[PK-7-1] 高強度のレジスタンス運動が認知機能改善に寄与するかの検討
3症例の経時的変化
【背景】
脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor以下BDNF)が記憶や学習形成に重要な役割を果たしているだけでなく,運動が認知機能を改善させるメカニズムとして注目されている.また,レジスタンス運動は,高齢者の認知機能を高めるとする知見が多くある.しかし,認知機能の改善をうたっているだけで認知機能の何が改善しているのかの研究はされていない.今回,回復期リハビリテーション病棟(以下回復期)の患者を対象に上肢/下肢に対するレジスタンス運動を提供し,認知機能と各評価バッテリーの下位項目の変化を検証した.
【方法】
対象は,アルツハイマー型認知症と診断された後期高齢者で日常生活自立度B2の男性3名とした. 年齢は,A,B氏83歳,C氏90歳であった.頻度は週4回,1日1回.10RM,強度75%のレジスタンス運動(上肢は鉄アレイを用いて上腕二頭筋/三角筋に対して行った.下肢は大腿四頭筋/大殿筋に対して行った.)を提供した.開始日と最終日に精神状態短時間検査改訂日本版(Mini Mental State Examination-Japanese以下MMSE-J),N-式老年者用精神状態尺度(以下NMスケール)を用いて認知機能と認知症の程度の評価を行った.
【結果】
使用した評価バッテリー全て,3症例の得点向上が認められた.その中でも3症例とも向上した項目は,MMSE-Jでは,『見当識』A氏6点→7点,B氏4点→7点,C氏4点→5点.NMスケールでは,『見当識』A,B,C氏5点→7点.変化なしの項目は, MMSE-Jでは,『再生』A氏2点,B,C氏0点.『描画』A,B氏0点,C氏1点.NMスケールでは,『会話』A氏7点,B,C氏9点であった.
【考察】
アルツハイマー型認知症は,記憶と密接な関連のある海馬が萎縮することで生じると知られている.また,高齢男性において,中または高強度のレジスタンス運動により記憶課題などの成績が向上したとされる報告や海馬は運動により刺激され,認知機能が向上するとの報告もある.その中でも今回は,『見当識』だけが3症例で共通して改善した.改善しなかった項目としては『再生』『描画』と『会話』であった.今回の研究では,3例と少ない症例であったが,レジスタンス運動は認知機能の中でも『見当識』に効果があることが示唆された.今後も,引き続き認知症患者にレジスタンス運動を提供し認知機能の変化を追っていきたい.
脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor以下BDNF)が記憶や学習形成に重要な役割を果たしているだけでなく,運動が認知機能を改善させるメカニズムとして注目されている.また,レジスタンス運動は,高齢者の認知機能を高めるとする知見が多くある.しかし,認知機能の改善をうたっているだけで認知機能の何が改善しているのかの研究はされていない.今回,回復期リハビリテーション病棟(以下回復期)の患者を対象に上肢/下肢に対するレジスタンス運動を提供し,認知機能と各評価バッテリーの下位項目の変化を検証した.
【方法】
対象は,アルツハイマー型認知症と診断された後期高齢者で日常生活自立度B2の男性3名とした. 年齢は,A,B氏83歳,C氏90歳であった.頻度は週4回,1日1回.10RM,強度75%のレジスタンス運動(上肢は鉄アレイを用いて上腕二頭筋/三角筋に対して行った.下肢は大腿四頭筋/大殿筋に対して行った.)を提供した.開始日と最終日に精神状態短時間検査改訂日本版(Mini Mental State Examination-Japanese以下MMSE-J),N-式老年者用精神状態尺度(以下NMスケール)を用いて認知機能と認知症の程度の評価を行った.
【結果】
使用した評価バッテリー全て,3症例の得点向上が認められた.その中でも3症例とも向上した項目は,MMSE-Jでは,『見当識』A氏6点→7点,B氏4点→7点,C氏4点→5点.NMスケールでは,『見当識』A,B,C氏5点→7点.変化なしの項目は, MMSE-Jでは,『再生』A氏2点,B,C氏0点.『描画』A,B氏0点,C氏1点.NMスケールでは,『会話』A氏7点,B,C氏9点であった.
【考察】
アルツハイマー型認知症は,記憶と密接な関連のある海馬が萎縮することで生じると知られている.また,高齢男性において,中または高強度のレジスタンス運動により記憶課題などの成績が向上したとされる報告や海馬は運動により刺激され,認知機能が向上するとの報告もある.その中でも今回は,『見当識』だけが3症例で共通して改善した.改善しなかった項目としては『再生』『描画』と『会話』であった.今回の研究では,3例と少ない症例であったが,レジスタンス運動は認知機能の中でも『見当識』に効果があることが示唆された.今後も,引き続き認知症患者にレジスタンス運動を提供し認知機能の変化を追っていきたい.