日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS29_28AM1] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2014年4月28日(月) 10:00 〜 10:45 415 (4F)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、内田 太郎(国土技術政策総合研究所)、座長:西井 稜子(筑波大学)、山崎 新太郎(北見工業大学工学部社会環境工学科)

10:00 〜 10:15

[HDS29-P12_PG] 斜面災害事例のデータベース化に向けた入力項目の定義

ポスター講演3分口頭発表枠

*内山 庄一郎1山田 隆二1石川 晴和2鈴木 比奈子1臼田 裕一郎1 (1.独立行政法人防災科学技術研究所、2.株式会社アドバンテクノロジー)

キーワード:斜面災害事例データベース, 入力項目, 定義

過去の災害履歴はその場所における現在の災害リスクに大きく関係しており、ハザード・リスク評価に必須の情報である。防災科学技術研究所では、歴史時代の自然災害事例を含む日本全国の網羅的な自然災害データベースを構築し、これらの情報をWeb APIで配信している。しかしながら、災害事例データベースは災害事例の索引的な存在であり、情報の詳細度に限度がある。そのため、特に社会的インパクトの大きい自然災害については、地震、火山、風水害、地盤、雪氷災害などの各自然災害種別に特化したデータベースで、その詳細情報を提供する必要がある。ここでは特に、斜面災害を対象としたデータベースについて議論する。
本稿では、斜面災害事例のデータベースを構築するにあたり、斜面変動現象とその調査概要の記述に必要なデータベース入力項目を検討した。斜面災害事例データベースでは、出典資料として学術文献、古文書、伝承、現地調査報告書等を用い、ここから斜面災害に関するイベントを抽出し、データベース化を図る。入力項目の検討は、次の3ステップで実施した。
最初に地盤工学会、砂防学会、日本地すべり学会、応用地質学会の2003年~2013年までの学会誌に掲載された全論文を概観し、斜面変動現象を記述しうる情報を断片的に抽出した。
次に、先に抽出した情報から、斜面変動現象を地形的、地質的、物理的に記述する際に必要な情報、および範囲や位置などの地理空間情報、崩壊履歴に関する情報についてとりまとめ、仮の入力項目を定義した。
第三のステップでは、学術論文から抽出した約200の斜面災害事例について入力を行い、設定した入力項目が斜面災害事例を十分に表現しうるかを検証した。
この結果、入力項目の大分類として次の8項目を設定した。1) 斜面災害の種類、2) 素因・誘因、3) 地質特性、4) 地形特性、5) 物理特性、6) 地理空間情報、7) 崩壊履歴(年代測定)、8) 崩壊履歴(文献等)。さらに小分類として、合計で約60項目を設定した。今後は、古文書や現地調査報告書などの多様な出典資料の入力によって項目検証を実施し、斜面災害事例データベースのフレームワークを完成させる。また、実際のデータベース構築を推進する。