[PM-4-4] MTDLPを用いた関わりが生活範囲拡大につながった皮膚筋炎に伴う間質性肺炎の一例
【はじめに】皮膚筋炎に伴う間質性肺炎にて呼吸困難を感じながら生活している症例を担当した.入院加療にて呼吸困難の改善を認めたが,投薬による易感染性や疾患増悪への不安が強く,退院後生活像は過度に活動範囲を制限したものだった.MTDLPを用いた介入によって症例と退院後生活の目標を共有でき,活動範囲拡大が図れたと思われたため報告する.
【倫理的配慮】本発表において十分な説明を行い書面にて症例の同意を得られている.
【症例紹介】60歳代女性.間質性肺炎の診断にて他院で加療するが奏功せず,膠原病疾患が疑われ当院受診し,皮膚筋炎・それに伴う間質性肺炎と診断され加療目的で入院となった.入院2日目にステロイドパルス+エンドキサンパルス療法を開始し,同日PT・OT開始となった.
【評価】ビル清掃業を自営し,自宅兼事務所で夫と2人暮らし.事務所では5名程勤務しており,症例は主に経理業務や支払い処理での外勤業務を担当し,外勤時は車移動が中心だった.人員不足時には清掃業務にも従事していたが入院前は呼吸困難にて実施困難だった.多忙な業務の合間で家事を全て担当し,毎日慌ただしい生活だったが,近隣に住んでいる娘夫婦との交流が楽しみとのことだった.リハビリ開始時は全身性に筋力低下はなかったが,拘束性換気障害を認めた.安静時・労作時共に室内気で酸素化は保たれていたが,長距離歩行や入浴動作にて呼吸困難を自覚しており,NRADL92点だった.症例は家事動作については問題視していなかったが,模擬的動作評価にて連続した掃除機掛けで呼吸困難を自覚した.ステロイド投与に伴う糖尿病管理の不安も聴かれたが,特に易感染性への不安が強く聴かれ,退院後は自宅内生活に限定することを考えていた.症例・夫共に経理業務のみは継続することを希望していたが,症例はその業務も全て事務所には行かずに自宅内で出来ることに留め,娘夫婦との交流も最低限にし,他者との接触を極力避けようと考えていた.
【介入経過】生活範囲が狭小化する懸念があり,MTDLPを用い「疾患理解をした上で家事・経理業務へ復職する」ことを症例と目標共有した.リハビリでは筋力・運動耐用能の維持向上と共に事務所内作業を想定した動作時の呼吸困難や休息のポイントを指導した.それと共に糖尿病管理や易感染性への不安について主治医・看護師と共有し,糖尿病教室参加での理解促進や通常感染対策にて症例が考えている程に行動制限をする必要がないことを説明した.内服中心の加療に変更となり退院許可された時点では糖尿病管理の不安は解消されていたが,感染対策への不安は残ったままだった.そのため月に1度点滴加療での入院時に短時間面接を行い,生活状況を確認した.退院後1ヶ月では家事動作は夫と分担出来ており,特に自覚症状なく生活できていた.しかし外出への不安は残り,症例が当初想定していた様に経理業務は自宅内でのみ実施しており,遂行度2/満足度3と共に低値だった.まずは事務所に資料を取りに行くことから始めることを助言した.2ヶ月目の入院時には,資料を取りに行く際の事務職員との交流から始まり,徐々に事務所で経理業務を行えるようになり,娘からの誘いもあって一緒に外出できる様になったと話され,遂行度8/満足度8と共に高値となり,介入終了した.
【考察】症例は作業遂行能力は非常に高かったが,易感染性や疾患増悪等に対する不安から過度に生活範囲を狭小化しようと考えていた.遂行能力と退院後の生活像との解離を評価し介入したことは症例の生活の遂行度/満足度向上に寄与できたと考える.本介入では同居者以外の支援は検討出来ておらず,今後の課題となった.
【倫理的配慮】本発表において十分な説明を行い書面にて症例の同意を得られている.
【症例紹介】60歳代女性.間質性肺炎の診断にて他院で加療するが奏功せず,膠原病疾患が疑われ当院受診し,皮膚筋炎・それに伴う間質性肺炎と診断され加療目的で入院となった.入院2日目にステロイドパルス+エンドキサンパルス療法を開始し,同日PT・OT開始となった.
【評価】ビル清掃業を自営し,自宅兼事務所で夫と2人暮らし.事務所では5名程勤務しており,症例は主に経理業務や支払い処理での外勤業務を担当し,外勤時は車移動が中心だった.人員不足時には清掃業務にも従事していたが入院前は呼吸困難にて実施困難だった.多忙な業務の合間で家事を全て担当し,毎日慌ただしい生活だったが,近隣に住んでいる娘夫婦との交流が楽しみとのことだった.リハビリ開始時は全身性に筋力低下はなかったが,拘束性換気障害を認めた.安静時・労作時共に室内気で酸素化は保たれていたが,長距離歩行や入浴動作にて呼吸困難を自覚しており,NRADL92点だった.症例は家事動作については問題視していなかったが,模擬的動作評価にて連続した掃除機掛けで呼吸困難を自覚した.ステロイド投与に伴う糖尿病管理の不安も聴かれたが,特に易感染性への不安が強く聴かれ,退院後は自宅内生活に限定することを考えていた.症例・夫共に経理業務のみは継続することを希望していたが,症例はその業務も全て事務所には行かずに自宅内で出来ることに留め,娘夫婦との交流も最低限にし,他者との接触を極力避けようと考えていた.
【介入経過】生活範囲が狭小化する懸念があり,MTDLPを用い「疾患理解をした上で家事・経理業務へ復職する」ことを症例と目標共有した.リハビリでは筋力・運動耐用能の維持向上と共に事務所内作業を想定した動作時の呼吸困難や休息のポイントを指導した.それと共に糖尿病管理や易感染性への不安について主治医・看護師と共有し,糖尿病教室参加での理解促進や通常感染対策にて症例が考えている程に行動制限をする必要がないことを説明した.内服中心の加療に変更となり退院許可された時点では糖尿病管理の不安は解消されていたが,感染対策への不安は残ったままだった.そのため月に1度点滴加療での入院時に短時間面接を行い,生活状況を確認した.退院後1ヶ月では家事動作は夫と分担出来ており,特に自覚症状なく生活できていた.しかし外出への不安は残り,症例が当初想定していた様に経理業務は自宅内でのみ実施しており,遂行度2/満足度3と共に低値だった.まずは事務所に資料を取りに行くことから始めることを助言した.2ヶ月目の入院時には,資料を取りに行く際の事務職員との交流から始まり,徐々に事務所で経理業務を行えるようになり,娘からの誘いもあって一緒に外出できる様になったと話され,遂行度8/満足度8と共に高値となり,介入終了した.
【考察】症例は作業遂行能力は非常に高かったが,易感染性や疾患増悪等に対する不安から過度に生活範囲を狭小化しようと考えていた.遂行能力と退院後の生活像との解離を評価し介入したことは症例の生活の遂行度/満足度向上に寄与できたと考える.本介入では同居者以外の支援は検討出来ておらず,今後の課題となった.