第58回日本作業療法学会

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ポスター

教育

[PR-9] ポスター:教育 9

2024年11月10日(日) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (大ホール)

[PR-9-5] 作業療法臨床実習に対する学生評価

群馬県内の横断調査結果から

小林 雅津良1, 悴田 敦子2, 木村 昌博3, 田中 浩二4, 高坂 駿2 (1.太田医療技術専門学校 作業療法学科, 2.群馬医療福祉大学 リハビリテーション学部, 3.前橋医療福祉専門学校 作業療法学科, 4.群馬大学大学院 保健学研究科)

【はじめに】
2020年に「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」の一部が改正された.臨床実習の指導体制や設備に関する基準が明文化され,教育と学びの場としての臨床実習の重要性が改めて示されている.改正から4年が経過し,臨床実習指導者講習会の定着や診療参加型臨床実習の普及など多くの成果が報じられている.しかしながら,学生自らが臨床実習をどのように受け止め,評価しているのかについては十分に知られていない.本研究の目的は,学生の立場からみた臨床実習の現状と課題を把握し,臨床実習質向上に必要な知見を得ることであった.
【方法】
 対象は群馬県内作業療法士養成校に在籍し,2022年度に3週間以上の臨床実習に参加した学生であった.Googleフォームを利用してアンケートを作成,各養成校の教員を通して回答を依頼した.調査項目は①実習形態や担当対象者,担当疾患など実習全般,②実習時間や課題など学習内容,③睡眠時間や心身の不調など生活管理,④実習満足度,⑤ハラスメントに関する内容であった.また,回答は自由意志であり,回答をもって結果の教育的,学術的使用について同意するものとした.
【結果】
195名から回答が得られ,3年生57%(111名),4年生43%(84名)であった.①実習全般において,担当対象者数に関する項目では,68%(132名)が1人であったと回答した.②学習において,1日のフィードバックの時間に関する項目では,13%(25名)が1時間以上であったと回答した.③生活管理において,11%(22名)が平均5時間未満の睡眠時間であったと回答した.④満足度において,19%(37名)が「満足度が6割未満」と回答した.⑤ハラスメントにおいて,16名がハラスメントと思われる言動を受け,そのうち半数はだれにも相談しなかったと回答した.
【考察】
 学生の立場からみた臨床実習の現状を把握することができた.臨床実習の質向上のためには,養成校教員と実習施設,実習指導者と養成校,職能団体の緊密な協力体制だけでなく,当事者としての学生の意見を積極的に受け入れる体制を整えることが必要不可欠であると考える.本研究により,そのための課題が明かになったと考える.