[PN-4-7] 熱海市土石流災害におけるホテル避難所支援の実際
【はじめに】熱海市伊豆山地区逢初川において,2021年7月3日10時30分頃,土石流の第1波が発生し,その後も正午過ぎまで数度の土石流が発生し,家屋等が押し流され,甚大な被害が生じた.この災害により,死者は 27名,災害関連死1名,全壊家屋 53 戸を含む住宅等被害数は136 戸に及んだ.筆者は静岡JRATの事務局として,行政,医師会,派遣隊の調整窓口となりロジスティックを担当した.静岡JRAT撤退後は医師不在のもとリハチーム(OT・PT・ST)の副本部長として,現地で活動する避難所支援コーディネーターとの連携を中心に派遣隊員の後方支援を行なった.ホテルを活用した一般避難所支援の実際について報告する.
※本演題内には倫理的配慮を要する言及箇所はありません.
【ホテル避難所の実際】最大500名を超える避難者が同一ホテル内で過ごすこととなった.個人のプライバシーが守られ,食事や寝具にも困ることはなく,そして何よりも避難所生活で問題となることの多いトイレや入浴等の衛生環境が保たれていたことは大きなメリットであった.また,各災害支援団体で構成された健康支援チームの詰所がホテル内に配備されたため安全性が保たれ,支援する側にとっても良好な環境であった.一方で,要援護者の部屋を巡回する際には「ドア錠がロックされて入室できない」,「エアコン未使用により熱中症の症状を呈した方」,など完全個室となるホテルならでは問題点も浮上した.避難所内の多くの人が,日中の活動といえば食事会場と部屋との往復のみという状況だった.急遽,福祉チーム(以下,DWAT)とリハチームが協働して健康体操を設定し生活不活発病の予防が喫緊の課題として周知された.
【JRAT・リハチーム支援活動の実際】まず第1に,生活不活発とそれに伴う災害関連疾患の予防と対策を実施した.居室訪問時の熱中症管理,服薬状況の確認するとともに,いち早く地域資源への移行を推進するために,要援護者に対して訪問リハビリの必要性を個別評価した.次に,生活環境の改善や工夫を提案した.要援護者の居室へ訪問し,玄関,トイレ,風呂などの使用方法及び移動方法等を評価した.また,段ボールベッドの適応判断はリハチームが担当したため,導入後にも評価を継続した.最後に,地域や災害支援団体と連携して活動を実施した.ミーティングでの情報共有はもちろんのこと,静岡DWATと連携し「健康体操」を実施.生活支援チームを通じて担当ケアマネジャー等へ情報提供を行なった.
【課題と対応策】県内でリハチームが介入した初めての災害となった.平時から行政との連携が不十分であったため,初動が遅れ,リハチームは発災から2週間以上経過してからの介入となった.JRAT派遣隊は3〜4日程度連続で活動するのが基本だが,今回は局所災害かつ避難所がホテルであったこともあり,毎日交代していく形をとった.そのため早朝の保健師ミーティングに参加し,現地の現状や課題を把握した上で避難所ホテルに向かうことをルーティン化した.はじめて参加する派遣隊が活動前に保健師と顔合わせする機会を持てたことは,活動する上で大変重要であった.保健師とのラウンドでは,部屋から応答がない方,空調が管理できていない方などホテルならではの課題が多くみられ,情報共有の大切さを実感した.連携における課題は派遣隊によって統括保健師へ報告する内容や量に差が生じたことである.我々も日報を作成したが,そこに明記された重要な情報が,統括保健師にも共有されていたのかどうか確認はできていなかった.この点は今後の課題として精査していきたいと考える.
※本演題内には倫理的配慮を要する言及箇所はありません.
【ホテル避難所の実際】最大500名を超える避難者が同一ホテル内で過ごすこととなった.個人のプライバシーが守られ,食事や寝具にも困ることはなく,そして何よりも避難所生活で問題となることの多いトイレや入浴等の衛生環境が保たれていたことは大きなメリットであった.また,各災害支援団体で構成された健康支援チームの詰所がホテル内に配備されたため安全性が保たれ,支援する側にとっても良好な環境であった.一方で,要援護者の部屋を巡回する際には「ドア錠がロックされて入室できない」,「エアコン未使用により熱中症の症状を呈した方」,など完全個室となるホテルならでは問題点も浮上した.避難所内の多くの人が,日中の活動といえば食事会場と部屋との往復のみという状況だった.急遽,福祉チーム(以下,DWAT)とリハチームが協働して健康体操を設定し生活不活発病の予防が喫緊の課題として周知された.
【JRAT・リハチーム支援活動の実際】まず第1に,生活不活発とそれに伴う災害関連疾患の予防と対策を実施した.居室訪問時の熱中症管理,服薬状況の確認するとともに,いち早く地域資源への移行を推進するために,要援護者に対して訪問リハビリの必要性を個別評価した.次に,生活環境の改善や工夫を提案した.要援護者の居室へ訪問し,玄関,トイレ,風呂などの使用方法及び移動方法等を評価した.また,段ボールベッドの適応判断はリハチームが担当したため,導入後にも評価を継続した.最後に,地域や災害支援団体と連携して活動を実施した.ミーティングでの情報共有はもちろんのこと,静岡DWATと連携し「健康体操」を実施.生活支援チームを通じて担当ケアマネジャー等へ情報提供を行なった.
【課題と対応策】県内でリハチームが介入した初めての災害となった.平時から行政との連携が不十分であったため,初動が遅れ,リハチームは発災から2週間以上経過してからの介入となった.JRAT派遣隊は3〜4日程度連続で活動するのが基本だが,今回は局所災害かつ避難所がホテルであったこともあり,毎日交代していく形をとった.そのため早朝の保健師ミーティングに参加し,現地の現状や課題を把握した上で避難所ホテルに向かうことをルーティン化した.はじめて参加する派遣隊が活動前に保健師と顔合わせする機会を持てたことは,活動する上で大変重要であった.保健師とのラウンドでは,部屋から応答がない方,空調が管理できていない方などホテルならではの課題が多くみられ,情報共有の大切さを実感した.連携における課題は派遣隊によって統括保健師へ報告する内容や量に差が生じたことである.我々も日報を作成したが,そこに明記された重要な情報が,統括保健師にも共有されていたのかどうか確認はできていなかった.この点は今後の課題として精査していきたいと考える.