[PN-7-7] 公共図書館を利用するシニア世代の背景と活動参加状況に関する実態調査
【はじめに】我々は,これまで数年にわたりH公共図書館と連携して,「認知症にやさしい図書館」事業として講演会やブックカフェ,図書展示等を実施してきた.しかし,参加者は認知症当事者や家族,支援者等に限局している.今後は,より幅広く地域住民が参加できるような事業展開が必要であると考え,まずは,本図書館をよく利用しているシニア世代の事業参加を促すためのアンケート調査を実施した.
【目的】H公立図書館に通うシニア世代の背景や生活状況,活動参加の実態を,アンケート調査を用いて明らかにし,本事業への参加促進ための資料することを目的とした.
【方法】H市立図書館に来館した60歳以上の者を対象に無記名アンケート調査を実施した.
図書館内に掲示した調査協力者募集ポスターを見て,自ら参加を希望した者がアンケートに回答した.
調査項目は,基本属性(年代,性別,同居人数,居住地,最終学歴,就労状況,経済状況),健康状態,生活機能と生活状況,外出頻度,図書館以外の外出先,活動参加状況,図書館利用目的,利用頻度,滞在時間,移動手段,図書館までの所要時間,健康のための行動,不安感,孤立感,日常生活満足度,生きがいの程度,「認知症にやさしい図書館」事業の認知と参加意思に関する内容で構成された.本報告ではそのうち,基本属性,生活状況と活動参加状況を中心に報告する.なお,本調査は発表者の所属施設の疫学倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】51名(男性36名,女性15名)がアンケートに回答した.年齢は60歳代30名,70歳代16名,80歳代5名であった.同居人数は,独居(19名)と2人暮らし(21名)が多く,合わせて約8割を占めていた.最終学歴は大学卒が25名で最も多く,短期大学等も含めた高等教育修了者が7割以上であり,大学院修了者も3名いた.経済状況では,「全く心配ない」または「それほど心配ない」者が72.5%であった.図書館の利用頻度は,週1日以上利用している者が半数以上で,週5日以上の利用者も1割と頻繁に利用している者が多かった.
生活機能については,ほとんどの者が概ね自立していたが,「手すりなしで階段を昇る」「何も掴まずに椅子から立ちあがる」「15分程度続けて歩く」「自分で食事の用意をする」の項目で「できない」と回答した者が数名いた.また,すべての項目で,「できるがしていない」と回答した者がおり,特に「手すりなしで階段を昇る」「自分で食事の用意をする」では2割以上を占めた.
外出頻度は週6日以上が半数以上と最も多く,外出頻度の高い者が多かった.図書館以外の外出先としては,スーパーなどの買い物をする場所が最も多く,デイサービスなどの高齢者施設や地域の介護予防拠点を回答した者はいなかった.活動参加状況では,体操や散歩などの健康スポーツ活動が23名と最も多く,次いで趣味17名であった.地域のボランティア活動や地域行事などの社会的活動への参加は少なく,参加している活動が無いと回答した者も14名いた.
【まとめ】本調査結果から,H公共図書館に通うシニア世代は,男性比率が高く,高学歴で経済的には比較的余裕のある者が多いことが明らかとなった.また,歩行や階段昇降などに支障がある者もいたが概ね自立している者がほとんどであった.一方,外出頻度は高いものの,地域で他者と交流できる場所へは行っておらず,参加している活動も個人活動がほとんどであり,地域で他者と交流する機会がほとんどないという実態が明らかとなった.今後は,彼らの交流や社会参加の場となるような図書館事業の展開が必要であると考えている.
【目的】H公立図書館に通うシニア世代の背景や生活状況,活動参加の実態を,アンケート調査を用いて明らかにし,本事業への参加促進ための資料することを目的とした.
【方法】H市立図書館に来館した60歳以上の者を対象に無記名アンケート調査を実施した.
図書館内に掲示した調査協力者募集ポスターを見て,自ら参加を希望した者がアンケートに回答した.
調査項目は,基本属性(年代,性別,同居人数,居住地,最終学歴,就労状況,経済状況),健康状態,生活機能と生活状況,外出頻度,図書館以外の外出先,活動参加状況,図書館利用目的,利用頻度,滞在時間,移動手段,図書館までの所要時間,健康のための行動,不安感,孤立感,日常生活満足度,生きがいの程度,「認知症にやさしい図書館」事業の認知と参加意思に関する内容で構成された.本報告ではそのうち,基本属性,生活状況と活動参加状況を中心に報告する.なお,本調査は発表者の所属施設の疫学倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】51名(男性36名,女性15名)がアンケートに回答した.年齢は60歳代30名,70歳代16名,80歳代5名であった.同居人数は,独居(19名)と2人暮らし(21名)が多く,合わせて約8割を占めていた.最終学歴は大学卒が25名で最も多く,短期大学等も含めた高等教育修了者が7割以上であり,大学院修了者も3名いた.経済状況では,「全く心配ない」または「それほど心配ない」者が72.5%であった.図書館の利用頻度は,週1日以上利用している者が半数以上で,週5日以上の利用者も1割と頻繁に利用している者が多かった.
生活機能については,ほとんどの者が概ね自立していたが,「手すりなしで階段を昇る」「何も掴まずに椅子から立ちあがる」「15分程度続けて歩く」「自分で食事の用意をする」の項目で「できない」と回答した者が数名いた.また,すべての項目で,「できるがしていない」と回答した者がおり,特に「手すりなしで階段を昇る」「自分で食事の用意をする」では2割以上を占めた.
外出頻度は週6日以上が半数以上と最も多く,外出頻度の高い者が多かった.図書館以外の外出先としては,スーパーなどの買い物をする場所が最も多く,デイサービスなどの高齢者施設や地域の介護予防拠点を回答した者はいなかった.活動参加状況では,体操や散歩などの健康スポーツ活動が23名と最も多く,次いで趣味17名であった.地域のボランティア活動や地域行事などの社会的活動への参加は少なく,参加している活動が無いと回答した者も14名いた.
【まとめ】本調査結果から,H公共図書館に通うシニア世代は,男性比率が高く,高学歴で経済的には比較的余裕のある者が多いことが明らかとなった.また,歩行や階段昇降などに支障がある者もいたが概ね自立している者がほとんどであった.一方,外出頻度は高いものの,地域で他者と交流できる場所へは行っておらず,参加している活動も個人活動がほとんどであり,地域で他者と交流する機会がほとんどないという実態が明らかとなった.今後は,彼らの交流や社会参加の場となるような図書館事業の展開が必要であると考えている.