[PJ-7-4] 高齢期の作業機能障害に着目した文献レビュー
【はじめに】World Health Organization(以下,WHO)は,世界的な問題である高齢化に対してアクティブ・エイジングを打ち立て,健康的な高齢化を目指している. わが国も深刻な超高齢社会を迎えており, 高齢者人口は2042年にピークを迎え,その後減少に転じるとされているが.高齢化率はその後も上昇し続け,2065年には38,4%に達すると推計されている(内閣府,2022).このような社会情勢の中,土井(2013)は,地域包括ケアにおける作業療法士の役割は生活機能の状態に応じて,人物や物的環境,サービスの環境などを整え活かし,その人らしく生活できるよう支援することであると述べており,生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)は,国民にわかりやすく地域包括ケアに貢献できる作業療法の形となるよう日本作業療法士協会より開発された.地域在住高齢者において,フレイルと日常生活活動(以下,ADL)や手段的日常生活活動(以下,IADL,趣味活動や社会参加,高次生活機能や社会的環境要因との関連が明らかになっている.作業療法の先行研究では,武田ら(2021)によると作業参加とフレイルを検討し,作業参加はプレフレイルの状態に影響を与える要因となる可能性が示唆されている.しかし,これらは作業機能障害とフレイルの直接的な関係を調査したものではないと考える.作業機能障害とは,日々の生活行為を適切に取り組むことができない状態であり,疾病の有無に関わらず,健常者も体験する問題で,安寧(well-being)の低下や健康状態の悪化を招く(寺岡ら,2013). 作業療法士は,作業機能障害を解決する専門家であるため,作業機能障害の種類を評価し,介入する必要がある(寺岡ら,2014).作業機能障害には,日々の生活行為のバランスが崩れた状態(作業不均衡),外的要因によって生活行為ができない状態(作業剥奪),生活行為に対して意味を見いだせない状態(作業疎外),多くの人が価値を認めるような生活行為を行えない状態(作業周縁化)の4種類がある.
【目的】国内において高齢者を対象としたフレイルと介護予防としての作業療法の関連についての調査は散見される.そこで筆者は現時点での高齢者の作業機能障害についての研究の動向を概観することを目的に,文献レビューを実施した.
【方法】システィマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告事項(以下,PRISMA声明)に準拠し,データベース検索として,医学中央雑誌で「作業機能障害」を検索式とし,Web検索を行った.データベース検索後,一次スクリーニングとして,病院,大学,養成校の紀要を除外し,原著論文を選抜した.この論文から,高齢者以外を対象とした論文を除外し,分析対象となる論文を採用した.
【結果】Web検索により特定された論文は138編,この138編の論文から,一次スクリーニング,二次スクリーニングを行った結果,最終的に12編となった.そのうち,症例報告が9編,介入研究1編,観察研究が2編だった.
【考察】現時点での作業機能障害の研究は症例報告が多く,その領域は様々であった.観察研究では健康関連QOLなどとの関連性,構造方程式モデルの検証などが行われており,作業機能障害という概念が作業療法の中でどのように社会や対象者に寄与するのかといったことや,作業機能障害の背景因子を探るような研究を中心に行われていた.
【目的】国内において高齢者を対象としたフレイルと介護予防としての作業療法の関連についての調査は散見される.そこで筆者は現時点での高齢者の作業機能障害についての研究の動向を概観することを目的に,文献レビューを実施した.
【方法】システィマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告事項(以下,PRISMA声明)に準拠し,データベース検索として,医学中央雑誌で「作業機能障害」を検索式とし,Web検索を行った.データベース検索後,一次スクリーニングとして,病院,大学,養成校の紀要を除外し,原著論文を選抜した.この論文から,高齢者以外を対象とした論文を除外し,分析対象となる論文を採用した.
【結果】Web検索により特定された論文は138編,この138編の論文から,一次スクリーニング,二次スクリーニングを行った結果,最終的に12編となった.そのうち,症例報告が9編,介入研究1編,観察研究が2編だった.
【考察】現時点での作業機能障害の研究は症例報告が多く,その領域は様々であった.観察研究では健康関連QOLなどとの関連性,構造方程式モデルの検証などが行われており,作業機能障害という概念が作業療法の中でどのように社会や対象者に寄与するのかといったことや,作業機能障害の背景因子を探るような研究を中心に行われていた.