[PN-1-7] 50-70歳代対象のフレイル対応の健康診断の実践報告
身体面・精神心理面・社会面に対応した評価・検査と実態について
【背景】予防事業や研究が実践されており,フレイルへの事業は盛んに行われている.フレイルのリスクを抑制する保護因子には,身体活動,食習慣,社会参加・知的活動などが報告されている.地方自治体では,総合事業や介護保険受給などにおいて,定期的な健康チェックやスクリーニングを行う2次予防事業が,多く展開されている.
しかし対象は75歳以上の高齢者が中心であり, スクリーニングは,身体的側面に偏りが多く,質問紙において,包括的に評価を実施しているが,詳細な実態把握や具体的な介入や指導方針が示されていない現状である.
そこで今回,健康診断事業の一部として,50-70歳代を中心とした対象に対して,フレイルの身体的・精神心理的・社会的側面を複合的に,個々に対して評価・結果説明・指導を実施した.その実践報告と実態・今後の課題について,以下に報告をする.
本報告に関しては,対象者に,書面及び口頭で研究の目的を説明し,同意を得ている.
【目的】50-70歳代を対象としたのフレイルの健康診断や予防事業などの2次予防手段の一例として検討し,実態の把握と今後の対策の検討材料とする.
【対象・方法】
A施設の健康診断の事業の一部として,“フレイル健診”の実施者を募集し,平均69.3 (±7.0) 歳のB地域在住者12名が参加.対象者疾病は,高血圧症が4名,脂質異常症が3名,糖尿病が1名,骨粗鬆症が2名,特になしが2名であった.実施方法は,4段階の流れで,第1回は説明会と同意の確認,第2回は評価・測定,第3回は結果の説明,第4回は動作・生活指導会,で実施した.第4回目の際には,実施した内容に関してのアンケートを聴取した.
2回目の評価・測定においては,身体機的側面として,握力,5m歩行,TUG,開眼片脚立位を実施した.精神心理的側面としては,高次脳機能面として,MMSE,TMT-A,TMT-B,WAIS-Ⅲの符号検査,時計描画課題を実施した.精神機能面として,GDS-15,やる気スコアを実施した.社会的側面としては,BI,LowtonのIADL尺度,LSAを実施した.
【結果:実践の意義】評価・測定の結果としては,身体機能面では,対象は年齢平均より高値であった.精神心理的側面の高次脳機能では,近時記憶低下を認めた者が1名いたが,その他は著明な低下は認められなかった.GDS-15 は平均9.8(±2.5)点,やる気スコアでは平均11.8(±8.3)点であり,高い傾向を示し,抑うつやアパシーの傾向がみられた.社会的側面は,LSAでは,平均89.7(±12.7)点であり,70点台が4名おり,行動の狭小化している者が認められた.実施後のアンケートとしては,「結果とその対策の説明によって,自分を知るきっかけになった」「早い段階で見てもらえると安心できる」「4回の実施は少し大変だった」などが聴取された.
【考察:結論】先行研究においては,LSAは抑うつやアパシーの影響による精神機能面の低下から,活動量の低下し,社会活動の狭小化に繋がると述べられている.今回においても,社会的側面のLSAスコアが低値になっている者は,身体機能面よりも精神機能面の影響を受けており,活動や行動の狭小化に繋がたと考えられる.このことから,50-70歳代に関しては,身体機能面の維持や社会活動の継続の為にも,精神機能面の評価や介入を手厚くすることが重要であると考えられた.
アンケート結果からは,早期からのフレイルの健康診断事業に対して,好意的な意見が多く,自己心身への“気づき”に繋がった者も見られた.より早期の気付きを与え,意識・行動変容を与えるきっかけになったと考えられる.限界点としては,症例数が少なくため,より症例数を増やしての実施が必要である.また,実施回数に関して,対象者負担とならないような配慮の検討が必要である.
しかし対象は75歳以上の高齢者が中心であり, スクリーニングは,身体的側面に偏りが多く,質問紙において,包括的に評価を実施しているが,詳細な実態把握や具体的な介入や指導方針が示されていない現状である.
そこで今回,健康診断事業の一部として,50-70歳代を中心とした対象に対して,フレイルの身体的・精神心理的・社会的側面を複合的に,個々に対して評価・結果説明・指導を実施した.その実践報告と実態・今後の課題について,以下に報告をする.
本報告に関しては,対象者に,書面及び口頭で研究の目的を説明し,同意を得ている.
【目的】50-70歳代を対象としたのフレイルの健康診断や予防事業などの2次予防手段の一例として検討し,実態の把握と今後の対策の検討材料とする.
【対象・方法】
A施設の健康診断の事業の一部として,“フレイル健診”の実施者を募集し,平均69.3 (±7.0) 歳のB地域在住者12名が参加.対象者疾病は,高血圧症が4名,脂質異常症が3名,糖尿病が1名,骨粗鬆症が2名,特になしが2名であった.実施方法は,4段階の流れで,第1回は説明会と同意の確認,第2回は評価・測定,第3回は結果の説明,第4回は動作・生活指導会,で実施した.第4回目の際には,実施した内容に関してのアンケートを聴取した.
2回目の評価・測定においては,身体機的側面として,握力,5m歩行,TUG,開眼片脚立位を実施した.精神心理的側面としては,高次脳機能面として,MMSE,TMT-A,TMT-B,WAIS-Ⅲの符号検査,時計描画課題を実施した.精神機能面として,GDS-15,やる気スコアを実施した.社会的側面としては,BI,LowtonのIADL尺度,LSAを実施した.
【結果:実践の意義】評価・測定の結果としては,身体機能面では,対象は年齢平均より高値であった.精神心理的側面の高次脳機能では,近時記憶低下を認めた者が1名いたが,その他は著明な低下は認められなかった.GDS-15 は平均9.8(±2.5)点,やる気スコアでは平均11.8(±8.3)点であり,高い傾向を示し,抑うつやアパシーの傾向がみられた.社会的側面は,LSAでは,平均89.7(±12.7)点であり,70点台が4名おり,行動の狭小化している者が認められた.実施後のアンケートとしては,「結果とその対策の説明によって,自分を知るきっかけになった」「早い段階で見てもらえると安心できる」「4回の実施は少し大変だった」などが聴取された.
【考察:結論】先行研究においては,LSAは抑うつやアパシーの影響による精神機能面の低下から,活動量の低下し,社会活動の狭小化に繋がると述べられている.今回においても,社会的側面のLSAスコアが低値になっている者は,身体機能面よりも精神機能面の影響を受けており,活動や行動の狭小化に繋がたと考えられる.このことから,50-70歳代に関しては,身体機能面の維持や社会活動の継続の為にも,精神機能面の評価や介入を手厚くすることが重要であると考えられた.
アンケート結果からは,早期からのフレイルの健康診断事業に対して,好意的な意見が多く,自己心身への“気づき”に繋がった者も見られた.より早期の気付きを与え,意識・行動変容を与えるきっかけになったと考えられる.限界点としては,症例数が少なくため,より症例数を増やしての実施が必要である.また,実施回数に関して,対象者負担とならないような配慮の検討が必要である.