験のため無理にプログラム参加を促さずデイケアに参加し,個別に振り返りシートを用い自発性を引き出し,本人の好きなことなど話す機会を設けることで心を開いた.メンバーとは,スタッフがメンバーとの懸け橋になることで会話の機会が増えた.窪田は,集団精神療法的グループとしてのデイケアにおいて,治療構造としての「場」の力が大きな治療効果を持っている.仲間意識の形成が自我の成長を促し,徐々に自信を強め社会適応能力を高める効果が認められる場合が多いと述べている.このようにデイケアに参加することが本人にとっては居場所として安心感に繋がった.デイケア活動への参加,フットサルへの参加によりコミュニティの拡大,メンバーとの交流の機会の増加に繋がり,対人関係技能に変化をもたらしたのではないかと考えられた.