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[ACG36-11] 北半球高緯度における1980-2010年の地表面湿潤度の広域変動の評価
キーワード:地表面湿潤度, 広域変動, 再解析データ
GPCCの降水量とERAinterimから算定した可能蒸発散量(Ep)による湿潤度指数(WI)を用いて、1980-2010年の湿潤度の広域変動について高緯度を中心に解析した。また、表層土壌水分量の年間気候値や年々変動の偏差が、WIのそれらと良く対応し、降水量よりも相関係数が高いことが示された。従って、WIは表層土壌水分の気候値や年々変動と対応するといえる。WI、降水量、Epの線形トレンドを求め、WIのトレンドをEpに起因する部分と降水量に起因する部分に分けて定量評価を試みた。ユーラシアの高緯度やカナダ東部では、降水の増大トレンドとEpの増大トレンドが相殺してWIにはドレンドがほとんど見られなかった。一方、中央アジアや北米西部およびアラスカでは、降水量の減少トレンドとEpの増大トレンドによって、WIに減少トレンドが見られた。大部分の地域では降水量の変動がWIの変動に支配的である。WIのトレンドに対する降水量とEpの寄与をしたところ、アラスカではWIの増大世練度に対する寄与が、降水は72%、Epは27%となった。一方、EpのトレンドがWIのトレンドに重要な地域もあり、モンスーンアジアではWIの減少トレンドに対して降水の寄与はわずか3%で、Epの寄与が99%となった。このように、WIは表層土壌水分と対応して地表面の乾湿状態を表し、WIのトレンドに対して降水の寄与とEpの寄与を算定できることが示された。今後、WIによる地表面湿潤度の広域評価方法を、全球気候モデルの数値実験結果にも適用して、地表面熱水収支の再現性評価を試みたい。