第58回日本作業療法学会

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ポスター

教育

[PR-2] ポスター:教育 2 

Sat. Nov 9, 2024 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (大ホール)

[PR-2-5] 本校の入学前講座の取り組みに対する学生の心境について

細川 雄平 (社会福祉法人 関西中央福祉会 平成リハビリテーション専門学校)

【背景・目的】
 平成リハビリテーション専門学校(以下,本校)は,2006年4月に社会福祉法人立で開校し,18年目を迎える3年制の養成校である.入学者選抜方法の多様化により,入学までの数か月を無為に過ごす学生層が出現し,入学前からの準備教育としての入学前教育が広がりをみせるようになった(広瀬京子2014).本校も入学決定者に対し,入学前の準備として学習方法の習得,入学決定者間の交流などを目的に入学前講座(以下,講座)を開講している.講座開講から10年が経過しており,講座に関する入学生の心境や今後の講座の在り方についてアンケート調査を実施したため,報告する.
【対象】
 2022~2023年度入学の理学療法学科(以下,PT学科)68名,作業療法学科(以下,OT学科)35名,言語聴覚療法学科(以下,ST学科)16名の計119名
【方法】
 講座は毎年11・12月と翌年2月の計3回開催し,参加は任意としている.講座内容は生物学の復習,解剖学(骨・脳など),ゲーム(人体カルタ,ペーパータワー,謎トレなど)を実施している.アンケート調査は,Google Forms機能を用いて回答は任意とし,匿名で選択肢と自由記述とした.アンケート内容は,参加の有無や参加後の反応,理由などの7項目とした.統計処理は,記述統計法ならびに回答率の差をFisherの正確確立検定にて検証した.有意水準は危険率5%未満とした.倫理的配慮としてアンケート調査の目的,方法および回答しなくても職務上の不利益とならないことを保証する旨を口頭で説明し,アンケートの回答を以て同意を得た.本調査は本校における倫理規定に則り行われた.
【結果】
 アンケート回答率(以下,回答率)は39%(47/119名),講座への参加率は2022年度生67%,2023年度生69%,参加後の反応は「良かった」が2022年度生100%,2023年度生94%,「真面目に取り組んだ」が2022年度生92%,2023年度生94%と年度間の差があるとはいえなかった.学科別では,参加した学生のうち「良かった」「真面目に取り組んだ」がPT学科16名(94%),OT学科6名(85%),ST学科8名(100%),「どちらでもない」がPT学科1名(5%),OT学科1名(14%)であった.「良かった」と回答した理由は,「友達ができた」「学校生活のイメージができた」が最多でOT学科も同様であった.「どちらでもない」理由として,「もう少し模擬授業の要素があってもよかった」といった回答であった.講座への要望は,「もっと先輩と関わる機会がほしい」「もっと多くのクラスメートとの交流」等が多かった一方で,OT学科では,「もっと詳しく授業内容を知りたい」が最多であった.
【考察】
 本調査で約7割の学生が参加し,年度,学科間の差はなく,参加後の反応は良かったことが示唆された.三吉友美子ら(2005)によると「入学前課題が「大学の学習に役に立った」と答えた者の割合は低くなったものの,「入学前課題があったほうがよい」と答えた者が多かった」と報告している.本校の学生も約9割が「良かった」と回答しており,その理由として,講座内容よりも同じ入学生や在校生との交流の場を求めている学生が多い傾向にあり,縦横の繋がりを構築することによる人間関係の不安解消や学校生活の見通しを求めて参加していると考えた.一方で, OT学生の要望は「授業内容を知りたい」が多く,入学後の学習への準備を求める学生が多い傾向にあった.今後はシラバスの開示や授業参観なども取り入れ,学生の多様なニーズに応じた講座を検討したい.