[OA-7-3] 回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者の退院時のトイレ動作自立に関する予測
~栄養状態を含めた多角的な検討~
【はじめに】
回復期病棟における自宅退院に関連する因子としてトイレ動作の自立度が報告されている.回復期病棟におけるトイレ動作の自立に関する因子の検討では,立位バランス能力,感覚障害の有無,下肢の運動麻痺の程度,認知機能が関連するとの報告がある.また回復期病棟入院時の栄養障害の程度が,その後のADL改善に関連するとの報告がある.しかし,回復期病棟入院時に栄養障害も含めたトイレ動作自立に関する報告は著者が確認する範囲においては見当たらない.そこで,脳卒中ガイドライン2015で推奨されているように,機能や転帰先を予測してリハビリテーションプログラムを計画するためには,トイレ動作自立に関する予測を栄養障害も含め多角的な検討が必要と考える.
【目的】
回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)に入院した脳卒中患者の退院時トイレ動作自立に関する予測について栄養状態を含めて多角的に検討すること.
【方法】
対象者は2020年4月~2023年9月までに当院回復期病棟に入棟した65歳以上の初発の脳卒中患者とした.発症前からトイレ動作が自立していなかった者,入棟時からトイレ動作が自立していた者,入棟時に認知機能検査とバランス検査が適切に行えなかった者は除外した.収集データは,先行研究を参考にして,年齢,性別,疾患名(脳出血,脳梗塞など),発症から入院までの日数,入院時のMini-Mental State Examination(MMSE)・Functional Balance Scale(FBS)・麻痺側下肢のBrunnstrom Stage(BRS)・Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI),入院時のFunctional Independence Measure(FIM)の認知項目の合計点と運動項目の合計点,総合点退院時のFIMのトイレ動作,移乗トイレの点数とした.分析手順は,取り込み基準を満たした191名を,退院時のFIMのトイレ動作,移乗トイレの結果が共に6点以上だった者を自立群,それ以外を未自立群の2群に分けた.各収集データを2群間比較し,有意差のあった項目を抽出した.抽出した項目を多重共線性に配慮して,相関係数が0.7以上であった場合,臨床的意義の高い変数を選択した.その後,多重ロジスティック回帰分析を行い回帰式を求めた.有意水準は5%とした.本研究は当院臨床研究倫理審査小委員会の承認を得(承認番号:549)て実施した.
【結果】
自立群は134名,未自立群は57名であった.2群間比較において収集データで有意差を認めた項目は,年齢,発症から入院までの日数,MMSE,GNRI,FBS,下肢BRS,FIM運動項目合計,FM認知項目合計,FIM総合点であった.多重共線性を確認した結果,年齢,発症から入院までの日数,MMSE,GNRI,FBS,BRSが抽出された.抽出された項目を多重ロジスティック分析し得られた回帰式は,score=-9.531+0.179×MMSE+0.044×GNRI+0.071×FBSで,判別的中率は82.7%であった.
【考察】
判別的中率82.7%で栄養状態を含めた良好な回帰式が得られた.栄養状態によってリハビリテーション実施時の運動負荷量に影響を与え,身体的な回復の程度に違いが生じる可能性がある.今回の結果は,脳卒中患者のトイレ動作の自立に関する先行研究の報告に加えて,栄養状態も影響する結果となった.そのため,脳卒中患者のトイレ動作自立に関する予測として有用な可能性が示唆された.
回復期病棟における自宅退院に関連する因子としてトイレ動作の自立度が報告されている.回復期病棟におけるトイレ動作の自立に関する因子の検討では,立位バランス能力,感覚障害の有無,下肢の運動麻痺の程度,認知機能が関連するとの報告がある.また回復期病棟入院時の栄養障害の程度が,その後のADL改善に関連するとの報告がある.しかし,回復期病棟入院時に栄養障害も含めたトイレ動作自立に関する報告は著者が確認する範囲においては見当たらない.そこで,脳卒中ガイドライン2015で推奨されているように,機能や転帰先を予測してリハビリテーションプログラムを計画するためには,トイレ動作自立に関する予測を栄養障害も含め多角的な検討が必要と考える.
【目的】
回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)に入院した脳卒中患者の退院時トイレ動作自立に関する予測について栄養状態を含めて多角的に検討すること.
【方法】
対象者は2020年4月~2023年9月までに当院回復期病棟に入棟した65歳以上の初発の脳卒中患者とした.発症前からトイレ動作が自立していなかった者,入棟時からトイレ動作が自立していた者,入棟時に認知機能検査とバランス検査が適切に行えなかった者は除外した.収集データは,先行研究を参考にして,年齢,性別,疾患名(脳出血,脳梗塞など),発症から入院までの日数,入院時のMini-Mental State Examination(MMSE)・Functional Balance Scale(FBS)・麻痺側下肢のBrunnstrom Stage(BRS)・Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI),入院時のFunctional Independence Measure(FIM)の認知項目の合計点と運動項目の合計点,総合点退院時のFIMのトイレ動作,移乗トイレの点数とした.分析手順は,取り込み基準を満たした191名を,退院時のFIMのトイレ動作,移乗トイレの結果が共に6点以上だった者を自立群,それ以外を未自立群の2群に分けた.各収集データを2群間比較し,有意差のあった項目を抽出した.抽出した項目を多重共線性に配慮して,相関係数が0.7以上であった場合,臨床的意義の高い変数を選択した.その後,多重ロジスティック回帰分析を行い回帰式を求めた.有意水準は5%とした.本研究は当院臨床研究倫理審査小委員会の承認を得(承認番号:549)て実施した.
【結果】
自立群は134名,未自立群は57名であった.2群間比較において収集データで有意差を認めた項目は,年齢,発症から入院までの日数,MMSE,GNRI,FBS,下肢BRS,FIM運動項目合計,FM認知項目合計,FIM総合点であった.多重共線性を確認した結果,年齢,発症から入院までの日数,MMSE,GNRI,FBS,BRSが抽出された.抽出された項目を多重ロジスティック分析し得られた回帰式は,score=-9.531+0.179×MMSE+0.044×GNRI+0.071×FBSで,判別的中率は82.7%であった.
【考察】
判別的中率82.7%で栄養状態を含めた良好な回帰式が得られた.栄養状態によってリハビリテーション実施時の運動負荷量に影響を与え,身体的な回復の程度に違いが生じる可能性がある.今回の結果は,脳卒中患者のトイレ動作の自立に関する先行研究の報告に加えて,栄養状態も影響する結果となった.そのため,脳卒中患者のトイレ動作自立に関する予測として有用な可能性が示唆された.