[PI-9-5] 子どもを対象にしたオンラインビデオ通話を使った運動支援における目標の傾向
1年間のCOPM聴取データからの調査
【背景】
スポーツ庁が実施した令和3年度全国体力・運動能力・運動習慣等調査の結果から,新型コロナウイルスやスクリーンタイムの増加の影響で子どもの運動能力や体力低下は全国的な課題と示唆されている.また令和4年度に文部科学省が実施した通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査では8.8%の児童が学習面・行動面で著しい困難さを示すとされた.近年,オンラインビデオ通話を使った運動支援に関する事例報告は散見されるが,目標の傾向を調査している研究報告は少なく,全体の傾向としてどのような支援が行われているのかが明らかになっていない.そこで本研究の目的は,オンラインビデオ通話を使った運動支援を受けている児と保護者の目標を調査し,抱えている課題を明らかにすることとした.
【方法】
対象者はオンラインでの運動支援サービスを利用している3~13歳(平均6.9歳)の男女93名とした.(何かしらの診断名がある児:53名,診断名がない児:40名).利用頻度は2~3回/月であった.サービス利用開始時の面談でCanadian Occupational Performance Measure(以下COPM)を保護者と実施をし,最大5項目の目標を設定している.本研究では対象のCOPMの目標の記述を作業療法士と理学療法士の3名でICFに沿ってKJ法にて分析を行った.尚,サービス契約時のプライバシーポリシーにおいて本研究への同意を得ている.
【結果】
分析したCOPMの項目は372件だった.ICF分類に沿って<心身機能・身体構造>,<活動>,<参加>,の3つのカテゴリー,計19のサブカテゴリーに分類した.カテゴリーを<>,サブカテゴリーは「」,対象者数に対しての割合を()に%で示す.<心身機能・身体構造>は8項目のサブカテゴリーとし,「姿勢の保持,改善」(39.8),「ボディーイメージの向上」(33.3),「バランス能力の向上,ジャンプ動作の習得」(25,8),「微細運動,または巧緻動作の向上」(15.1),「協調性の向上」(14.0)「上肢・体幹の筋力の向上」(10.8),「柔軟性の向上」(6.5)「体力の向上」(2.2)に分け,<活動>は10項目のサブカテゴリーとし「縄跳びの習得」(49.5),「走る速度の向上と姿勢の改善」(32.3),「鉄棒の習得」(31.2),「ボール遊びの能力向上」(29.0),「三輪車や自転車の習得」(21.5),「マット運動の習得」(15.1),「歩行や階段などの移動能力の向上」(11.8),「飛び箱の習得」(10.8),「泳ぎの習得」(4.3),「雲梯の習得」(1.1)に分類された.また<参加>は1項目のサブカテゴリーで「集団活動への参加に向けた取り組み」(46.2)であった.
【考察・結語】
結果からオンラインビデオ通話を使った運動支援において保護者は<心身機能・身体構造>,<活動>,<参加>それぞれに目標を立てている様子が見られた.<心身機能・身体構造>,<活動>で見られる運動面の目標は授業中の姿勢保持や学校体育の科目になることも多く,園や学校での困り,不安が反映したものと考えられる.また,<参加>の「集団活動への参加に向けた取り組み」も目標に多く立てられており,運動支援においても運動以外の生活技能獲得や<参加>の促進等も求められていることが示唆される.そのため,子どもの運動機能や体力の低下,社会参加についても児童発達事業や医療機関に繋がれていない子どもをオンラインで支援していくことができるのではないかと考える.
スポーツ庁が実施した令和3年度全国体力・運動能力・運動習慣等調査の結果から,新型コロナウイルスやスクリーンタイムの増加の影響で子どもの運動能力や体力低下は全国的な課題と示唆されている.また令和4年度に文部科学省が実施した通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査では8.8%の児童が学習面・行動面で著しい困難さを示すとされた.近年,オンラインビデオ通話を使った運動支援に関する事例報告は散見されるが,目標の傾向を調査している研究報告は少なく,全体の傾向としてどのような支援が行われているのかが明らかになっていない.そこで本研究の目的は,オンラインビデオ通話を使った運動支援を受けている児と保護者の目標を調査し,抱えている課題を明らかにすることとした.
【方法】
対象者はオンラインでの運動支援サービスを利用している3~13歳(平均6.9歳)の男女93名とした.(何かしらの診断名がある児:53名,診断名がない児:40名).利用頻度は2~3回/月であった.サービス利用開始時の面談でCanadian Occupational Performance Measure(以下COPM)を保護者と実施をし,最大5項目の目標を設定している.本研究では対象のCOPMの目標の記述を作業療法士と理学療法士の3名でICFに沿ってKJ法にて分析を行った.尚,サービス契約時のプライバシーポリシーにおいて本研究への同意を得ている.
【結果】
分析したCOPMの項目は372件だった.ICF分類に沿って<心身機能・身体構造>,<活動>,<参加>,の3つのカテゴリー,計19のサブカテゴリーに分類した.カテゴリーを<>,サブカテゴリーは「」,対象者数に対しての割合を()に%で示す.<心身機能・身体構造>は8項目のサブカテゴリーとし,「姿勢の保持,改善」(39.8),「ボディーイメージの向上」(33.3),「バランス能力の向上,ジャンプ動作の習得」(25,8),「微細運動,または巧緻動作の向上」(15.1),「協調性の向上」(14.0)「上肢・体幹の筋力の向上」(10.8),「柔軟性の向上」(6.5)「体力の向上」(2.2)に分け,<活動>は10項目のサブカテゴリーとし「縄跳びの習得」(49.5),「走る速度の向上と姿勢の改善」(32.3),「鉄棒の習得」(31.2),「ボール遊びの能力向上」(29.0),「三輪車や自転車の習得」(21.5),「マット運動の習得」(15.1),「歩行や階段などの移動能力の向上」(11.8),「飛び箱の習得」(10.8),「泳ぎの習得」(4.3),「雲梯の習得」(1.1)に分類された.また<参加>は1項目のサブカテゴリーで「集団活動への参加に向けた取り組み」(46.2)であった.
【考察・結語】
結果からオンラインビデオ通話を使った運動支援において保護者は<心身機能・身体構造>,<活動>,<参加>それぞれに目標を立てている様子が見られた.<心身機能・身体構造>,<活動>で見られる運動面の目標は授業中の姿勢保持や学校体育の科目になることも多く,園や学校での困り,不安が反映したものと考えられる.また,<参加>の「集団活動への参加に向けた取り組み」も目標に多く立てられており,運動支援においても運動以外の生活技能獲得や<参加>の促進等も求められていることが示唆される.そのため,子どもの運動機能や体力の低下,社会参加についても児童発達事業や医療機関に繋がれていない子どもをオンラインで支援していくことができるのではないかと考える.