[PR-9-2] 臨地実習指導におけるコミュニケーションに困り感を持つ学生の短期教育プログラムの作成
背景
社会的コミュニケーション障害(SCD)は自閉症スペクトラム(ASD)の特性の1つである.SCD特性を有する作業療法学生(OTS)は,コミュニケーションに困り感を持つ学生も多い.
筆者らは,予備研究「作業療法教育課程における臨床実習指導上の教育的配慮の視点の検討−社会的コミュニケーション支援の視点から−(国際医療福祉大学研究倫理審査承認(21-Ig-157)」を実施し,SCD特性を有する実習生を担当した臨床実習指導者(OTR)8名のFocus group interviewから,修正板グラウンデッドセオリーを用い実習中の教育的配慮について明らかにした.
目的
本研究は,学内で実施する短期学習支援プログラム(プログラム)を開発することが目的である.
プログラムは,コミュニケーションに困り感を持つ学生を対象に,予備研究で得た知見を参考に認知行動療法(CBT)を応用し,自己の特性への気づきを促すこと,臨地実習におけるコミュニケーション上の課題に対する代償方略を身につけることを基本方針とした.
CBTは,物事の捉え方や言動に働きかけることでストレスを軽減する心理療法の1つであり,近年では,発達障害による困りごとや悩みを解消するためのアプローチとしても浸透してきており,本プログラムの基本方針として採用した.
方法
予備研究の結果,12のカテゴリが抽出された.OTRは「対象者の利点抽出の思考法の教授」「作業療法介入計画立案のモデル提示」等の臨床思考の一過程の支援,「対象者との交流の契機の援助」等,対象者との関係構築の一部を支援し,「肯定的な自己評価の確認」等は全例が受けていた.その他にも,「生活リズムへの配慮」「簡潔な報告の練習」「相談のタイミングの保障」「改善すべき行動目標の具体化」「タイムスケジュールの確認支援」などの教育的配慮を行っていた.
これらのカテゴリから,臨床参加型実習にて解決できると考えられる教育的配慮を除く,6つのカテゴリに焦点をあて,プログラムを検討した.プログラムは大学の講義に配慮し,半期(90分×8回,90分)で構成することとした.特性から生じる臨床実習上の行動の紹介,対処に成功した事例の紹介,成功事例を基にした演習の6つのテーマで構成し,初日にコラム法の紹介,最終日には,実習指導者に向けたナビゲーションブックの作成を行うこととした.
これらのプログラムは,発達障害領域,及び就労支援領域の臨床経験を持つ作業療法士と共に作成をした.
結果および考察
プログラムの内容は「自己の自動思考の特徴を理解する-コラム法-」「注意散漫に陥るのはなぜ-睡眠不足の問題と生活管理-」「実習前なのに何から手をつけていいかわからない-具体的な行動目標の立て方-」「なぜ課題の提出が遅れるのか-スケジュール帳,アプリを用いた学習と,スケジュール管理法-」「なぜ質問ができないのか-思考整理の方法を考える-」「報連相ができないことを指摘された-簡潔な報連相ができるためのちょっとした工夫-」「実習にむけてのナビゲーションブック作成」で構成した.
結論
コミュニケーションに困り感を持つ学生の短期プログラムを考案した.
このプログラムは,今後,本学にて実施し,教育的効果を検証する予定である.
社会的コミュニケーション障害(SCD)は自閉症スペクトラム(ASD)の特性の1つである.SCD特性を有する作業療法学生(OTS)は,コミュニケーションに困り感を持つ学生も多い.
筆者らは,予備研究「作業療法教育課程における臨床実習指導上の教育的配慮の視点の検討−社会的コミュニケーション支援の視点から−(国際医療福祉大学研究倫理審査承認(21-Ig-157)」を実施し,SCD特性を有する実習生を担当した臨床実習指導者(OTR)8名のFocus group interviewから,修正板グラウンデッドセオリーを用い実習中の教育的配慮について明らかにした.
目的
本研究は,学内で実施する短期学習支援プログラム(プログラム)を開発することが目的である.
プログラムは,コミュニケーションに困り感を持つ学生を対象に,予備研究で得た知見を参考に認知行動療法(CBT)を応用し,自己の特性への気づきを促すこと,臨地実習におけるコミュニケーション上の課題に対する代償方略を身につけることを基本方針とした.
CBTは,物事の捉え方や言動に働きかけることでストレスを軽減する心理療法の1つであり,近年では,発達障害による困りごとや悩みを解消するためのアプローチとしても浸透してきており,本プログラムの基本方針として採用した.
方法
予備研究の結果,12のカテゴリが抽出された.OTRは「対象者の利点抽出の思考法の教授」「作業療法介入計画立案のモデル提示」等の臨床思考の一過程の支援,「対象者との交流の契機の援助」等,対象者との関係構築の一部を支援し,「肯定的な自己評価の確認」等は全例が受けていた.その他にも,「生活リズムへの配慮」「簡潔な報告の練習」「相談のタイミングの保障」「改善すべき行動目標の具体化」「タイムスケジュールの確認支援」などの教育的配慮を行っていた.
これらのカテゴリから,臨床参加型実習にて解決できると考えられる教育的配慮を除く,6つのカテゴリに焦点をあて,プログラムを検討した.プログラムは大学の講義に配慮し,半期(90分×8回,90分)で構成することとした.特性から生じる臨床実習上の行動の紹介,対処に成功した事例の紹介,成功事例を基にした演習の6つのテーマで構成し,初日にコラム法の紹介,最終日には,実習指導者に向けたナビゲーションブックの作成を行うこととした.
これらのプログラムは,発達障害領域,及び就労支援領域の臨床経験を持つ作業療法士と共に作成をした.
結果および考察
プログラムの内容は「自己の自動思考の特徴を理解する-コラム法-」「注意散漫に陥るのはなぜ-睡眠不足の問題と生活管理-」「実習前なのに何から手をつけていいかわからない-具体的な行動目標の立て方-」「なぜ課題の提出が遅れるのか-スケジュール帳,アプリを用いた学習と,スケジュール管理法-」「なぜ質問ができないのか-思考整理の方法を考える-」「報連相ができないことを指摘された-簡潔な報連相ができるためのちょっとした工夫-」「実習にむけてのナビゲーションブック作成」で構成した.
結論
コミュニケーションに困り感を持つ学生の短期プログラムを考案した.
このプログラムは,今後,本学にて実施し,教育的効果を検証する予定である.