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[MAG38-13] 福島第一原発事故により放出された129Iの分布と131I/129I比の評価
キーワード:福島第一原発事故, 放射性ヨウ素, 131I/129I, AMS
福島第一原発事故により、核分裂生成の放射性核種が大量に放出された。しかし、131Iの半減期が約8日と短い為に、被ばく線量評価を実施する為の詳細データの入手が既に困難となっている。そこで、半減期約1,570万年の129Iを131Iの輸送及び降下・沈着量の推定に利用することが考えられる。本研究では、福島県内の表層土壌中の129Iを加速器質量分析法(AMS)で測定し、陸域環境での129I分布状況と131I/129I比の関係を調査した。 本研究では、筑波大学において131Iを測定した表層土壌(表面深さ5 cmまで)について、129I/127I同位体比を東京大学MALTの加速器質量分析(AMS)装置により測定した(Matsuzaki et al., 2007)。安定ヨウ素である127IはICP-MSを用いて測定を行い、129I濃度を算出した。なお、福島第一原発事故前の表層土壌中の129I平均濃度は、(2.74 ± 1.35)× 108 atoms/gとなり、これが129Iバックグラウンド値と推定される。福島第一原発事故後における表層土壌中の単位重量当たりの131I/129I原子数比は、(4.02 ± 0.81) × 10-2 (2011年3月11日換算)となった。事故時の炉内放射能比はORIGEN2コードにより推定されており、各炉内の131I/129I原子数比の計算結果は、3.18 × 10-2 (1号機)、4.57 × 10-2 (2号機)、4.81 × 10-2 (3号機)である (Nishihara et al., 2012)。本報告では、陸域環境での129I分布状況と福島県内の地域ごとの131I/129I比の値を示す。また、ORIGEN2コードによる計算結果と測定結果との比較、及び131I沈着量の復元を試みた結果について報告する。