[PL-1-2] 当院における3Dプリンタを活用した自助具・装具の開発
3Dプリンタの導入を目指して
【はじめに】近年,3Dプリンタの低価格化,3D CADなど3Dモデリングソフトのフリーソフトを利用できるようになり,3Dプリンタによる自助具や装具の作成が容易になってきた.これまで当院では熱可塑性樹脂によるものや既製品による自助具・装具の提供を行ってきたが,今後,更に個別性・再現性の高い自助具・装具を提供することができる3Dプリンタを導入し,自助具・装具の作成を行うこととなった.本研究では,当院での3Dプリンタによる自助具・装具の適応とその効果,今後の導入・運用について検討した.
【目的】本研究の目的は,➀3Dプリンタによる自助具の適応とその効果を明らかにすること,②3Dプリンタに対するスタッフの意識調査を行い,導入・運用の手がかりとすることである.
【方法】3Dプリンタ(anycubic社 KobraMax)を使用し,自助具・装具を作成し,その効果を福祉用具満足度評価(QUEST)の8項目(大きさ,重さ,調整しやすさ,安全性,耐久性,使いやすさ,使い心地,有用性)について5件法で評定し評価を行った.また,今回の当院における3Dプリンタ導入にあたりリハビリスタッフの意識を明らかにするため,アンケートによる意識調査を実施した.
【研究倫理】本研究は当院倫理審査委員会の承認を得て実施した. 倫理番号【2023−④】
【結果】入院,訪問,通所の対象者5名に対して,歩行器用アームサポート,水道延長レバー,玉ねぎ皮むき補助具,サークル歩行器用ドリンクホルダーといった自助具や,インソールといった装具を作成・評価・修正・再評価し,適用した.その結果,QUESTでの得点は,歩行器用アームサポート:3.71点,水道延長レバー:4.14点,皮むき補助具:3.80点,歩行器用ドリンクホルダー:4.71点,インソール:4.43点(平均4.16点/満点5点)であった.また,当院の3Dプリンタに対する意識調査の結果,3Dプリンタに対してのイメージは「難しそう」という意見があった反面,「治療の一環として使えそう」というポジティブなイメージもあった.また,導入に際して,77.8%が「高そう」,61.1%が「作製に時間がかかる」といった意見であった.しかしながら,76.1%が「3Dプリンタに対して興味がある」という結果であった.
【考察】本研究の結果,適用した自助具・装具はQUESTにおいて総合の満足度得点が高い結果となった.林ら(2019)は,「3Dプリンタで作成していくことで,日常使用する道具に人が合わせるのではなく,人に道具を合わせていく多様性を実現できると考え自助具製作に携わっている」と述べている.この考えを基に5症例に対して自助具を作成した結果,QUEST評価でも高い評価に繋がったと考えられる.今後も症例を増やしていき個々に適応した自助具・装具を提供し更なる拡大に繋げていきたい.また,意識調査の結果から,「治療の一環として使えそう」,「3Dプリンタに対して興味がある」というポジティブなイメージで前向きな意見が聞かれた.一方で,「難しそう」,「作製に時間がかかる」などネガティブな意見もあり,依然として3Dプリンタに対しての理解不足が考えられる.今後も継続した院内研修を行い,リハビリスタッフの3Dプリンタへの理解を深める必要がある.今回の3Dプリンタの活用・導入を「新しいことに取り組み,より質の高いリハビリテーションにつなげる」といったリハビリスタッフ全体の意識変容の契機としたい.
【目的】本研究の目的は,➀3Dプリンタによる自助具の適応とその効果を明らかにすること,②3Dプリンタに対するスタッフの意識調査を行い,導入・運用の手がかりとすることである.
【方法】3Dプリンタ(anycubic社 KobraMax)を使用し,自助具・装具を作成し,その効果を福祉用具満足度評価(QUEST)の8項目(大きさ,重さ,調整しやすさ,安全性,耐久性,使いやすさ,使い心地,有用性)について5件法で評定し評価を行った.また,今回の当院における3Dプリンタ導入にあたりリハビリスタッフの意識を明らかにするため,アンケートによる意識調査を実施した.
【研究倫理】本研究は当院倫理審査委員会の承認を得て実施した. 倫理番号【2023−④】
【結果】入院,訪問,通所の対象者5名に対して,歩行器用アームサポート,水道延長レバー,玉ねぎ皮むき補助具,サークル歩行器用ドリンクホルダーといった自助具や,インソールといった装具を作成・評価・修正・再評価し,適用した.その結果,QUESTでの得点は,歩行器用アームサポート:3.71点,水道延長レバー:4.14点,皮むき補助具:3.80点,歩行器用ドリンクホルダー:4.71点,インソール:4.43点(平均4.16点/満点5点)であった.また,当院の3Dプリンタに対する意識調査の結果,3Dプリンタに対してのイメージは「難しそう」という意見があった反面,「治療の一環として使えそう」というポジティブなイメージもあった.また,導入に際して,77.8%が「高そう」,61.1%が「作製に時間がかかる」といった意見であった.しかしながら,76.1%が「3Dプリンタに対して興味がある」という結果であった.
【考察】本研究の結果,適用した自助具・装具はQUESTにおいて総合の満足度得点が高い結果となった.林ら(2019)は,「3Dプリンタで作成していくことで,日常使用する道具に人が合わせるのではなく,人に道具を合わせていく多様性を実現できると考え自助具製作に携わっている」と述べている.この考えを基に5症例に対して自助具を作成した結果,QUEST評価でも高い評価に繋がったと考えられる.今後も症例を増やしていき個々に適応した自助具・装具を提供し更なる拡大に繋げていきたい.また,意識調査の結果から,「治療の一環として使えそう」,「3Dプリンタに対して興味がある」というポジティブなイメージで前向きな意見が聞かれた.一方で,「難しそう」,「作製に時間がかかる」などネガティブな意見もあり,依然として3Dプリンタに対しての理解不足が考えられる.今後も継続した院内研修を行い,リハビリスタッフの3Dプリンタへの理解を深める必要がある.今回の3Dプリンタの活用・導入を「新しいことに取り組み,より質の高いリハビリテーションにつなげる」といったリハビリスタッフ全体の意識変容の契機としたい.