[PN-6-12] 地域リハビリテーション支援センターの訪問相談事業からみた障害福祉領域における作業療法士の役割
【はじめに】高齢者対応から始まった「地域包括ケアシステム」の構築は,その地域の子どもから高齢者までの全ての住民を対象とする仕組みの構築に向かうことになり,日本作業療法士協会の第三次作業療法5ヵ年戦略(2018-2022) 重点項目では「地域包括ケアシステムにおいて,医療介護連携のみならず,障害児・者にも対応できる作業療法(士)促進のための方策を提示する」と設定しており,障害福祉領域への作業療法の拡大が目指されている.
丹後圏域地域リハビリテーション支援センターは,2011年から丹後中央病院が京都府から委託を受けて,地域リハビリテーションコーディネート事業を行っている.事業の一つである従事者支援のための訪問相談は,介護支援専門員等の従事者からの依頼を受けて,当事者の自宅等に依頼者とともに伺って,依頼者にアドバイス等の支援を行う事業である.当センターにおいても,近年リハビリテーション専門職の障害福祉領域への参画を重点項目として事業を運営している.
【目的】障害福祉領域から依頼のあった丹後圏域地域リハビリテーション支援センターの訪問相談を分析し,障害福祉領域での訪問相談事業における作業療法士(以下:OTR)の役割を明確化すること.
【方法】2018年度から2022年度(2023年1月31日まで)に丹後圏域地域リハビリテーション支援センターに依頼のあった訪問相談について,年度一覧表から障害福祉領域からの依頼で作業療法士が対応した事案を抽出した.訪問相談依頼書と報告書から日本作業療法士協会の「障害福祉領域における作業療法士実践事例集」を参考に,依頼事業所,依頼職種,当事者,支援内容について分類を行った.また,障害福祉領域に関わる事業を整理した.本報告は所属施設の承認を得ている.
【結果】年度別の依頼件数(全依頼におけるOTRが対応した障害福祉領域からの依頼件数の割合)は2018年度3件(7%),2019年度4件(9%),2020年度4件(8%),2021年度10件(20%),2022年度10件(26%).依頼事業所と職種内訳は障害者生活支援センターの相談支援専門員24件,作業所4件(看護師2件,支援員2件),行政の保健師2件(いずれも高齢者領域でOTRの好支援を経験し,障害福祉領域に移動後に依頼),障害者支援施設の看護師1件.当事者の障害は,身体15件,重心6件,高次脳4件,精神3件,知的1件,その他2件.当事者の年齢は,10歳以下1件,10歳代3件,20歳代5件,30歳代2件,40歳代6件,50歳代6件,60歳代4件,70歳代1件.支援内訳は,生活機能の獲得・維持・向上15件,環境調整10件,適応に向けた取り組み2件,その他4件.
2018年度からOTRがコーディネーターとなり,リハビリテーション専門職の障害福祉領域への参画を目的に2020年度から障害福祉をテーマに事例検討会を毎年実施した.また,2018年度から丹後圏域障害者自立支援協議会の医療的ケア部会への参加,2020年度から相談支援部会へのオブザーバー参加を継続した.
【考察】依頼件数が増えたのは,潜在的にあった障害福祉領域のリハビリテーション支援のニーズが,事例検討会や会議への参加によって掘りおこされて依頼に繋がったことと,人・作業・環境の視点で作業遂行を支援できるOTRの支援が障害福祉領域からの依頼に適していたことと考えられた.障害福祉領域での訪問相談事業におけるOTRの役割としては,年齢,障害・疾患を問わず生活で困っている人に対して作業に焦点を当てた支援や調整ができることではないか.
丹後圏域地域リハビリテーション支援センターは,2011年から丹後中央病院が京都府から委託を受けて,地域リハビリテーションコーディネート事業を行っている.事業の一つである従事者支援のための訪問相談は,介護支援専門員等の従事者からの依頼を受けて,当事者の自宅等に依頼者とともに伺って,依頼者にアドバイス等の支援を行う事業である.当センターにおいても,近年リハビリテーション専門職の障害福祉領域への参画を重点項目として事業を運営している.
【目的】障害福祉領域から依頼のあった丹後圏域地域リハビリテーション支援センターの訪問相談を分析し,障害福祉領域での訪問相談事業における作業療法士(以下:OTR)の役割を明確化すること.
【方法】2018年度から2022年度(2023年1月31日まで)に丹後圏域地域リハビリテーション支援センターに依頼のあった訪問相談について,年度一覧表から障害福祉領域からの依頼で作業療法士が対応した事案を抽出した.訪問相談依頼書と報告書から日本作業療法士協会の「障害福祉領域における作業療法士実践事例集」を参考に,依頼事業所,依頼職種,当事者,支援内容について分類を行った.また,障害福祉領域に関わる事業を整理した.本報告は所属施設の承認を得ている.
【結果】年度別の依頼件数(全依頼におけるOTRが対応した障害福祉領域からの依頼件数の割合)は2018年度3件(7%),2019年度4件(9%),2020年度4件(8%),2021年度10件(20%),2022年度10件(26%).依頼事業所と職種内訳は障害者生活支援センターの相談支援専門員24件,作業所4件(看護師2件,支援員2件),行政の保健師2件(いずれも高齢者領域でOTRの好支援を経験し,障害福祉領域に移動後に依頼),障害者支援施設の看護師1件.当事者の障害は,身体15件,重心6件,高次脳4件,精神3件,知的1件,その他2件.当事者の年齢は,10歳以下1件,10歳代3件,20歳代5件,30歳代2件,40歳代6件,50歳代6件,60歳代4件,70歳代1件.支援内訳は,生活機能の獲得・維持・向上15件,環境調整10件,適応に向けた取り組み2件,その他4件.
2018年度からOTRがコーディネーターとなり,リハビリテーション専門職の障害福祉領域への参画を目的に2020年度から障害福祉をテーマに事例検討会を毎年実施した.また,2018年度から丹後圏域障害者自立支援協議会の医療的ケア部会への参加,2020年度から相談支援部会へのオブザーバー参加を継続した.
【考察】依頼件数が増えたのは,潜在的にあった障害福祉領域のリハビリテーション支援のニーズが,事例検討会や会議への参加によって掘りおこされて依頼に繋がったことと,人・作業・環境の視点で作業遂行を支援できるOTRの支援が障害福祉領域からの依頼に適していたことと考えられた.障害福祉領域での訪問相談事業におけるOTRの役割としては,年齢,障害・疾患を問わず生活で困っている人に対して作業に焦点を当てた支援や調整ができることではないか.