日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW27_1AM2] 水循環・水環境

2014年5月1日(木) 11:00 〜 12:15 424 (4F)

コンビーナ:*林 武司(秋田大学教育文化学部)、内田 洋平((独)産業技術総合研究所地質調査総合センター)、樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、座長:林 武司(秋田大学教育文化学部)、内田 洋平((独)産業技術総合研究所地質調査総合センター)、樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)

11:45 〜 12:00

[AHW27-11] ユニバーサルモデルによる水文時空間データのモデル化

*葛葉 泰久1荒木 大輔1齋藤 華子2五味 千絵子3千田 眞喜子4 (1.三重大学大学院生物資源学研究科、2.三重大学生物資源学部、3.愛知県、4.京都光華女子大学・大阪成蹊大学・大阪成蹊短期大学)

キーワード:フラクタル, 水文時空間データ, フィルタリング, ユニバーサルモデル, e-model

多くの地球科学的データがフラクタルモデルでモデル化できることが多くの研究結果で示されている.本研究では,モノフラクタルモデルのうち,Bm(ブラウン運動), fBm(非整数ブラウン運動), fLm(非整数Lévy運動),それにフラクタルモデルではないがe-model(Gomi and Kuzuha, 2013)の適用可否について検討した.Bm, fBm, fLm の構成法として,スペクトル法(Lavallée, 2008など)がある.場がフラクタルである場合,データをフーリエ変換すると,角振動数(または波数)とパワースペクトルは,log-log-linearな関係となる.スペクトル法は,ホワイトノイズ(Gaussホワイトノイズ,Lévyノイズなど)を発生させ,log-log-linearなフィルタを通すことによってモンテカルロシミュレーション的なデータを作成する.多くの地球科学データはフラクタル的ではあるが,例えば,Gomi and Kuzuha(2013)によれば,日降水量時系列は,角振動数とパワースペクトルの関係が指数関数的になり,指数関数で表したフィルターを用いることでデータを再現できた(e-model).本研究では,このように,log-log-linearなフィルタ(すなわちフラクタルな場合)以外のフィルタを用いる場合も含め,このようなスペクトル法で表すモデルをユニバーサルモデルと考え,それで時空間的な水文学的データがモデル化が可能かどうかを確認した.その結果,解析雨量を用いた1時間降水量の時系列,空間的な降水量の場が,fBmやfLmでモデル化できることが分かった.さらに,量的データだけではなく,河川水中のイオン濃度の時系列や,水道水中の硝酸態窒素の時系列も,fLmで表現可能であることが分かった.Gomi, C. and Y. Kuzuha(2013), Simulation of a Daily Precipitation Time Series Using a Stochastic Model with Filtering, Open Journal of Modern Hydrology, DOI: 10.4236/ojmh.2013.34025Lavallée, D.(2008), On the Random Nature of Earthquake Sources and Ground Motions: A United Theory, Advances in Geophysics, Vol. 50, 2008, pp. 427-461.