[PI-1-4] 放課後等デイサービスにおける脳性麻痺児に対するCognitive Oriented to daily Occupational Performance(CO-OP)の実践
【背景・目的】
Cognitive Orientation to daily Occupational Performance(CO-OP)は子どもが目標とする作業に焦点を当て,作業のためのスキルの獲得や,そのスキルの般化,転移を目的とする活動/参加志向的アプローチである.放課後等デイサービスにおけるCO-OPの実践事例は散見されるが,脳性麻痺児を対象にした報告例は少ない.そこで本報告の目的は,脳性麻痺児に対するCO-OPの実践事例を通じて,作業のためのスキルの獲得やスキルの般化,転移について検討することである.
【方法】
対象は,放課後等デイサービスを利用しており,脳性麻痺の診断がある,不器用さが疑われる小学校中学年の児童であった.アウトカムには,対象時の主観的な作業遂行をCanadian Occupational Performance Measure(COPM),客観的な作業遂行の質をPerformance Quality Rating Scale(PQRS)を採用した.スキルの般化と転移については,観察評価で検討を行った.介入は週1回10分程度で,5か月間実施された.初回に作業療法士(OT)がCOPMとPQRSでベースラインを測定した.COPMでは「強くボールが蹴れるようになること」,「安全に歩けるようになる」が選択され,OTと活動支援スタッフの2名で,この2つの目標に対する認知ストラテジーの確認,作業の練習,PQRSの測定を実施した.
なお,本報告に際し,対象児と保護者に対し,口頭と書面で同意を得ており,配慮すべき倫理事項はない.また,本報告における利益相反関連事項はない.
【結果】
COPMの遂行度の平均点はベースラインで3.0点,最終評価時は6.2点で,3.2点の変化がみられた.COPMの満足度の平均点はベースラインで3.5点,最終評価時は8.6点で,5.1点の変化がみられた.PQRSはベースラインが2点,最終評価時は8点で,6点の変化がみられた.スキルの般化の観点では,活動時と日常生活場面での転倒回数の減少がみられた.スキルの転移の観点では,フルコートでの試合中,止まっているボールのキックだけでなく,動くボールも蹴ることができるようなった.また初回ではボールタッチの回数が1試合に1回以下だったが,最終評価時点では1試合に5回以上に増えていた.
【考察】
先行研究よりCOPMは2点の変化(Law et al, 1994),PQRSは3点の変化(Martini et al, 2015)があれば真の変化があったと考えられている.本報告ではいずれの項目においても真の変化があったと考えられる.これに加えて,日常生活での転倒回数が減少されていること,動いているボールが蹴られるようになったこと,ボールタッチの回数が増えたことから,サッカー活動で獲得したスキルの般化および近接転移が示唆される.これはCO-OPは運動学習理論に基づいており,自動化の段階(Fitts & Posner, 1967)まで獲得できたためだと考えられる.
Cognitive Orientation to daily Occupational Performance(CO-OP)は子どもが目標とする作業に焦点を当て,作業のためのスキルの獲得や,そのスキルの般化,転移を目的とする活動/参加志向的アプローチである.放課後等デイサービスにおけるCO-OPの実践事例は散見されるが,脳性麻痺児を対象にした報告例は少ない.そこで本報告の目的は,脳性麻痺児に対するCO-OPの実践事例を通じて,作業のためのスキルの獲得やスキルの般化,転移について検討することである.
【方法】
対象は,放課後等デイサービスを利用しており,脳性麻痺の診断がある,不器用さが疑われる小学校中学年の児童であった.アウトカムには,対象時の主観的な作業遂行をCanadian Occupational Performance Measure(COPM),客観的な作業遂行の質をPerformance Quality Rating Scale(PQRS)を採用した.スキルの般化と転移については,観察評価で検討を行った.介入は週1回10分程度で,5か月間実施された.初回に作業療法士(OT)がCOPMとPQRSでベースラインを測定した.COPMでは「強くボールが蹴れるようになること」,「安全に歩けるようになる」が選択され,OTと活動支援スタッフの2名で,この2つの目標に対する認知ストラテジーの確認,作業の練習,PQRSの測定を実施した.
なお,本報告に際し,対象児と保護者に対し,口頭と書面で同意を得ており,配慮すべき倫理事項はない.また,本報告における利益相反関連事項はない.
【結果】
COPMの遂行度の平均点はベースラインで3.0点,最終評価時は6.2点で,3.2点の変化がみられた.COPMの満足度の平均点はベースラインで3.5点,最終評価時は8.6点で,5.1点の変化がみられた.PQRSはベースラインが2点,最終評価時は8点で,6点の変化がみられた.スキルの般化の観点では,活動時と日常生活場面での転倒回数の減少がみられた.スキルの転移の観点では,フルコートでの試合中,止まっているボールのキックだけでなく,動くボールも蹴ることができるようなった.また初回ではボールタッチの回数が1試合に1回以下だったが,最終評価時点では1試合に5回以上に増えていた.
【考察】
先行研究よりCOPMは2点の変化(Law et al, 1994),PQRSは3点の変化(Martini et al, 2015)があれば真の変化があったと考えられている.本報告ではいずれの項目においても真の変化があったと考えられる.これに加えて,日常生活での転倒回数が減少されていること,動いているボールが蹴られるようになったこと,ボールタッチの回数が増えたことから,サッカー活動で獲得したスキルの般化および近接転移が示唆される.これはCO-OPは運動学習理論に基づいており,自動化の段階(Fitts & Posner, 1967)まで獲得できたためだと考えられる.