[PR-6-1] 自動車運転支援者を育成する職員教育方略の現状と課題
【はじめに】
近年作業療法士による自動車運転支援に関する報告は増えているが,自動車運転支援者教育に関する報告は少ない.当院では2014年より高次脳機能障害者の自動車運転支援を開始し,10年近くかけて枠組みを整備した.しかし,どれだけマニュアルや実施内容を整備してもトラブルがなくなることはなかった.「ハード」面の整備ばかりを急ぎ,「ソフト」面の整備ができていなかったのではないか.そう考えた当院では自動車運転支援者教育が整備されることとなった.具体的にはOff-the-Job-Training(以下Off-JT)とOn-The-Job-Training(以下OJT)に分けた指導,見学・模倣・実施の手順,客観的臨床能力試験(以下OSCE)でのテストである.これまでに4名の教育事例がある.今回は4名の事例に対して,教育内容についてアンケート方式による満足度調査を実施した.
【目的】
今後の自動車運転支援者教育の質を向上するためにアンケートを実施し,当院における自動車運転支援者教育の現状と課題を明らかにすることを目的とした.
【方法】
アンケートはGoogleフォームを用いて,匿名で選択肢と自由記述方式で回答を得た.対象は当院の自動車運転支援者教育を受けたOT4名とした.質問項目は満足度や役立ち度等の全4項目とした. 満足度や役立ち度は1(役に立たなかった)~5(役に立った)の5段階で評価してもらう形をとった.なお,倫理的配慮は調査目的や職務上の不利益が生じない旨を事前にメールで説明し,アンケートの回答を以て同意とした.本報告は所属施設の承認を得ている.
【結果】
アンケート回収率は100%(4/4名)だった.全体的な満足度は5が1名(25%),4が3名(75%)だった.上記回答の理由としては「見学模倣によりイメージがつきやすかった」「(自動車運転支援)チームからアドバイスをもらえることで個人間の技量の差がなくなった」「OSCEをすることで勘違いしていたところが分かった」などが挙がった.役立ち度は5が2名(50%),4が2名(50%)だった.上記回答の理由としては「患者様への説明など臨床場面に活用できる」「具体的に支援の流れを知ることができた」「先輩の経験したケースや起きたトラブルなどの対応方法を事前に知れて対応できた」などが挙がった.また,自動車運転支援者教育の課題としては「若手だけでなく全員自動車運転支援者教育を受けた方がいい」「SDSAのOSCEを入れてほしい」が挙がった.最後にその他の意見として「自動車運転支援者教育を受けていない人が患者様に説明している場面を見かけるが,患者様への説明は自動車運転支援者教育を受けた人に限定した方がいい」という意見が挙がった.
【考察】
自動車運転支援者教育はまだ4名にしか実施できておらずサンプルは少ない.しかしながら現状での本取り組みへの満足度や役立ち度は高い結果が得られた.理由としては,Off-JTやOJTなどの一般的な人材の育成手法だけでなく,近年の学生指導の主流になりつつある診療参加型臨床実習の基礎的概念の一つである「見学・模倣・実施」を取り入れるなど新人教育や学生指導で成功している手法を参考にしたことが挙げられる.また,OSCEのようなテスト要素を取り入れることで能動的な学習ができたことや,頻繁にトラブルになる箇所への対応を実践的に学べたことが大きいと考える.また,課題として挙がった点も自動車運転支援者教育の有効性を示す内容だった.今回の結果から自動車運転支援者教育に関して,特別な指導体制やカリキュラムを作っていく必要があると言えるのではないだろうか.
近年作業療法士による自動車運転支援に関する報告は増えているが,自動車運転支援者教育に関する報告は少ない.当院では2014年より高次脳機能障害者の自動車運転支援を開始し,10年近くかけて枠組みを整備した.しかし,どれだけマニュアルや実施内容を整備してもトラブルがなくなることはなかった.「ハード」面の整備ばかりを急ぎ,「ソフト」面の整備ができていなかったのではないか.そう考えた当院では自動車運転支援者教育が整備されることとなった.具体的にはOff-the-Job-Training(以下Off-JT)とOn-The-Job-Training(以下OJT)に分けた指導,見学・模倣・実施の手順,客観的臨床能力試験(以下OSCE)でのテストである.これまでに4名の教育事例がある.今回は4名の事例に対して,教育内容についてアンケート方式による満足度調査を実施した.
【目的】
今後の自動車運転支援者教育の質を向上するためにアンケートを実施し,当院における自動車運転支援者教育の現状と課題を明らかにすることを目的とした.
【方法】
アンケートはGoogleフォームを用いて,匿名で選択肢と自由記述方式で回答を得た.対象は当院の自動車運転支援者教育を受けたOT4名とした.質問項目は満足度や役立ち度等の全4項目とした. 満足度や役立ち度は1(役に立たなかった)~5(役に立った)の5段階で評価してもらう形をとった.なお,倫理的配慮は調査目的や職務上の不利益が生じない旨を事前にメールで説明し,アンケートの回答を以て同意とした.本報告は所属施設の承認を得ている.
【結果】
アンケート回収率は100%(4/4名)だった.全体的な満足度は5が1名(25%),4が3名(75%)だった.上記回答の理由としては「見学模倣によりイメージがつきやすかった」「(自動車運転支援)チームからアドバイスをもらえることで個人間の技量の差がなくなった」「OSCEをすることで勘違いしていたところが分かった」などが挙がった.役立ち度は5が2名(50%),4が2名(50%)だった.上記回答の理由としては「患者様への説明など臨床場面に活用できる」「具体的に支援の流れを知ることができた」「先輩の経験したケースや起きたトラブルなどの対応方法を事前に知れて対応できた」などが挙がった.また,自動車運転支援者教育の課題としては「若手だけでなく全員自動車運転支援者教育を受けた方がいい」「SDSAのOSCEを入れてほしい」が挙がった.最後にその他の意見として「自動車運転支援者教育を受けていない人が患者様に説明している場面を見かけるが,患者様への説明は自動車運転支援者教育を受けた人に限定した方がいい」という意見が挙がった.
【考察】
自動車運転支援者教育はまだ4名にしか実施できておらずサンプルは少ない.しかしながら現状での本取り組みへの満足度や役立ち度は高い結果が得られた.理由としては,Off-JTやOJTなどの一般的な人材の育成手法だけでなく,近年の学生指導の主流になりつつある診療参加型臨床実習の基礎的概念の一つである「見学・模倣・実施」を取り入れるなど新人教育や学生指導で成功している手法を参考にしたことが挙げられる.また,OSCEのようなテスト要素を取り入れることで能動的な学習ができたことや,頻繁にトラブルになる箇所への対応を実践的に学べたことが大きいと考える.また,課題として挙がった点も自動車運転支援者教育の有効性を示す内容だった.今回の結果から自動車運転支援者教育に関して,特別な指導体制やカリキュラムを作っていく必要があると言えるのではないだろうか.