[PQ-4-2] リハセラピスト部門における産休・育休支援体制の分析と今後の展望
【はじめに】
育児・介護休業法が2021年6月に改定,2022年10月に再改定され,産後パパ育休制度や育児休業の分割取得が可能となった.さらに働き方改革などの推進もあり,社会全体的に産休・育休取得の気運が高まってきている.当院リハセラピスト部門は,産後休暇(以下,産休)・育児休業(以下,育休)後の離職率が高く,産休・育休復帰後の支援の必要性が考えられた.そのため,産休・育休に対するサポートチームとして2020年1月より,「みんなで子育て応援したい(隊)」というチームを結成した.活動内容は,パパ育休を含む産休・育休復帰後のサポート体制の整理,産休・育休前に寄せ書きと勤務体制等の働き方や業務の手引き等のパンフレットの作成と配布,産休・育休入り・復帰時期の把握などを行った.今回,チーム活動の振り返りとして,産休・育休後の短時間勤務者の実際を把握するためにアンケート調査を実施したため報告する.
【目的】
当部門の産休・育休後の短時間勤務者へのアンケート調査から,働き方の現状把握およびサポート体制の見直しと,今後の課題を明確にすることとした.
【方法】
対象は,当部門で産休・育休後の短時間勤務制度を契約したリハ専門職(PT・OT・ST)10名とした.調査形態は無記名のアンケートとし,アンケート実施前に調査者が事前に内容を説明し同意を得た上で回答を依頼した.調査項目は,現在の働き方の実情について満足しているか,希望と現実のギャップを感じているか(回答はyes/noとし理由については自由記載とした),部署毎の業務調整等の対応への満足度(10点法で満足しているを満点とした),家族や職場での相談状況,自己啓発の程度については自由記載とした.なお,本研究で得られた個人情報は匿名化し保護した.
【結果】
アンケートの回収率は80%であった.希望と現実のギャップは38%が希望通りの働き方ができていないと回答した.理由は,自分が複雑な問題への対応力が低い,組織への貢献度が低い,自己啓発ができず知識が乏しいという回答であった.部署毎の業務調整は8~10点と高い満足度で実施され,家族や職場での相談も適切にできている(100%)と回答があった.
【考察】
業務調整への高い満足度や,適切な相談体制の背景として,子育てを支援する社会風土や当部門におけるサポート体制の存在も結果に影響を及ぼしていると考えた.結果が不良であった希望と現実のギャップを感じる要因では,自分に問題があると認知している回答を認めた.米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が提唱する職業性ストレスモデルで分類すると,性格や考え方,価値観といった個人要因の影響が大きいと考えられた.また,村山による見通しのN字曲線では,産休・育休復帰後の長期目標に対する見通しを示すことは,個人要因を緩衝させる動機づけになると考えられた.理想の働き方にも個別性があり,一様に働きやすさだけを改善するのではなく,個人要因を改善させるための認知のパターンの再考や,長期的な目標の共有を目的とした研修の開催や面談の実施,キャリアビジョンに対するサポートなどの強化が必要と考えた.
【今後の展望】
上記内容を人事部と共有し,子育て経験のあるキャリアコンサルタントによる子育て職員への研修を計画している.
育児・介護休業法が2021年6月に改定,2022年10月に再改定され,産後パパ育休制度や育児休業の分割取得が可能となった.さらに働き方改革などの推進もあり,社会全体的に産休・育休取得の気運が高まってきている.当院リハセラピスト部門は,産後休暇(以下,産休)・育児休業(以下,育休)後の離職率が高く,産休・育休復帰後の支援の必要性が考えられた.そのため,産休・育休に対するサポートチームとして2020年1月より,「みんなで子育て応援したい(隊)」というチームを結成した.活動内容は,パパ育休を含む産休・育休復帰後のサポート体制の整理,産休・育休前に寄せ書きと勤務体制等の働き方や業務の手引き等のパンフレットの作成と配布,産休・育休入り・復帰時期の把握などを行った.今回,チーム活動の振り返りとして,産休・育休後の短時間勤務者の実際を把握するためにアンケート調査を実施したため報告する.
【目的】
当部門の産休・育休後の短時間勤務者へのアンケート調査から,働き方の現状把握およびサポート体制の見直しと,今後の課題を明確にすることとした.
【方法】
対象は,当部門で産休・育休後の短時間勤務制度を契約したリハ専門職(PT・OT・ST)10名とした.調査形態は無記名のアンケートとし,アンケート実施前に調査者が事前に内容を説明し同意を得た上で回答を依頼した.調査項目は,現在の働き方の実情について満足しているか,希望と現実のギャップを感じているか(回答はyes/noとし理由については自由記載とした),部署毎の業務調整等の対応への満足度(10点法で満足しているを満点とした),家族や職場での相談状況,自己啓発の程度については自由記載とした.なお,本研究で得られた個人情報は匿名化し保護した.
【結果】
アンケートの回収率は80%であった.希望と現実のギャップは38%が希望通りの働き方ができていないと回答した.理由は,自分が複雑な問題への対応力が低い,組織への貢献度が低い,自己啓発ができず知識が乏しいという回答であった.部署毎の業務調整は8~10点と高い満足度で実施され,家族や職場での相談も適切にできている(100%)と回答があった.
【考察】
業務調整への高い満足度や,適切な相談体制の背景として,子育てを支援する社会風土や当部門におけるサポート体制の存在も結果に影響を及ぼしていると考えた.結果が不良であった希望と現実のギャップを感じる要因では,自分に問題があると認知している回答を認めた.米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が提唱する職業性ストレスモデルで分類すると,性格や考え方,価値観といった個人要因の影響が大きいと考えられた.また,村山による見通しのN字曲線では,産休・育休復帰後の長期目標に対する見通しを示すことは,個人要因を緩衝させる動機づけになると考えられた.理想の働き方にも個別性があり,一様に働きやすさだけを改善するのではなく,個人要因を改善させるための認知のパターンの再考や,長期的な目標の共有を目的とした研修の開催や面談の実施,キャリアビジョンに対するサポートなどの強化が必要と考えた.
【今後の展望】
上記内容を人事部と共有し,子育て経験のあるキャリアコンサルタントによる子育て職員への研修を計画している.