[OA-2-4] BMI機器を用いたリハビリテーションにより運動主体感と手指機能の変化を認めた脳卒中後重度上肢麻痺患者の一症例
【はじめに】
近年,脳卒中を始めとする脳損傷に対する治療介入として,Neuromodulationという技術が注目されている.これは,脳内の機能的ネットワークに直接アプローチすることで機能的再構築を誘導する手法である.その中の一つとして,Brain-Machin Interface技術を活用したニューロリハビリテーション(以下,BMIリハ)の研究が国内外で進められ,有効性が示されている.脳卒中後の運動麻痺に対するBMIリハでは,脳活動を測定・解析し,脳活動パターンに応じて視覚や体性感覚としてフィードバックすることにより,脳の機能的再構築を促す.今回,被殻出血によって重度上肢麻痺を呈した症例に対しBMIリハを提供したところ,一定の治療効果が得られたため以下に報告する.尚,症例に対しては文書にて十分な説明を行い,同意を得ている.
【方法】
症例は,回復期病院入院中の60代女性である.左被殻出血を発症し177日,回復期病院に入院し164日が経過していた.右片麻痺を呈し,Fugl meyer assessment(以下,FMA)上肢項目は20/66点,うち手指項目は1/14点(集団屈曲のみ1点)で,回復期病院入院時より経頭蓋磁器刺激などを併用した集中的な上肢リハを継続してきたが,重度麻痺が残存し回復はプラトーに達していた.症例より「指を伸ばせるようになりたい」と強い希望が聞かれていた.
本介入ではLIFESCAPES社のBMI機器を使用した.ヘッドフォン型の脳波計測器によって体性感覚運動野近くの頭皮上から手指進展の運動イメージ時の脳波を計測し,正しい脳活動パターンで運動イメージを行えた時だけ,電動装具が他動的に手指を伸展させると同時に,総指伸筋へ神経筋電気刺激が与えられる.脳活動パターンは,モニター上で視覚的に知ることができる.
BMIリハを1日40分11日間実施した.アウトカムは,症例の主観的な評価として「自分の手指を上手く伸ばせている感覚」を毎日の施行前後で視覚的アナログスケール(以下,VAS)を用いて評価した.また,手指機能の評価として,プロトコル開始時と終了時にFMA手指項目を測定した.統計処理は,介入前後でのVASの比較を対応のあるt検定を用いて検定した.尚,統計学的有意水準は5%未満とした.
【結果】
VASの結果は,施行前の平均値が4.45±3.34mm,施行後の平均値が11.55±5.38mmであり,施行前と比較して施行後のVASが有意に向上していた.また,手指運動機能として,プロトコル終了時には不完全ではあるが手指の集団伸展運動と母指の外転運動が出現し,FMA手指項目は1/14点→2/14点へと向上した.
【考察】
今回,脳卒中により重度上肢麻痺を呈した症例に対しBMI機器を用いたリハを実施したところ,FMA手指項目の点数が向上した.また,主観的な「手指を上手く伸ばせている感覚」が施行前と比較して 施行後で有意に向上していた.BMI機器を用いることによって,症例の脳活動に応じて視覚や体性感覚としてフィードバックを与えられたことにより,運動主体感の向上と正しい脳活動パターンでの運動学習を促せたものと考える.運動機能回復には,運動主体感をもった患者の随意的な運動制御を引き出すことが重要と考えられており,本症例によりBMIリハは重度上肢麻痺患者の運動主体感と手指機能を改善させる可能性が示唆された.しかし今回は単一症例での検討であることから,症例数の蓄積と様々なプロトコルでの検討を進めていく必要がある.
近年,脳卒中を始めとする脳損傷に対する治療介入として,Neuromodulationという技術が注目されている.これは,脳内の機能的ネットワークに直接アプローチすることで機能的再構築を誘導する手法である.その中の一つとして,Brain-Machin Interface技術を活用したニューロリハビリテーション(以下,BMIリハ)の研究が国内外で進められ,有効性が示されている.脳卒中後の運動麻痺に対するBMIリハでは,脳活動を測定・解析し,脳活動パターンに応じて視覚や体性感覚としてフィードバックすることにより,脳の機能的再構築を促す.今回,被殻出血によって重度上肢麻痺を呈した症例に対しBMIリハを提供したところ,一定の治療効果が得られたため以下に報告する.尚,症例に対しては文書にて十分な説明を行い,同意を得ている.
【方法】
症例は,回復期病院入院中の60代女性である.左被殻出血を発症し177日,回復期病院に入院し164日が経過していた.右片麻痺を呈し,Fugl meyer assessment(以下,FMA)上肢項目は20/66点,うち手指項目は1/14点(集団屈曲のみ1点)で,回復期病院入院時より経頭蓋磁器刺激などを併用した集中的な上肢リハを継続してきたが,重度麻痺が残存し回復はプラトーに達していた.症例より「指を伸ばせるようになりたい」と強い希望が聞かれていた.
本介入ではLIFESCAPES社のBMI機器を使用した.ヘッドフォン型の脳波計測器によって体性感覚運動野近くの頭皮上から手指進展の運動イメージ時の脳波を計測し,正しい脳活動パターンで運動イメージを行えた時だけ,電動装具が他動的に手指を伸展させると同時に,総指伸筋へ神経筋電気刺激が与えられる.脳活動パターンは,モニター上で視覚的に知ることができる.
BMIリハを1日40分11日間実施した.アウトカムは,症例の主観的な評価として「自分の手指を上手く伸ばせている感覚」を毎日の施行前後で視覚的アナログスケール(以下,VAS)を用いて評価した.また,手指機能の評価として,プロトコル開始時と終了時にFMA手指項目を測定した.統計処理は,介入前後でのVASの比較を対応のあるt検定を用いて検定した.尚,統計学的有意水準は5%未満とした.
【結果】
VASの結果は,施行前の平均値が4.45±3.34mm,施行後の平均値が11.55±5.38mmであり,施行前と比較して施行後のVASが有意に向上していた.また,手指運動機能として,プロトコル終了時には不完全ではあるが手指の集団伸展運動と母指の外転運動が出現し,FMA手指項目は1/14点→2/14点へと向上した.
【考察】
今回,脳卒中により重度上肢麻痺を呈した症例に対しBMI機器を用いたリハを実施したところ,FMA手指項目の点数が向上した.また,主観的な「手指を上手く伸ばせている感覚」が施行前と比較して 施行後で有意に向上していた.BMI機器を用いることによって,症例の脳活動に応じて視覚や体性感覚としてフィードバックを与えられたことにより,運動主体感の向上と正しい脳活動パターンでの運動学習を促せたものと考える.運動機能回復には,運動主体感をもった患者の随意的な運動制御を引き出すことが重要と考えられており,本症例によりBMIリハは重度上肢麻痺患者の運動主体感と手指機能を改善させる可能性が示唆された.しかし今回は単一症例での検討であることから,症例数の蓄積と様々なプロトコルでの検討を進めていく必要がある.