[PP-6-2] 軽度認知障害を有する高齢者における認知機能と関連する脳領域の探索-拡散尖度画像を用いて―
序論:軽度認知障害(MCI)高齢者において認知機能は,拡散画像を用いた研究において前頭葉と頭頂葉,側頭葉などの脳の構造変化と関連することが知られているが,特異的な部位についての知見は十分ではない.また,それらの関連は灰白質領域についても詳細に知られていない.
目的:本研究ではMCI高齢者における認知機能と関連する脳の灰白質領域を磁気共鳴画像の一つである拡散尖度画像(DKI)を用いて探索することを目的とした.
方法:「認知症のリスクをもつ高齢者に対する進展予防を目指した多因子介入によるランダム化比較試験(J-MINT研究)」に参加しているMCI高齢者47名に対しMini Mental State Examination (MMSE)を用いて認知機能を評価し,DKIを撮像した.DKIの指標にはMean Kurtosis(MK)があり,組織構造が不均質な場合に高値を示す.DKIよりMKを算出し,Advanced Normalization Toolsを用いて各領域の平均値を求めた.また基本属性として年齢,性,教育年数を取得した.統計解析は,目的変数にMMSE,説明変数に各脳領域のMK,調整変数に基本属性を入れ,重回帰分析を行った.本研究はAセンターの倫理・利益相反委員会の承認のもとに実施し,全被験者に対し研究説明を行い,研究参加の同意を得た.
結果:参加者47名のうち,自己申告による左利きと脳室拡大により脳画像解析に適さない者を除外し,43名(年齢:73.3±5.7,女性:44.2%,MMSE:27.8±1.8)を解析に用いた.その結果,左右上前頭回(β=0.5, β=0.4),右中前頭回(β=0.5),右中心前回(β=0.5),左右中心後回(β=0.4, β=0.4),左上頭頂葉(β=0.5),左右角回(β=0.4, β=0.5),右中側頭回(β=0.4),右下後頭回(β=0.3)のMKとMMSEの点数に関連がみられた(p < 0.05).
考察:MCI高齢者では上前頭回,角回などの領域において組織構造が不均質で複雑なほどMMSEが高くなることが示された.これらの結果は,認知機能が低下しているMCI高齢者では上前頭回,角回などの灰白質において組織構造上の問題が起きていることを示唆する.
目的:本研究ではMCI高齢者における認知機能と関連する脳の灰白質領域を磁気共鳴画像の一つである拡散尖度画像(DKI)を用いて探索することを目的とした.
方法:「認知症のリスクをもつ高齢者に対する進展予防を目指した多因子介入によるランダム化比較試験(J-MINT研究)」に参加しているMCI高齢者47名に対しMini Mental State Examination (MMSE)を用いて認知機能を評価し,DKIを撮像した.DKIの指標にはMean Kurtosis(MK)があり,組織構造が不均質な場合に高値を示す.DKIよりMKを算出し,Advanced Normalization Toolsを用いて各領域の平均値を求めた.また基本属性として年齢,性,教育年数を取得した.統計解析は,目的変数にMMSE,説明変数に各脳領域のMK,調整変数に基本属性を入れ,重回帰分析を行った.本研究はAセンターの倫理・利益相反委員会の承認のもとに実施し,全被験者に対し研究説明を行い,研究参加の同意を得た.
結果:参加者47名のうち,自己申告による左利きと脳室拡大により脳画像解析に適さない者を除外し,43名(年齢:73.3±5.7,女性:44.2%,MMSE:27.8±1.8)を解析に用いた.その結果,左右上前頭回(β=0.5, β=0.4),右中前頭回(β=0.5),右中心前回(β=0.5),左右中心後回(β=0.4, β=0.4),左上頭頂葉(β=0.5),左右角回(β=0.4, β=0.5),右中側頭回(β=0.4),右下後頭回(β=0.3)のMKとMMSEの点数に関連がみられた(p < 0.05).
考察:MCI高齢者では上前頭回,角回などの領域において組織構造が不均質で複雑なほどMMSEが高くなることが示された.これらの結果は,認知機能が低下しているMCI高齢者では上前頭回,角回などの灰白質において組織構造上の問題が起きていることを示唆する.