[PJ-4-5] 当院回復期リハビリテーション病棟におけるサルコペニアの実態調査と関連因子の検討
【背景】サルコペニアは,高齢期において筋量と筋力が進行性かつ全身性に減少した状態と定義される.サルコペニアによって,歩行機能やバランス障害,さらには転倒や日常生活動作の障害を引き起こすこともあるとされているが,当院では,これまでサルコペニアの実態について調査したことがなかった.実態を調査することで,今後のリハビリテーションに繋げることが重要であると思われる.
【目的】当院回復期リハビリテーション病棟は,高齢者が多くサルコペニアの患者が多いことが予測される.今回,サルコペニアの実態を調査し,サルコペニアに関連する因子を検討することで,今後の当院におけるリハビリテーション栄養に生かすことを目的とする.
【方法】当院回復期リハビリテーション病棟に入棟し,データ不備のない38名(平均年齢79.9±9.1歳,男性16名)を対象とした.サルコペニアの判定は,AWGS2019の基準値を用いてSMIと握力で診断し,体組成分析にはInBodyS10を用いた. 対象をサルコペニア群と非サルコペニア群の2群に分類し,入棟時における年齢, BMI,リハビリテーションによるエネルギー消費量(以下,リハ消費量),エネルギー充足率, 運動FIM,認知FIMを群間比較した.さらに,サルコペニアの関連因子を検証した. 統計解析として,群間比較はMann-WhitneyのU検定またはFisherの正確検定を用いた.さらにサルコペニアとの関連因子を検討するため, 従属変数をサルコペニアの有無,独立変数を年齢,運動FIM, 認知FIM,リハ消費量とした多変量ロジスティック回帰分析を行った.有意水準はいずれも5%とした.本研究は,ヘルシンキ宣言に従い倫理と個人情報に配慮し,口頭での説明による同意を得た.
【結果】サルコペニア群は21名であり,全体の55.2%がサルコペニアに該当した.サルコペニア群は,年齢(p<0.01)が有意に高値であり,BMI(p<0.01),リハ消費量(p<0.01),運動FIM(p<0.05)においては有意に低値であった.さらに,年齢は,オッズ比0.75,95%CI(0.61-0.93),p=0.008,リハ消費量は,オッズ比1.03,95%CI(1.01-1.05),p=0.027,認知FIMは,オッズ比0.73,95%CI(0.55-0.96),p=0.025が独立した有意な因子として抽出された.
【考察】サルコペニアには,年齢に加え,リハ消費量や認知機能が関連する可能性が示唆された.今後は,リハビリテーション栄養として,疾患の回復に合わせた,その時期に適したリハ消費量が設定されているか,すなわち運動負荷量や時間が考慮されているか,具体的な数値を用いることで検討していく必要があると考えられる.さらに,入棟時に認知機能が低下している方においては,特にサルコペニアの評価の必要性が高いと考えられる.先行研究によると,サルコペニアを有する高齢者は,非サルコペニアの高齢者と比較して約2倍,認知機能低下を有する割合が高いとする報告がある.また,アルツハイマー型認知症では,早期から筋肉量の減少が認められ,病期の進行に伴ってさらに筋肉量は減少し,筋力や歩行機能を含む身体機能が低下するためサルコペニアの有症率が高くなるともされており,認知機能低下に起因する疾患についても考慮していく必要性がある.当院では,NST(栄養サポートチーム)とDST(認知症ケアサポートチーム)を有しており,今後はこれまで以上に連携を深めることによって,さらなるリハビリテーション栄養の充実化を図り,サルコペニアの予防や進行防止においても強化して取り組んでいきたい.
【目的】当院回復期リハビリテーション病棟は,高齢者が多くサルコペニアの患者が多いことが予測される.今回,サルコペニアの実態を調査し,サルコペニアに関連する因子を検討することで,今後の当院におけるリハビリテーション栄養に生かすことを目的とする.
【方法】当院回復期リハビリテーション病棟に入棟し,データ不備のない38名(平均年齢79.9±9.1歳,男性16名)を対象とした.サルコペニアの判定は,AWGS2019の基準値を用いてSMIと握力で診断し,体組成分析にはInBodyS10を用いた. 対象をサルコペニア群と非サルコペニア群の2群に分類し,入棟時における年齢, BMI,リハビリテーションによるエネルギー消費量(以下,リハ消費量),エネルギー充足率, 運動FIM,認知FIMを群間比較した.さらに,サルコペニアの関連因子を検証した. 統計解析として,群間比較はMann-WhitneyのU検定またはFisherの正確検定を用いた.さらにサルコペニアとの関連因子を検討するため, 従属変数をサルコペニアの有無,独立変数を年齢,運動FIM, 認知FIM,リハ消費量とした多変量ロジスティック回帰分析を行った.有意水準はいずれも5%とした.本研究は,ヘルシンキ宣言に従い倫理と個人情報に配慮し,口頭での説明による同意を得た.
【結果】サルコペニア群は21名であり,全体の55.2%がサルコペニアに該当した.サルコペニア群は,年齢(p<0.01)が有意に高値であり,BMI(p<0.01),リハ消費量(p<0.01),運動FIM(p<0.05)においては有意に低値であった.さらに,年齢は,オッズ比0.75,95%CI(0.61-0.93),p=0.008,リハ消費量は,オッズ比1.03,95%CI(1.01-1.05),p=0.027,認知FIMは,オッズ比0.73,95%CI(0.55-0.96),p=0.025が独立した有意な因子として抽出された.
【考察】サルコペニアには,年齢に加え,リハ消費量や認知機能が関連する可能性が示唆された.今後は,リハビリテーション栄養として,疾患の回復に合わせた,その時期に適したリハ消費量が設定されているか,すなわち運動負荷量や時間が考慮されているか,具体的な数値を用いることで検討していく必要があると考えられる.さらに,入棟時に認知機能が低下している方においては,特にサルコペニアの評価の必要性が高いと考えられる.先行研究によると,サルコペニアを有する高齢者は,非サルコペニアの高齢者と比較して約2倍,認知機能低下を有する割合が高いとする報告がある.また,アルツハイマー型認知症では,早期から筋肉量の減少が認められ,病期の進行に伴ってさらに筋肉量は減少し,筋力や歩行機能を含む身体機能が低下するためサルコペニアの有症率が高くなるともされており,認知機能低下に起因する疾患についても考慮していく必要性がある.当院では,NST(栄養サポートチーム)とDST(認知症ケアサポートチーム)を有しており,今後はこれまで以上に連携を深めることによって,さらなるリハビリテーション栄養の充実化を図り,サルコペニアの予防や進行防止においても強化して取り組んでいきたい.