[PN-3-9] 当院の短時間型通所リハビリテーションの効果検証
【はじめに】
当院は,2022年7月,新たに短時間型通所リハビリテーション(以下通所リハ)を開設した. 生活期リハビリにおいて活動と社会参加に対してのアプローチが求められている(2018.曽根ら)ことを受け, マッサージを実施せず利用者毎の目標をもとにリハビリ専門職が提案した訓練メニューを自主トレーニングする方針とした. 今回, 通所リハの知見を深めることを目的に現時点の効果検証を実施したので報告する.
【方法】
対象は,2022年8月から2023年1月の間に当院通所リハを利用した利用者のうち開始時と利用から3ヶ月経過した時にデータ欠損がない者とした. 当院通所リハでは,週1から2回,2時間以上3時間未満の通所リハを実施する. 実施内容としては,先ず作業療法士(以下OT)と理学療法士(以下PT)が提案した自主トレーニングメニューを行う.ほかに訓練成果を確認することを目的にレクリエーションの実施. 目標と生活歴から必要と判断した利用者には,調理訓練を実施した. 月に一度, OTとPTは利用者の状態把握のため検査を実施した. 調査項目は,要介護認定, 性別, 年齢, Time Up & Go Test(TUG), 長谷川式認知症スケール(HDS-R), Barthel Index(BI), Frenchay Activities Index(FAI)とした. 属性は記述統計を算出した. 効果は,開始時と利用から3ヶ月経過時の値をWilcoxonの符号順位和検定を用いて計算した. 統計ソフトは,R Console ver4.2を使用した. 有意水準は,1%未満とした. 本研究は, 当院「倫理委員会」承認のもと対象者には書面及び口頭説明による研究同意を得て実施した.
【結果】
分析対象者は,合計19名であった. 要介護認定内訳(要支援2: 4名, 要介護1: 5名, 要介護2: 6名, 要介護3: 1名, 要介護4: 2名, 要介護5: 1). 男性9名, 女性10名. 年齢77.7±15.7歳. TUGは,開始時29.3±51.5秒, 3ヶ月後22.4±33.6秒であり統計的な有意差は認めなかった(P=0.34). HDS-Rは,開始時24.3±11.3点, 3ヶ月後25.4±9.3点であり統計的な有意差は認めなかった(P=0.67). BIは,開始時83.9±28.9点, 3ヶ月後86.3±26.3点であり統計的な有意差は認めなかった(P=0.99). FAIは,開始時7.1±18.9点, 3ヶ月後13.6±13.4点であり有意な改善を認めた(P<0.01).
【考察】
先ずIADL改善の指標となるFAIが有意に向上したことは,一定のリハビリ効果が得られたものと推測する. 一方TUG, HDS-R, BIは改善が認められるものの,統計学的な有意差は認められなかった. 認知機能の検査であるHDS-Rは不可逆的な要素があるため低下せず機能を維持できたことは意味がある結果だと考える. 転倒予測であるTUGは統計処理が順位検定であることから点数上の改善を反映できなかったと考える. 今後, 対象者が増えて検定力が高い統計処理にすることで有意差が認められるのではないかと予想する. BIは開始時から高い点数であったため天井効果による影響で統計学的な有意差が認められなかったと考える. 健康日本21(2013. 厚生労働省)では,高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けるため介護予防の充実がより重要視されている. 介護予防マニュアル(2022.厚生労働省)より介護予防の目指すものとして心身機能の改善だけでなく, 活動性を高め, 家庭や社会への参加を促すとされており, 家庭内の役割の要素が多く含まれるIADLの改善は健康寿命の延伸に貢献できる結果だと考える. こうした地道な取り組みは,患者の在宅復帰やサポート,その他生活リハ全般におけるOTサービスの発展に寄与できるものと考える.
当院は,2022年7月,新たに短時間型通所リハビリテーション(以下通所リハ)を開設した. 生活期リハビリにおいて活動と社会参加に対してのアプローチが求められている(2018.曽根ら)ことを受け, マッサージを実施せず利用者毎の目標をもとにリハビリ専門職が提案した訓練メニューを自主トレーニングする方針とした. 今回, 通所リハの知見を深めることを目的に現時点の効果検証を実施したので報告する.
【方法】
対象は,2022年8月から2023年1月の間に当院通所リハを利用した利用者のうち開始時と利用から3ヶ月経過した時にデータ欠損がない者とした. 当院通所リハでは,週1から2回,2時間以上3時間未満の通所リハを実施する. 実施内容としては,先ず作業療法士(以下OT)と理学療法士(以下PT)が提案した自主トレーニングメニューを行う.ほかに訓練成果を確認することを目的にレクリエーションの実施. 目標と生活歴から必要と判断した利用者には,調理訓練を実施した. 月に一度, OTとPTは利用者の状態把握のため検査を実施した. 調査項目は,要介護認定, 性別, 年齢, Time Up & Go Test(TUG), 長谷川式認知症スケール(HDS-R), Barthel Index(BI), Frenchay Activities Index(FAI)とした. 属性は記述統計を算出した. 効果は,開始時と利用から3ヶ月経過時の値をWilcoxonの符号順位和検定を用いて計算した. 統計ソフトは,R Console ver4.2を使用した. 有意水準は,1%未満とした. 本研究は, 当院「倫理委員会」承認のもと対象者には書面及び口頭説明による研究同意を得て実施した.
【結果】
分析対象者は,合計19名であった. 要介護認定内訳(要支援2: 4名, 要介護1: 5名, 要介護2: 6名, 要介護3: 1名, 要介護4: 2名, 要介護5: 1). 男性9名, 女性10名. 年齢77.7±15.7歳. TUGは,開始時29.3±51.5秒, 3ヶ月後22.4±33.6秒であり統計的な有意差は認めなかった(P=0.34). HDS-Rは,開始時24.3±11.3点, 3ヶ月後25.4±9.3点であり統計的な有意差は認めなかった(P=0.67). BIは,開始時83.9±28.9点, 3ヶ月後86.3±26.3点であり統計的な有意差は認めなかった(P=0.99). FAIは,開始時7.1±18.9点, 3ヶ月後13.6±13.4点であり有意な改善を認めた(P<0.01).
【考察】
先ずIADL改善の指標となるFAIが有意に向上したことは,一定のリハビリ効果が得られたものと推測する. 一方TUG, HDS-R, BIは改善が認められるものの,統計学的な有意差は認められなかった. 認知機能の検査であるHDS-Rは不可逆的な要素があるため低下せず機能を維持できたことは意味がある結果だと考える. 転倒予測であるTUGは統計処理が順位検定であることから点数上の改善を反映できなかったと考える. 今後, 対象者が増えて検定力が高い統計処理にすることで有意差が認められるのではないかと予想する. BIは開始時から高い点数であったため天井効果による影響で統計学的な有意差が認められなかったと考える. 健康日本21(2013. 厚生労働省)では,高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けるため介護予防の充実がより重要視されている. 介護予防マニュアル(2022.厚生労働省)より介護予防の目指すものとして心身機能の改善だけでなく, 活動性を高め, 家庭や社会への参加を促すとされており, 家庭内の役割の要素が多く含まれるIADLの改善は健康寿命の延伸に貢献できる結果だと考える. こうした地道な取り組みは,患者の在宅復帰やサポート,その他生活リハ全般におけるOTサービスの発展に寄与できるものと考える.