[PL-3-2] 手を使わずにズボンを上げる自助具の作成について 第2報
【目的】
ズボンを履く自助具については,紐と洗濯バサミを利用した自助具やサスペンダーを利用した自助具等の報告は散見される.しかし,いずれも膝関節や股関節,脊椎の屈曲が不十分または禁忌肢位となっている方のための手を使用して履く自助具であり,両上肢機能の低下している対象者が,排泄動作等において手を使わずにズボンを履く自助具については,報告がないのが現状である.第33回東北作業療法学会に於いて,「手を使わずにズボンを上げる自助具の作成について」を演題発表したところであるが,ハーネス等の滑りやすい素材での作成,装着しやすく外れにくいズボン固定部分の改良,手を使わずにズボンを下げる方法の検討等の課題について改良・改善したため報告する.
【前回作成自助具の概要と課題】
針金で成形したフック様のものに紐を結びつけて作成.フックはズボンと下着を引掛け,安全ピンで固定.紐の部分を背面から両鎖骨上を通して前面へ下し,足で紐を踏むことでズボンと下着を上げることが可能.課題として,紐だと滑りにくいためハーネス等の滑りやすい素材で作成することやズボンとの固定部分がフックのみだと外れやすく,フックとズボンを安全ピンで固定するには操作しにくいため,装着しやすく外れにくくなるようズボンとの固定部分を改良すること,また,手を使わずにズボンを下げる方法を検討することが挙げられた.
【改良型自助具作成】
市販の荷締めベルト(DCM:ワンタッチ荷締めベルト3m2本組×2,コメリ:荷締めベルト4m×1),リング(DCM:ステンレスヘビーリンクチェイン×2),安全ピン(藤久株式会社:ジュニアピン×4)を使用し,ミシンで縫い付けて作成.2本のベルトの端をリングに通してミシンで固定し,リングに安全ピンをそれぞれ2本ずつ通し,ズボンと下着の後方端の2カ所も通して固定.ベルトの部分を背面から両鎖骨上を通して前面へ下し,足でベルトのループの部分を踏むことでズボンと下着を上げることが可能.ズボンと下着の固定部分付近より別のベルトをミシンで縫い付けて固定し,ループにしたものを作成.このループを足で踏むことで,ズボンと下着を下げることが可能.ワンタッチ荷締めベルトのバックル部分で長さを調整することで,身長差等に対応が可能.改良型自助具作成に要した費用は,およそ2,000円であった.ただし,装着には介助が必要である.
【結果及び考察】
市販の荷締めベルト,リング,安全ピンを使用して作成した改良型自助具により,前回課題であった滑りやすい素材での作成,装着しやすく外れにくいズボン固定部分の改良,手を使わずにズボンを下げる方法がそれぞれ改善されたと考える.また,ワンタッチ荷締めベルトのバックル部分で長さを調整することで,身長差等に対応が可能となった.そして,手を使わずにズボンを上げる自助具は,両上肢機能が低下している対象者のQOL向上につながると考える.
ズボンを履く自助具については,紐と洗濯バサミを利用した自助具やサスペンダーを利用した自助具等の報告は散見される.しかし,いずれも膝関節や股関節,脊椎の屈曲が不十分または禁忌肢位となっている方のための手を使用して履く自助具であり,両上肢機能の低下している対象者が,排泄動作等において手を使わずにズボンを履く自助具については,報告がないのが現状である.第33回東北作業療法学会に於いて,「手を使わずにズボンを上げる自助具の作成について」を演題発表したところであるが,ハーネス等の滑りやすい素材での作成,装着しやすく外れにくいズボン固定部分の改良,手を使わずにズボンを下げる方法の検討等の課題について改良・改善したため報告する.
【前回作成自助具の概要と課題】
針金で成形したフック様のものに紐を結びつけて作成.フックはズボンと下着を引掛け,安全ピンで固定.紐の部分を背面から両鎖骨上を通して前面へ下し,足で紐を踏むことでズボンと下着を上げることが可能.課題として,紐だと滑りにくいためハーネス等の滑りやすい素材で作成することやズボンとの固定部分がフックのみだと外れやすく,フックとズボンを安全ピンで固定するには操作しにくいため,装着しやすく外れにくくなるようズボンとの固定部分を改良すること,また,手を使わずにズボンを下げる方法を検討することが挙げられた.
【改良型自助具作成】
市販の荷締めベルト(DCM:ワンタッチ荷締めベルト3m2本組×2,コメリ:荷締めベルト4m×1),リング(DCM:ステンレスヘビーリンクチェイン×2),安全ピン(藤久株式会社:ジュニアピン×4)を使用し,ミシンで縫い付けて作成.2本のベルトの端をリングに通してミシンで固定し,リングに安全ピンをそれぞれ2本ずつ通し,ズボンと下着の後方端の2カ所も通して固定.ベルトの部分を背面から両鎖骨上を通して前面へ下し,足でベルトのループの部分を踏むことでズボンと下着を上げることが可能.ズボンと下着の固定部分付近より別のベルトをミシンで縫い付けて固定し,ループにしたものを作成.このループを足で踏むことで,ズボンと下着を下げることが可能.ワンタッチ荷締めベルトのバックル部分で長さを調整することで,身長差等に対応が可能.改良型自助具作成に要した費用は,およそ2,000円であった.ただし,装着には介助が必要である.
【結果及び考察】
市販の荷締めベルト,リング,安全ピンを使用して作成した改良型自助具により,前回課題であった滑りやすい素材での作成,装着しやすく外れにくいズボン固定部分の改良,手を使わずにズボンを下げる方法がそれぞれ改善されたと考える.また,ワンタッチ荷締めベルトのバックル部分で長さを調整することで,身長差等に対応が可能となった.そして,手を使わずにズボンを上げる自助具は,両上肢機能が低下している対象者のQOL向上につながると考える.