第57回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

地域

[PN-3] ポスター:地域 3

2023年11月10日(金) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (展示棟)

[PN-3-5] 作業療法士と学童保育支援員を中心に多職種で行なったオンライン勉強会

門脇 結衣1,5, 藤崎 咲子2,5, 糸山 智栄3,5, 八重樫 貴之4,5 (1.訪問看護ステーションそらまめ, 2.社会福祉法人翔の会児童発達支援センターうーたん, 3.岡山県学童保育連絡協議会, 4.株式会社リニエR, 5.OTにIT運営チーム)

【はじめに】2016年より岡山県学童保育連絡協議会が中心となり,学童保育に作業療法士(以下,OT)が訪問してコンサルテーションを行うモデル事業が始まり,その取り組みは全国各地で広がりを見せた.また,OTが講師となる研修会も多く開催されていたが,昨今のコロナ禍により直接訪問してコンサルテーションを行うことや対面研修の開催が困難になっていた.そこで,学童保育支援員からのニーズもあり,OTを中心に多職種でのオンライン勉強会(OT にIT)を開催することにした.筆者らはその取り組みと勉強会によって得られる多職種連携の必要性について考察し,昨年一昨年の本学会で報告した.今回は勉強会継続3年目を迎え,様々な地域や領域で活躍する講師が多かったため,その経過を第3報として報告する.尚,この勉強会は参加者,講師共に無料で行っているので利益相反はない.
【開催方法】2020年5月より毎週火曜日21時~22時半にオンライン会議ツールZoomを使用し開催した.各回のテーマは参加者の希望を元に運営チームで検討し,Facebookのイベントページ及びLINEのオープンチャット機能で告知した.勉強会終了後は毎回Google formのアンケート記入を参加者に依頼した.
【経過】2023年2月14日時点で全142回実施している.勉強会開催当初から昨年までの2年間は,発達領域のOTや学童保育支援員,助産師など子どもに関わる専門職が中心に講師を務め,内容も発達障害の基礎知識やアセスメント,子どもの育成支援に関わる多職種の取り組みが多くを占めていた.3年目の本年は,不登校支援・産業分野・司法領域・法人内の学童保育所勤務のOTが講師を務めた.またOT以外にも子どもの居場所支援や子ども食堂の運営者,地域で生活する障がい者支援を行っている社会福祉士やNPO法人の代表者など多岐に渡る職種の講師が登壇した.
【結果】毎回50~70人程度の参加があり,アンケート結果から5~6割がOTで学童保育関係者を含む残りは多職種の参加であった.これまではOTや学童保育関係者・リハビリテーション専門職や福祉専門職などの参加者が多かったが,テーマによっては会社経営者や自治体職員・農家などの参加もあった.講師の所属先は様々で,民間企業やNPO法人等であった.自ら起業したOT も講師を務めた.そのようなOTが講師を務めた回では参加者が100名を超えたことも度々あった.アンケートの自由記載欄では,多職種からは「多様なOTの働き方があることを知った」「地域で活躍するOTが増えてほしい」,OTからは「OTの可能性が広がった」「挑戦する勇気をもらった」「刺激を受けて自分も新しいことにチャレンジした」「小児発達領域に転職した」「小児専門のフリーランスOTに挑戦している」などがあった.
【考察】厚生労働省が掲げる地域共生社会の実現に向けて,日本作業療法士協会は「病院や施設内での患者・利用者への支援のみならず,行政職や他職種と協働して,連携した取り組みを進めるための仕組みづくりや事業活動に参画し,生活行為の向上を目指す作業療法士の視点を地域づくりに活かすための方策と活動が必要」と述べている.現在OTの就業先として医療分野が約6割と高いなか,地域で活躍する多種多様なOTや多職種の実践に触れることで,既存の分野や領域に捉われることなく,地域や社会で求められるOT像を見出すことができたのではないだろうか.また,地域で働く希望を持つOTのキャリア選択の一助になったのではないかと考えられる.