[PQ-1-2] “その方らしさ”の評価の選択肢を増やそう!
【はじめに】日本作業療法士協会は,作業療法(以下OT)の目標を「基本的動作能力,応用的動作能力,社会的適応能力の3つの能力を維持・改善し"その人らしい"生活の獲得を目標にする」「その人なりの,その人らしい生活を"作業"を通じて作っていく」と示している.当院リハビリテーション(以下リハ)科の3つのMissionにも「その方らしい暮らしを共に考え,決定するリハを実施する」「その方らしい暮らしを実現するために地域と繋がる」の2項目が含まれている.
2023年度OT部門では「定量的な評価は行えてきたが,その方らしさの評価が不十分」という課題に対して評価の引き出しを増やすため研修やミニカンファレンスを計画した.その方らしさの評価(以下OT評価)は作業療法士(以下OTR)により選択が異なるため,一人ひとりが選択したOT評価を習慣的に実施するサポートを行う事業を実施した.
【目的】各OTRが選択したOT評価について,全員が初期と比較し行動変容ステージモデル(Prochaska,Clemente(1983))(以下行動変容)におけるステージアップが得られた要因を明確にする.尚本研究は当院倫理審査委員会にて承認を得た.
【方法】対象者は2023年6月~2024年2月当院に在籍し本研究への参加に同意した経験年数1~19年目(平均7.5年目)のOTR16名と9月から復職した15年目のOTR1名の計17名.調査期間は2023年6月~2024年2月.
筆者との初期面接で主観的に選択するOT評価の表出があった場合はそれを元に,悩んだ場合にはOTRが思うその方らしい点について聴取し評価を複数提案した.また他OTRの評価を複数挙げて内容等を提示し,対象者の有無を考慮して選択を促した.習慣化は行動変容に当てはめステージアップの有無にて評価した.その他評価実施回数,評価の理解度やわかる事,結果のOTプログラム(以下OTP)への反映の有無を確認した.
開始初期に本事業の目的は年度内にOTRが3回評価を使用し引き出しを増やす事であると共有し,対象者選定はOTR主体で悩んだら筆者に相談してもらう事を前提で実施を促した.適宜実施状況を確認し使用感を聴取し,視点の増加への正のフィードバック(以下FB)や解釈に対する助言,無理に対象者を選定する必要はない事等を伝えた.
【結果】行動変容は全員がステージアップした.初期は無関心期〜関心期,2月時点では行動期(〜維持期)であった.評価実施回数は1〜3回以上.理解度は概ね良好,OTPへの反映は88%達成.
【考察】筆者は先行研究にて,新たな評価の習得にはまず経験が必要であり,試行期間等を設け経験する,経験から効果的に概念化や成功体験に繋げるために直接的なFBの場を設け改善した点に関して深堀りする関わりが望ましいと考察した.事業を学習意欲向上モデルであるARCSモデル(ジョン・ケラー.1983)に当てはめると以下の点が学習意欲を向上させたと考える.「注意喚起」「関連性」OTRの評価したい・できていない側面(例えば価値等)を聴取し,表出内容に合わせたOT評価の具体的な紹介を実施し主体的に1つ選択してもらうサポートを実施できた.また筆者が適宜サポートすることを伝えまずは1部でも経験をすることを推奨した.「自信」評価実施後,使用感を具体的に聴取し得られた評価結果を肯定し“やればできそう”というイメージを強化.「満足感」評価への理解度の変化やOTPへの反映を確認し正のFBをすることで"前よりはわかる""やってよかった"と実感できる関わりができたと言える.
結果として評価内容の理解度の向上,クライエントとの関わり方,他職種への相談等OTPへの反映,ひいては行動変容に繋がったと考える.
2023年度OT部門では「定量的な評価は行えてきたが,その方らしさの評価が不十分」という課題に対して評価の引き出しを増やすため研修やミニカンファレンスを計画した.その方らしさの評価(以下OT評価)は作業療法士(以下OTR)により選択が異なるため,一人ひとりが選択したOT評価を習慣的に実施するサポートを行う事業を実施した.
【目的】各OTRが選択したOT評価について,全員が初期と比較し行動変容ステージモデル(Prochaska,Clemente(1983))(以下行動変容)におけるステージアップが得られた要因を明確にする.尚本研究は当院倫理審査委員会にて承認を得た.
【方法】対象者は2023年6月~2024年2月当院に在籍し本研究への参加に同意した経験年数1~19年目(平均7.5年目)のOTR16名と9月から復職した15年目のOTR1名の計17名.調査期間は2023年6月~2024年2月.
筆者との初期面接で主観的に選択するOT評価の表出があった場合はそれを元に,悩んだ場合にはOTRが思うその方らしい点について聴取し評価を複数提案した.また他OTRの評価を複数挙げて内容等を提示し,対象者の有無を考慮して選択を促した.習慣化は行動変容に当てはめステージアップの有無にて評価した.その他評価実施回数,評価の理解度やわかる事,結果のOTプログラム(以下OTP)への反映の有無を確認した.
開始初期に本事業の目的は年度内にOTRが3回評価を使用し引き出しを増やす事であると共有し,対象者選定はOTR主体で悩んだら筆者に相談してもらう事を前提で実施を促した.適宜実施状況を確認し使用感を聴取し,視点の増加への正のフィードバック(以下FB)や解釈に対する助言,無理に対象者を選定する必要はない事等を伝えた.
【結果】行動変容は全員がステージアップした.初期は無関心期〜関心期,2月時点では行動期(〜維持期)であった.評価実施回数は1〜3回以上.理解度は概ね良好,OTPへの反映は88%達成.
【考察】筆者は先行研究にて,新たな評価の習得にはまず経験が必要であり,試行期間等を設け経験する,経験から効果的に概念化や成功体験に繋げるために直接的なFBの場を設け改善した点に関して深堀りする関わりが望ましいと考察した.事業を学習意欲向上モデルであるARCSモデル(ジョン・ケラー.1983)に当てはめると以下の点が学習意欲を向上させたと考える.「注意喚起」「関連性」OTRの評価したい・できていない側面(例えば価値等)を聴取し,表出内容に合わせたOT評価の具体的な紹介を実施し主体的に1つ選択してもらうサポートを実施できた.また筆者が適宜サポートすることを伝えまずは1部でも経験をすることを推奨した.「自信」評価実施後,使用感を具体的に聴取し得られた評価結果を肯定し“やればできそう”というイメージを強化.「満足感」評価への理解度の変化やOTPへの反映を確認し正のFBをすることで"前よりはわかる""やってよかった"と実感できる関わりができたと言える.
結果として評価内容の理解度の向上,クライエントとの関わり方,他職種への相談等OTPへの反映,ひいては行動変容に繋がったと考える.