[SS-1-1] 地域在住高齢者における主観的健康と意味のある活動の満足度との関連および活動の特徴
【はじめに】
高齢者における主観的健康(SRH)は,死亡率(Knut,2021),機能的能力(Chen, 2015),心理社会的要因(Darviri, 2012)に関連する重要な指標とされている.一方,高齢者の健康増進のためには,個人的に意味のある活動に参加し,それらに満足することが重要である(Maruta, 2020).高齢者におけるSRHと様々な要因との関連が示されているが,意味のある活動やその満足度との関連は示されていない.そこで本研究は,地域在住高齢者におけるSRHと意味のある活動の満足度との関連及び活動の特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】
大規模地域コホート研究(垂水研究 2018,2019)に参加した1499 名のうち,65 歳以上の主要データに欠損のない950名を分析対象とした.意味のある活動の評価は,作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)を用いて聞き取りを行った.参加者が最も重要とする活動に対する満足度(5段階評価)を使用し,先行研究から,満足度3以下を低満足,満足度4以上を高満足とした(Akaida, 2022).SRHは「健康だと思いますか」という質問を用いて,「非常に健康」,「まあ健康」,「あまり健康ではない」,「健康ではない」の4件法で評価した.高健康群(非常に健康),健康群(まあ健康),低健康群(あまり健康でない・健康でない)の3群に操作的に分類し,性別,満足度・遂行度の高低,認知機能低下,うつ傾向の有無をχ2 検定(残差分析),年齢,教育年数,握力,歩行速度,JST 版活動能力指標の得点は一元配置分散分析(多重比較,Bonferroni法)で比較検討した.その後,SRHを従属変数(参照:高健康群),意味のある活動の満足度を独立変数とした多項ロジスティック回帰分析を実施した.人口統計学変数とすべての副次評価項目を共変量として調整した.活動の特徴に関しては,最も重要な作業について,作業カテゴリ別に件数を集計し,χ2 検定および残差分析を用いて比較を行った.統計解析はIBM SPSS Statistic Ver.28.0を用い,有意水準は5%未満とした.本研究は,鹿児島大学疫学研究等倫理委員会の承認(170351疫)を得て実施した.
【結果】
3群間比較では,認知機能低下を除くすべての項目に群間差を認めた.満足度に関しては,高健康群(n=231,女性 54.5%,平均年齢 74.8±6.5 歳)が健康群(n=620,女性 63.5%,平均年齢 74.3±6.4 歳),非健康群(n=99,女性 67.7%,平均年齢 77.1±6.7 歳)と比較して,高満足の割合が有意に高かった(p<0.001).多項ロジスティックの結果,共変量を調整した後もSRHは意味のある活動の満足度と有意な関連を認めた(OR, 3.00, 95%CI, 1.49-6.03, p=0.002).さらに,意味のある活動のカテゴリ選択割合は,3群間で有意差を認め(p=0.002),高健康群は,他の2群と比較して「仕事・学習」の選択割合が高く,非健康群と比較して,「スポーツ」の選択割合が高く,「家庭生活」の選択割合が低かった.
【考察】
本研究から,地域在住高齢者におけるSRHと意味ある活動の満足度が有意に関連していることが明らかとなり,SRHが高い者は,「仕事」や「スポーツ」などより活動的な作業を意味ある活動として選択していた.SRHに関連する因子を特定することは,健康増進において重要な役割を果たし(Chen, 2015),本研究より,意味のある活動の満足度を関連する一つの因子として提示することができると考える.
高齢者における主観的健康(SRH)は,死亡率(Knut,2021),機能的能力(Chen, 2015),心理社会的要因(Darviri, 2012)に関連する重要な指標とされている.一方,高齢者の健康増進のためには,個人的に意味のある活動に参加し,それらに満足することが重要である(Maruta, 2020).高齢者におけるSRHと様々な要因との関連が示されているが,意味のある活動やその満足度との関連は示されていない.そこで本研究は,地域在住高齢者におけるSRHと意味のある活動の満足度との関連及び活動の特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】
大規模地域コホート研究(垂水研究 2018,2019)に参加した1499 名のうち,65 歳以上の主要データに欠損のない950名を分析対象とした.意味のある活動の評価は,作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)を用いて聞き取りを行った.参加者が最も重要とする活動に対する満足度(5段階評価)を使用し,先行研究から,満足度3以下を低満足,満足度4以上を高満足とした(Akaida, 2022).SRHは「健康だと思いますか」という質問を用いて,「非常に健康」,「まあ健康」,「あまり健康ではない」,「健康ではない」の4件法で評価した.高健康群(非常に健康),健康群(まあ健康),低健康群(あまり健康でない・健康でない)の3群に操作的に分類し,性別,満足度・遂行度の高低,認知機能低下,うつ傾向の有無をχ2 検定(残差分析),年齢,教育年数,握力,歩行速度,JST 版活動能力指標の得点は一元配置分散分析(多重比較,Bonferroni法)で比較検討した.その後,SRHを従属変数(参照:高健康群),意味のある活動の満足度を独立変数とした多項ロジスティック回帰分析を実施した.人口統計学変数とすべての副次評価項目を共変量として調整した.活動の特徴に関しては,最も重要な作業について,作業カテゴリ別に件数を集計し,χ2 検定および残差分析を用いて比較を行った.統計解析はIBM SPSS Statistic Ver.28.0を用い,有意水準は5%未満とした.本研究は,鹿児島大学疫学研究等倫理委員会の承認(170351疫)を得て実施した.
【結果】
3群間比較では,認知機能低下を除くすべての項目に群間差を認めた.満足度に関しては,高健康群(n=231,女性 54.5%,平均年齢 74.8±6.5 歳)が健康群(n=620,女性 63.5%,平均年齢 74.3±6.4 歳),非健康群(n=99,女性 67.7%,平均年齢 77.1±6.7 歳)と比較して,高満足の割合が有意に高かった(p<0.001).多項ロジスティックの結果,共変量を調整した後もSRHは意味のある活動の満足度と有意な関連を認めた(OR, 3.00, 95%CI, 1.49-6.03, p=0.002).さらに,意味のある活動のカテゴリ選択割合は,3群間で有意差を認め(p=0.002),高健康群は,他の2群と比較して「仕事・学習」の選択割合が高く,非健康群と比較して,「スポーツ」の選択割合が高く,「家庭生活」の選択割合が低かった.
【考察】
本研究から,地域在住高齢者におけるSRHと意味ある活動の満足度が有意に関連していることが明らかとなり,SRHが高い者は,「仕事」や「スポーツ」などより活動的な作業を意味ある活動として選択していた.SRHに関連する因子を特定することは,健康増進において重要な役割を果たし(Chen, 2015),本研究より,意味のある活動の満足度を関連する一つの因子として提示することができると考える.