[PH-3-4] 園芸を通したプログラムに関する文献レビュー
【はじめに】日本園芸療法学会によれば園芸療法は,自然や植物の心地よい刺激を活用したストレス軽減,植物を育てることや植物を用いた創造活動による意欲回復や生活改善を主なねらいとしていると紹介されている.これは,ストレス脆弱性や意欲低下の精神疾患患者でも効果が期待されるものであると考えられる.当院でも作業療法プログラムとして草花や野菜作りを行っているが現状では手探り状態で実施している.そのため,精神科分野における園芸を通したプログラムの現状を調査しその結果を患者へ還元していく必要性がある.
【目的】本研究目的は,精神科分野における園芸療法の介入状況の現状を調査し,今後の精神科作業療法における園芸を通したプログラムへの有用性や効果を考察することである.
【方法】日本園芸療法学会学会誌,2010年volume1から2021年volume13までの合計13冊の中から原著論文を対象とした.その中で,精神疾患患者への園芸を通したプログラムに関係する研究を手検索して抽出し対象者の疾患や人数,介入方法,結果,考察で分析した.本研究における利益相反は無い.
【結果】最終的には4件抽出することができた.対象者は,1件目は地域生活を送っている精神障碍者12名,2件目は小児精神神経科入院中の児童8名,3件目は精神科に入院している高齢の統合失調症患者20名,4件目は急性統合失調症圏患者3名であった.介入方法としては,1件目はハーブ収穫,草花観察,除草作業であった.2件目はアイスブレイク,自然散策,植物を使ったクラフト,植物の植え付けや観察を行っていた.3件目は2群にわけ能動的園芸療法(プランターで植物を育て観察ファイルを作る)及び受動的園芸療法(野菜や花の鑑賞を通した会話,季節の野菜や果物の試食)を実施していた.4件目は気になる植物を育てるプログラムであった.介入結果による考察では,1件目は心理的効果は期待できるがそれはすべての対象者ではないとしている.2件目は気分転換方法としては活用の可能性は示唆されるが個人的要素が大きいとしている.3件目は植物を介することで他者と過ごす場で身構えずに過ごせる時間になりうると考察していた.4件目では,植物を育てる体験は患者の活動性や社会性を賦活し,急性期においては脆弱な自我を強化する可能性が示唆されたと考察していた.
【考察】原著論文が4件抽出されたことに関しては,調査範囲が狭かった影響も考えられることや,介入をしても研究報告をするレベルのプログラムになっていない可能性が考えられる.対象者に関しては精神疾患を持つ小児から高齢者まで介入しており,園芸プログラムによる介入は対象者の幅広い年齢層に適応できる可能性が考えられる.介入方法と介入結果から園芸を通したプログラムには精神疾患患者の社会性を賦活することやリラックス効果など心理的効果や気分転換への効果があることが示されているが対象者の個別性が高いとの結果となっており,実施するにあたり事前にアセスメントを行い対象者にとって有用かどうか念入りの評価をする必要性がある.最後に急性期における脆弱な自我を強化する可能性も示唆されており,これは近年増加している精神科救急病棟における急性期作業療法介入の一つとしての導入の検討ができるといえる.
【今後の展望】精神科作業療法士へ調査を行い精神科作業療法における園芸を通したプログラムの実態把握をしていく必要性がある.その結果から,園芸を通したプログラムを実施する上での課題や問題点を整理する必要性がある.それは最終的には精神科作業療法のプログラムの幅を広げることにつながる.
【目的】本研究目的は,精神科分野における園芸療法の介入状況の現状を調査し,今後の精神科作業療法における園芸を通したプログラムへの有用性や効果を考察することである.
【方法】日本園芸療法学会学会誌,2010年volume1から2021年volume13までの合計13冊の中から原著論文を対象とした.その中で,精神疾患患者への園芸を通したプログラムに関係する研究を手検索して抽出し対象者の疾患や人数,介入方法,結果,考察で分析した.本研究における利益相反は無い.
【結果】最終的には4件抽出することができた.対象者は,1件目は地域生活を送っている精神障碍者12名,2件目は小児精神神経科入院中の児童8名,3件目は精神科に入院している高齢の統合失調症患者20名,4件目は急性統合失調症圏患者3名であった.介入方法としては,1件目はハーブ収穫,草花観察,除草作業であった.2件目はアイスブレイク,自然散策,植物を使ったクラフト,植物の植え付けや観察を行っていた.3件目は2群にわけ能動的園芸療法(プランターで植物を育て観察ファイルを作る)及び受動的園芸療法(野菜や花の鑑賞を通した会話,季節の野菜や果物の試食)を実施していた.4件目は気になる植物を育てるプログラムであった.介入結果による考察では,1件目は心理的効果は期待できるがそれはすべての対象者ではないとしている.2件目は気分転換方法としては活用の可能性は示唆されるが個人的要素が大きいとしている.3件目は植物を介することで他者と過ごす場で身構えずに過ごせる時間になりうると考察していた.4件目では,植物を育てる体験は患者の活動性や社会性を賦活し,急性期においては脆弱な自我を強化する可能性が示唆されたと考察していた.
【考察】原著論文が4件抽出されたことに関しては,調査範囲が狭かった影響も考えられることや,介入をしても研究報告をするレベルのプログラムになっていない可能性が考えられる.対象者に関しては精神疾患を持つ小児から高齢者まで介入しており,園芸プログラムによる介入は対象者の幅広い年齢層に適応できる可能性が考えられる.介入方法と介入結果から園芸を通したプログラムには精神疾患患者の社会性を賦活することやリラックス効果など心理的効果や気分転換への効果があることが示されているが対象者の個別性が高いとの結果となっており,実施するにあたり事前にアセスメントを行い対象者にとって有用かどうか念入りの評価をする必要性がある.最後に急性期における脆弱な自我を強化する可能性も示唆されており,これは近年増加している精神科救急病棟における急性期作業療法介入の一つとしての導入の検討ができるといえる.
【今後の展望】精神科作業療法士へ調査を行い精神科作業療法における園芸を通したプログラムの実態把握をしていく必要性がある.その結果から,園芸を通したプログラムを実施する上での課題や問題点を整理する必要性がある.それは最終的には精神科作業療法のプログラムの幅を広げることにつながる.